20110110 マレーシア散歩:尾が長いシジミたち
2011年 01月 12日
Nature Diary #0365
Date: January 10 (Monday), 2011
Place: Petaling Jaya, Malaysia
Weather: Cloudy
<マレーシアにて>
新年早々、マレーシアの Petaling Jaya という都市に学会出張。マレーシアは数年前にも訪れたが、その時はペナン島だったので、マレー半島へはこれが初めての訪問になる。
学会が終了した翌日、 Gasing hill という場所を散歩した。そこは現地の学会参加者から聞いた場所だが、本来、チョウを撮影するのであれば、もう少し現地の様子を下調べして来れば良いのにといつも思う。しかし、訪問の目的自体が異なるので、フィールド散歩の方はいつも行き当たりばったりが多くなってしまうのだ----言い訳。
§ Diary §
Gasing hill は虫林が宿泊したホテルからタクシーで15分ほどの熱帯雨林で、トレッキングコースがある。せっかくの散歩なのに、空は朝からどんよりと曇り(マレーシアは現在雨季)、湿度が高くてすごく蒸し暑い。厳寒の日本からいきなり常夏の国マレーシアを訪れたのだから、余計に蒸し暑く感じるのだろう。
ホエザルやセミの鳴き声を聞きながらジャングルの中を歩くと、体中から汗が噴き出して来るのがわかる。歩き出してしばらくは、カメラのレンズが曇って使用不可になった。
とにかく丘の上まで登ってみると、ジャングルの向こうにPetaling Jayaの市街地が見えた。
It was cloudy and humid since Malyasia is now in rainy season. Dispite this difficult wether, I made a visit to Gasing hill near the city of Petaling Jaya with the intention of watching butterflies.
This is a landscape of Petaling Jaya from the top of Gasing hill.
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Olympus E-620, ZD12-60㎜, ASA 200
▶トカゲ; Lizard
樹林内の小径脇の小枝に大きさは20㎝くらいのトカゲを見つけた。
イグアナの仲間かな?
そのトカゲは虫林の存在に気づいているはずなのに、のんびりとして逃げようともしない。
でも、こうしてみると、トカゲの目は眠そうでなかなか可愛い。
A faint brown lizard, about 20cm in long, was found by the path. He had the drowsy eyes and seemed to be resting and/or basking on the branch of the bush
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Canon D7, EF300mm, ASA400
▶Branded imperial; Eooxylides tharis distanti
突然、樹林内でオレンジ色のシジミチョウが飛んだ。
少し前の葉に静止したので、さっそく、走り寄って観察してみると、やけに長くて白い尾(尾状突起)を持っている-----美しいシジミチョウだった。
まるで、「羽衣を靡かせた天女」のように見えた。
A branded imperial with a pair of long-tail resting on the leaf.
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Olympus E-620, ZD12-60㎜, ASA 200
このチョウは意外に敏感で、近づくとすぐに飛んでしまう。
そんな場面では、最近購入したキャノンのEF300㎜がとても有用だった。
このレンズはひ弱な虫林には少し重すぎて、あまり長時間は使用できないが、レンズとしての切れ味は抜群(100㎜マクロとほぼ同等に思う)なので安心して使えるのが有難い。とにかく、実質480㎜相当のレンズが、三脚なしの手持ち撮影できるのだから、有難いことである。
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A branded imperial resting on the leaf.
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Canon D7, EF300mm, ASA400
Branded imperial は稀なものではないが、やや局地的な分布する。ここでは、かなり多くの個体が見られたが、樹林内や日陰の道脇に限られていて、決して日向には出てこない。多分、森林性のチョウなのだろう。
皇族(imperial)という名の通り、どことなく高貴な優雅さがある。
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A branded imperial resting on the leaf.
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Canon D7, EF100mm MacroL, ASA400
▶Common imperial; Cheritra freja frigga
このチョウも尾が長いが、残念ながら少し色が褪せている。
色調や紋の形態から Common imperial のようだ。
尾が異常に長いチョウは、尾を下にして上下にジャンプするような変わった飛び方をする。
A common imperial resting on the leaf.
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Canon D7, EF300mm, ASA400
▶Yamfly; Loxura atymnus fuconius
Branded imperialをしつこく追っていたら、別な種類のオレンジ色のシジミチョウを見つけた。Yamflyという名前のシジミチョウで、東南アジアには広く分布する種類みたいだ。
やはりこちらも長い尾を持つ。
熱帯雨林ではどうしてこのように不必要に尾が長いチョウがいるのだろう?
A Yamfly resting on the ground.
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Olympus E-620, ZD12-60㎜, ASA 200
この個体は、傷一つない完璧なもので、尾状突起は完全だ。
それにしても、このチョウの色合いは、まったりとしたオレンジで、日本のチョウでいえば、ムモンアカシジミの色合い、質感に似ているように思う。オナガムモンアカシジミといったところかな。
顔の三角形の突起(吻)がユニークだ。
A Yamfly resting on the leaf.
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Upper: Canon D7, EF300mm, ASA400
Lower: Canon D7, EF100m Macro, ASA200
古い個体であるが、開翅してくれた。
翅表はアカシジミに似ている。
A Yamfly resting on the leaf with the wings opened.
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Canon D7, EF300mm, ASA400
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§ Afterword §
キャメロンハイランドはPetaling Jaya からかなり遠く、車で片道5時間もかかるということだった。そんな遠くまでの日帰り撮影行は、時間が無い虫林には無理なので、車で15分の近場のジャングルでトレッキングした。東南アジアでは、キャメロンハイランドのような1000mを超える高地では、涼しくて快適な気候だろうと思うが、低地では冬でも極めて蒸し暑い。
そこで、トレッキングの際には水分補給がキーポイントになる。今回はペットボトルを2本持って歩いたが、暑すぎて2本ともすぐに空になってしまい困った。脱水症は時に命取りになるからね。
次回は、その他のシジミチョウ、とくにキマルリのようなチョウを供覧する。
以上、 by 虫林花山
Date: January 10 (Monday), 2011
Place: Petaling Jaya, Malaysia
Weather: Cloudy
<マレーシアにて>
新年早々、マレーシアの Petaling Jaya という都市に学会出張。マレーシアは数年前にも訪れたが、その時はペナン島だったので、マレー半島へはこれが初めての訪問になる。
学会が終了した翌日、 Gasing hill という場所を散歩した。そこは現地の学会参加者から聞いた場所だが、本来、チョウを撮影するのであれば、もう少し現地の様子を下調べして来れば良いのにといつも思う。しかし、訪問の目的自体が異なるので、フィールド散歩の方はいつも行き当たりばったりが多くなってしまうのだ----言い訳。
§ Diary §
Gasing hill は虫林が宿泊したホテルからタクシーで15分ほどの熱帯雨林で、トレッキングコースがある。せっかくの散歩なのに、空は朝からどんよりと曇り(マレーシアは現在雨季)、湿度が高くてすごく蒸し暑い。厳寒の日本からいきなり常夏の国マレーシアを訪れたのだから、余計に蒸し暑く感じるのだろう。
ホエザルやセミの鳴き声を聞きながらジャングルの中を歩くと、体中から汗が噴き出して来るのがわかる。歩き出してしばらくは、カメラのレンズが曇って使用不可になった。
とにかく丘の上まで登ってみると、ジャングルの向こうにPetaling Jayaの市街地が見えた。
This is a landscape of Petaling Jaya from the top of Gasing hill.
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Olympus E-620, ZD12-60㎜, ASA 200
▶トカゲ; Lizard
樹林内の小径脇の小枝に大きさは20㎝くらいのトカゲを見つけた。
イグアナの仲間かな?
そのトカゲは虫林の存在に気づいているはずなのに、のんびりとして逃げようともしない。
でも、こうしてみると、トカゲの目は眠そうでなかなか可愛い。
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Canon D7, EF300mm, ASA400
▶Branded imperial; Eooxylides tharis distanti
突然、樹林内でオレンジ色のシジミチョウが飛んだ。
少し前の葉に静止したので、さっそく、走り寄って観察してみると、やけに長くて白い尾(尾状突起)を持っている-----美しいシジミチョウだった。
まるで、「羽衣を靡かせた天女」のように見えた。
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Olympus E-620, ZD12-60㎜, ASA 200
このチョウは意外に敏感で、近づくとすぐに飛んでしまう。
そんな場面では、最近購入したキャノンのEF300㎜がとても有用だった。
このレンズはひ弱な虫林には少し重すぎて、あまり長時間は使用できないが、レンズとしての切れ味は抜群(100㎜マクロとほぼ同等に思う)なので安心して使えるのが有難い。とにかく、実質480㎜相当のレンズが、三脚なしの手持ち撮影できるのだから、有難いことである。
A branded imperial resting on the leaf.
.
Canon D7, EF300mm, ASA400
Branded imperial は稀なものではないが、やや局地的な分布する。ここでは、かなり多くの個体が見られたが、樹林内や日陰の道脇に限られていて、決して日向には出てこない。多分、森林性のチョウなのだろう。
皇族(imperial)という名の通り、どことなく高貴な優雅さがある。
A branded imperial resting on the leaf.
.
Canon D7, EF100mm MacroL, ASA400
▶Common imperial; Cheritra freja frigga
このチョウも尾が長いが、残念ながら少し色が褪せている。
色調や紋の形態から Common imperial のようだ。
尾が異常に長いチョウは、尾を下にして上下にジャンプするような変わった飛び方をする。
.
Canon D7, EF300mm, ASA400
▶Yamfly; Loxura atymnus fuconius
Branded imperialをしつこく追っていたら、別な種類のオレンジ色のシジミチョウを見つけた。Yamflyという名前のシジミチョウで、東南アジアには広く分布する種類みたいだ。
やはりこちらも長い尾を持つ。
熱帯雨林ではどうしてこのように不必要に尾が長いチョウがいるのだろう?
.
Olympus E-620, ZD12-60㎜, ASA 200
この個体は、傷一つない完璧なもので、尾状突起は完全だ。
それにしても、このチョウの色合いは、まったりとしたオレンジで、日本のチョウでいえば、ムモンアカシジミの色合い、質感に似ているように思う。オナガムモンアカシジミといったところかな。
顔の三角形の突起(吻)がユニークだ。
.
Upper: Canon D7, EF300mm, ASA400
Lower: Canon D7, EF100m Macro, ASA200
古い個体であるが、開翅してくれた。
翅表はアカシジミに似ている。
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Canon D7, EF300mm, ASA400
§ Afterword §
キャメロンハイランドはPetaling Jaya からかなり遠く、車で片道5時間もかかるということだった。そんな遠くまでの日帰り撮影行は、時間が無い虫林には無理なので、車で15分の近場のジャングルでトレッキングした。東南アジアでは、キャメロンハイランドのような1000mを超える高地では、涼しくて快適な気候だろうと思うが、低地では冬でも極めて蒸し暑い。
そこで、トレッキングの際には水分補給がキーポイントになる。今回はペットボトルを2本持って歩いたが、暑すぎて2本ともすぐに空になってしまい困った。脱水症は時に命取りになるからね。
次回は、その他のシジミチョウ、とくにキマルリのようなチョウを供覧する。
以上、 by 虫林花山
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fanseab at 2011-01-12 23:21
今度はマレーシアですかぁ!いいなあ。
3種はいずれも敏感で撮りずらいですね。tharisはド完品で羨ましいです。プタリンジャヤは確か岡野選手がゴールを挙げて日本は初めてW杯出場を決めたシャーアラムスタジアムの近くなんですね。
3種はいずれも敏感で撮りずらいですね。tharisはド完品で羨ましいです。プタリンジャヤは確か岡野選手がゴールを挙げて日本は初めてW杯出場を決めたシャーアラムスタジアムの近くなんですね。
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at 2011-01-13 04:16
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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banyan10 at 2011-01-13 08:59
fanseabさん、
コメント有難う御座います。
プタリンジャヤは日本ではあまり知られていませんが、首都クアラルンプールの隣で、行政の中心地みたいです。シャーアラムスタジアムの近くです。
マレーシアには魅力的な蝶が多いですね。でも、今回はそれほど撮影できませんでした。
コメント有難う御座います。
プタリンジャヤは日本ではあまり知られていませんが、首都クアラルンプールの隣で、行政の中心地みたいです。シャーアラムスタジアムの近くです。
マレーシアには魅力的な蝶が多いですね。でも、今回はそれほど撮影できませんでした。
banyanさん、
有難う御座います。
どうして、南国の蝶たちはこれほど無用に長い尾を持っているのかな。不思議ですね。一説では、触角に見せかけて、前後逆の効果を狙っているといいますが、よくわかりませんね。
有難う御座います。
どうして、南国の蝶たちはこれほど無用に長い尾を持っているのかな。不思議ですね。一説では、触角に見せかけて、前後逆の効果を狙っているといいますが、よくわかりませんね。
Yamflyは、2007年4月にカンボジアのベンメリアという荒廃した遺跡(アンコールワットから40kmくらい)に行ったときに会いました。コンデジですが、枯葉に止まり少し開翅したときの写真が撮れました。びっくりするくらい長い尾状突起だったので、かってに「オナガアカシジミ」と名前をつけ、それ以来、筒井康隆の「メタフォルセス群島」ではないですが、名前のわからないものは適当な名前をつけ楽しんでいます。
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himeoo27 at 2011-01-15 07:48
Branded imperial のマクロ接写の画像良いですね!
マレーシアですか、憧れの地がまた増えました。
マレーシアですか、憧れの地がまた増えました。
新しいカメラとレンズを手に入れられたのですね。
D7ではなくて7Dでしょうか。
短焦点の300のシャープさはすばらしいですね。
尻尾の長いシジミの仲間、魅力的ですね。
東南アジアは面白そうな場所が多いですね。
D7ではなくて7Dでしょうか。
短焦点の300のシャープさはすばらしいですね。
尻尾の長いシジミの仲間、魅力的ですね。
東南アジアは面白そうな場所が多いですね。
naoggio さん
コメント有難うございます。
マレーシアは昆虫の撮影では、とても素晴らしいところです。
今回はあまり下調べもせずに訪れましたが、アカエリトリバネも確実にみることができるでしょう。
コメント有難うございます。
マレーシアは昆虫の撮影では、とても素晴らしいところです。
今回はあまり下調べもせずに訪れましたが、アカエリトリバネも確実にみることができるでしょう。
otto-Nさん、
コメント有難うございます。
Yamflyは日本語ではたしかにオナガアカシジミと呼ばれているみたいですね。開翅したときには、たしかにアカシジミみたいでした。
日本のチョウと違って、外国種の名前は、適当につけて楽しむのも良いかもしれませんね。
コメント有難うございます。
Yamflyは日本語ではたしかにオナガアカシジミと呼ばれているみたいですね。開翅したときには、たしかにアカシジミみたいでした。
日本のチョウと違って、外国種の名前は、適当につけて楽しむのも良いかもしれませんね。
ダンダラさん、
コメント有難うございます。
キャノンのマクロレンズが使用したくて、キャノンにしてみましたが、300mmもつい購入してしまいました。お恥ずかしい7Dですね。とにかくこれからもオリンパスは併用しようかと思ってます。それぞれの良さがわかります。マレーシアは種類を絞っていけばもっと楽しいでしょう。
コメント有難うございます。
キャノンのマクロレンズが使用したくて、キャノンにしてみましたが、300mmもつい購入してしまいました。お恥ずかしい7Dですね。とにかくこれからもオリンパスは併用しようかと思ってます。それぞれの良さがわかります。マレーシアは種類を絞っていけばもっと楽しいでしょう。
by tyu-rinkazan
| 2011-01-12 22:34
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Comments(14)