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20110227 米国サンアントニオの蝶たち (2)

Nature Diary #0375

§ Diary §

シカゴ上空に差し掛かった時、雲海の上にブロッケン現象(Brocken spectre)を見た。

ブロッケン現象の発生原理を考えれば、飛行機で見かけるチャンスはけっして少なくはないと思うが、山以外でこのブロッケンをみるのは初めてでした。

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雲海のブロッケン現象

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA200
(San Antonio, USA, 2月27日)



サンアントニオのお土産を物色していたら、お店の片隅に「コウロギと芋虫のお菓子?」を見つけました。箱の裏にnutrition agentと書かれていたので、 栄養食として販売されているのかも知れません。コウロギはサワークリーム味で、芋虫はチェダーチーズ味らしい。

日本をはじめアジアにもひろく食虫習慣はありますが、アメリカにもこのようなものがあるとは知りませんでした-----ちなみに帰国後、まだこれを味見した人はいない

20110227 米国サンアントニオの蝶たち (2)_d0090322_6233749.jpg




» アメリカチャマダラセセリ
Checkered Skipper; Pyrgus communis


サンアントニオ植物園の花壇では、沢山のチャマダラセセリが訪花していた。

チャマダラセセリといっても日本のものとは異なる種類のアメリカチャマダラセセリ(アメチャマ)です。アメチャマはこちらでは広く分布する普通種のようですが、日本のチャマを知る虫屋の僕には、見るとやはり感激してしまいます。

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黄色い花で吸蜜するアメリカチャマダラセセリ♀

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



アメチャマは、メスに比べてオスの方白斑の数が多い。

でも、ここにはミナミチャマダラセセリという別種がいるはずだが、アメチャマとミナミチャマの両種は非常に良く似ていて、翅表での判定は難しそうだ。まあ、常識的に考えると、撮影したチャマはアメリカチャマと考えるのが妥当と思いました。

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アメリカチャマダラセセリ♂

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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アメリカチャマダラセセリ♂

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)




» ホレースミヤマセセリ Horace's Duskywing;, Battus philenor

日本のミヤマセセリに良く似たセセリも出現した。
このセセリは花壇や白い木の花に沢山集まっていました。

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ホレースミヤマセセリ

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)




» ソウシキセセリ Funereal Skipper;, Erynnis funerelis

気の毒なことに、このセセリの名前には Funereal skipper (葬式セセリ) という。
そんな名前が付けられていれば、このセセリが少しオドロオドロしく見えてきてしまう。

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ソウシキミヤマセセリ

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)




» Clouded Skipper ; Lerema accius

このClouded Slipper という英名に、適当な和名は付けにくい。
付けにくいものには、無理につける必要がなかろうと思います。

20110227 米国サンアントニオの蝶たち (2)_d0090322_631514.jpg
Clouded Skipper

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Canon 7D, EF Sigma 17-70mm, ASA400, Trimming (+)
(San Antonio, USA, 2月27日)




» その他 Miscellaneous

その他、まだまだ多くのチョウを見ることが出来ました。
以下に数種類のものを供覧します。

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クサトベラコノハチョウ:Goatweed leafwing

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Canon 7D, EF 300mm, ASA800
(San Antonio, USA, 2月27日)

20110227 米国サンアントニオの蝶たち (2)_d0090322_6321511.jpg
アメリカタテハモドキ Buckeye

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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アメリカヒメアカタテハ American Painted Lady

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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テングチョウ Snout Butterfly

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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ホクベイヒョウモンモドキ Field Crescent

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)


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§ Afterword §

ここ San Antonio はアメリカ合衆国テキサス州で、ちょうどメキシコとの国境の町です。そうすると、これらの蝶たちは、メキシコ北部とほぼおなじです。国境などは人間の社会の区分で、昆虫や植物には国境などはありません----当たり前。

まだ撮影したチョウたちは何種類かありますが、いつか供覧してみたいと思います。


これでサンアントニオの日記は終了します。





以上、 by 虫林花山
Commented by yoda-1 at 2011-03-07 12:25
前回とあわせて、サンアントニオの蝶を堪能できました。
その地はもう春真っ盛りなのですね。
昔、近くのツーソンに少しいたことがありますが、たぶん夏はすさまじく暑いのではと想像します。
日本のミヤマセセリの近縁種が結構いるのに興味深いです。
葬式セセリとは、葬式時の衣装に似ているからでしょうか。
Clouded Slipper を強引に和名化すると、クモマセセリになる感じですが、当地でのコミュニケーション用には英語名のカタカナ表記を和名にするのが一番だと思います。
魚の和名がそうですよね。国内産以外は英語名のカタカナ表示が通常だったはずです。
野鳥は、趣味の人が多いためか、和名が揃っていますけど・・・。
Commented by 虫林 at 2011-03-07 14:42 x
Yoda-1さん、
サンアントニオも夏はかなり暑いみたいで、今が一番良いシーズンなのかもしれません。でも、真夏のサンアントニオにも魅力を感じます。
外国のチョウの和名は少しいい加減なところがあって、ときどき?と思います。もともと和名を使わなくても、現地の正式な呼び名があれば本当はそれで(英語名のまま)いいでしょう。むりやり和名表記にするのであれば、英語名のカタカナ表記も良いかもしれませんね。むしろ、学名のカタカナ表記も一般的かなと思います。例えば Clouded Skipper の場合は、アクシウス(accius)セセリですかね。まあ、僕は和名にはあまりこだわっていません。
Commented by dragonbutter at 2011-03-07 22:34
食の記事につい反応してしまいました。
私はゲテモノ食いで有名な伊那地方出身ですので、イナゴ、蜂の子(クロスズメバチ幼虫)、ひび(カイコの蛹)は喜んで食べます。ざざ虫という水生昆虫の幼虫はちょっと抵抗がありますが。しかし↑のようなお土産を頂いてもちょっと食べれないでしょうね(笑)。やはり習慣の問題ですね。アメリカではセミをから揚げにして食べるということも聞いたことがありますが、これも無理です。
味がわかったら是非教えてください。
Commented by naoggio at 2011-03-08 16:08 x
ほとんどの蝶が日本に近縁種がいるのに、ずいぶん異質なニュアンスが漂っていて面白いですね。
アメリカチャマダラセセリは感動的です。私は日本のチャマダラセセリすらまだ見たことがないので、今年は機会があれば探しに行ってみたいと思っています。
Funereal skipper という名前、けっこうイケてると思います。本物を見てみたいなあ。
コオロギさん芋虫さん、栄養になって迷わず成仏して下さい。
ブロッケン、きれいに出てますねえ。久しく見ていません。
コメントが記事と逆の順番になってしまいスミマセンでした。興味の順に書いたらこうなってしまいました。
Commented by ぽんぽこ at 2011-03-08 21:48 x
ご無沙汰しております。
アメリカチャマダラセセリ・・・カッコイイですよね! 同じか良くわからないのですがペルーのアマゾン源流域のカラカラに乾燥した林道で見かけました。 チャマにそっくりなので嬉しくなったのを覚えております。
サンアントニオでは以外に緑が多く湿度感を感じましたがいかがでしたか? それにしても・・・コオロギにミルワーム似の「おやつ」食べてみたいですね! 何でも食べてしまう【ぽん!】でした。
Commented by 虫林 at 2011-03-09 06:23 x
dragonbutterさん、
コメント有難うござます。
この虫は保存がききそうなので、いつか勇気を出して食べてみたいと思っています。だれか一緒に食べてくれればよいのですが、家内は無理なようです。でも、その土地の文化ともいえるものですから面白いですよね。
Commented by 虫林 at 2011-03-09 06:26 x
naoggio さん、
有難うございます。
サンアントニオには、チャマは3種類がいるみたいです。
このアメチャマはもっとも普通で花壇で飛び回っていました。日本のチャマは本州では数が減ってしまって、山梨県ではほとんど見ることが不可能みたいで残念です。今年も山梨県内で無駄な抵抗をしようかな。
Commented by 虫林 at 2011-03-09 06:35 x
ぽんぽこさん、
こちらこそご無沙汰でした。
アマゾン源流域のカラカラでご覧になったとは羨ましいですね。
ぼくにとってアマゾンは永遠の憧れです。そのチャマは tropical checkered skipper (ミナミチャマダラセセリ)かもしれません。これはアメチャマと良く似ています。
サンアントニオは雨が降ったりもしたので、湿っていました。
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by tyu-rinkazan | 2011-03-07 06:39 | Comments(8)

Photographic Adventures for Insects and Flowers


by 虫林花山
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