20121008 秋の散歩道:クロツバメシジミの紋流れ異常型
2012年 10月 12日
Nature Diary #476
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▊ Diary ▊
実りの秋。天高く馬肥える秋。最近、食欲が止まらない。
このままでは「天高く虫林肥える秋」になってしまう。
連休最終日の本日(体育の日)は、ツマグロキチョウに会うために少し足を伸ばしてみることにした。というのも、昨年はかなりの個体が観察できた場所で、今年はまだその姿を見ていないからだ------突然消えるなんとも不思議だな。もともと棲息地の面積が狭かったこともあるけれど、ことわりも無く突然いなくいなるなんてまるで家出でもしたみたいだ。
どこかで家出ツマグロキチョウを見かけたら帰るように言ってほしい----ダメか。
█ ツマグロキチョウ; The Angulated Grass Yellow
ポイントに到着してほどなく、目の前を弱々しく飛ぶ小型のキチョウを見かけた。
そもそもキチョウはふらふらといかにも「今止まりますよ〜」という風情で飛ぶが、実はいつになっても静止しないことが多い。ところが、このふらふらキチョウはすぐにクズの葉に静止してくれた。
あまり期待もしないで(よく期待はずれになるので)近づいてみると、翅裏後翅に斜めに走る茶色い線状紋がみえた。なんと目撃したキチョウの一発目が目的のツマグロキチョウだったのだ。
秋型のツマグロキチョウは翅先が尖っていてクール。

クズの葉に静止するツマグロキチョウ The Angulated Grass Yellow
October-08-2012, Fujinomiya-shi, Shizuoka
█ クロツバメシジミ; Lycaeides argyrognomom, The Black Cupid
ツマグロキチョウを撮影している時に、突然、蝶友 thecla さん(フィールドノート)から電話。
聞く所によると、昨日、山梨県のクロツバメシジミ(以下クロツ)ポイントで、「すんごーい紋流れのクロツ」を見つけたとのこと。でも、その時はすぐに風に飛ばされてしまい、たった一枚の証拠写真しか撮影できなかったらしい。そこで、本日は朝からまたそのポイントを訪れて探しているとのことだった。
「紋流れ」と聞いてはほっておけない。ツマグロキチョウはほどほどにして早速駆けつけたのは言うまでもないだろう。現地では Daron さん(Daron's webblog) も来られていたので、thecla, Daron, 不肖虫林の3人で「すんごーい紋流れクロツ」を探すことになった。
こんな宝探しはワクワクするな--------そして、とうとう本命の thecla さんが発見!

クロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid
October-08-2012, Yamanashi
近寄ってみると、確かに「すんごーい紋流れ」で、まるで別のチョウのようだ。
残念なのは片方の翅(左の翅)に軽度の羽化不全があるみたいだった。そのため、飛翔力がふつうのクロツよりも少し弱いように思えた(おかげでゆっくりと撮影できるけどね)。

クロツバメシジミ紋流れ異常型 (左:ピンシャン、右:少しよれている)
October-08-2012, Yamanashi
とにかくロストしないように誰かが常に見守りながら撮影。
それにしてもこのクロツの紋流れは、これまでネット上などで見てきたヤマトシジミの紋流れと比較してもグレードが高い。また、後翅裏面亜辺縁にあるオレンジ紋はあまり変化しておらず、まるで「本当はクロツバメシジミなんだぞ」と主張しているようだ。

ツメレンゲに静止するクロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid
October-08-2012, Yamanashi
後翅表の亜外縁にあるはずの青色条が見えない(異常かどうかはわからないが)。もう少し恥ずかしがらずに翅を開いてくれればわかるのに-----。

石の上に静止するクロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid
October-08-2012, Yamanashi
クロツの雄雌は野外で見分けるのは結構難しいらしいが、ツメレンゲで産卵したのでメスであることは間違いないだろうと思う。。

産卵するクロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid
October-08-2012, Yamanashi
ついでに(失礼)普通のクロツも少しだけ撮影した。

クロツバメシジミ(通常型) The Black Cupid (usual form)
October-08-2012, Yamanashi
お昼に近くなるとクロツバメシジミたちはどこからともなく現れ、あちらこちらでメスの後をオスが追う求愛行動も観察できた。メスを追うオスの姿は人間模様を少し感じさせてくれて哀れになる。追えば追うほどダメなのに-----(これは人間だけか?)。

求愛するクロツバメシジミ(通常型) A courtship behavior of the Black Cupid (usual form)
October-08-2012, Yamanashi
石の上で交尾する個体が見つかった。
かれらの交尾は我々が去るまで続いていたので、2時間くらいは継続していたと思う。

交尾するクロツバメシジミ(通常型) Mating of the Black Cupid (usual form)
October-08-2012, Yamanashi
█ チャバネセセリ; Lycaeides argyrognomom, The Small Branded Swift
草の周りを変な飛び方をするチャバネセセリを見つけた。
少し観察していると、案の定、産卵した。卵も観察できたが、産卵直後は青いようだ。

産卵するチャバネセセリ Egg-lying of the Small Branded Swift
October-08-2012, Yamanashi
▊ Afterword ▊
聞く所によれば、紋流れという変異は、飼育下で低温処理をすると現れるらしい。しかし、自然状態では低温暴露されているように思えず、それによる変異というだけでは説明がつきにくいだろうと思う。また、ここでは3年前にtheclaさんが別のクロツ紋流れ個体も見つけているので、何か遺伝的な要素があるのかも知れない。
石積みの斜面で紋流れクロツを夢中で撮影していると、ついつい足下が不注意になってしまって、何度か斜面から滑り落ちてしまった。僕は夢中になると周りが見えなくなる---危ない、危ない。
出会う確率のとても低いと思われるクロツの紋流れ個体を撮影できたのは theclaさんのお蔭です。感謝。
また現地では今回もDaronさんともご一緒できて楽しかった。
以上、by 虫林花山
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実りの秋。天高く馬肥える秋。最近、食欲が止まらない。
このままでは「天高く虫林肥える秋」になってしまう。
連休最終日の本日(体育の日)は、ツマグロキチョウに会うために少し足を伸ばしてみることにした。というのも、昨年はかなりの個体が観察できた場所で、今年はまだその姿を見ていないからだ------突然消えるなんとも不思議だな。もともと棲息地の面積が狭かったこともあるけれど、ことわりも無く突然いなくいなるなんてまるで家出でもしたみたいだ。
どこかで家出ツマグロキチョウを見かけたら帰るように言ってほしい----ダメか。
█ ツマグロキチョウ; The Angulated Grass Yellow
ポイントに到着してほどなく、目の前を弱々しく飛ぶ小型のキチョウを見かけた。
そもそもキチョウはふらふらといかにも「今止まりますよ〜」という風情で飛ぶが、実はいつになっても静止しないことが多い。ところが、このふらふらキチョウはすぐにクズの葉に静止してくれた。
あまり期待もしないで(よく期待はずれになるので)近づいてみると、翅裏後翅に斜めに走る茶色い線状紋がみえた。なんと目撃したキチョウの一発目が目的のツマグロキチョウだったのだ。
秋型のツマグロキチョウは翅先が尖っていてクール。

October-08-2012, Fujinomiya-shi, Shizuoka
█ クロツバメシジミ; Lycaeides argyrognomom, The Black Cupid
ツマグロキチョウを撮影している時に、突然、蝶友 thecla さん(フィールドノート)から電話。
聞く所によると、昨日、山梨県のクロツバメシジミ(以下クロツ)ポイントで、「すんごーい紋流れのクロツ」を見つけたとのこと。でも、その時はすぐに風に飛ばされてしまい、たった一枚の証拠写真しか撮影できなかったらしい。そこで、本日は朝からまたそのポイントを訪れて探しているとのことだった。
「紋流れ」と聞いてはほっておけない。ツマグロキチョウはほどほどにして早速駆けつけたのは言うまでもないだろう。現地では Daron さん(Daron's webblog) も来られていたので、thecla, Daron, 不肖虫林の3人で「すんごーい紋流れクロツ」を探すことになった。
こんな宝探しはワクワクするな--------そして、とうとう本命の thecla さんが発見!

October-08-2012, Yamanashi
近寄ってみると、確かに「すんごーい紋流れ」で、まるで別のチョウのようだ。
残念なのは片方の翅(左の翅)に軽度の羽化不全があるみたいだった。そのため、飛翔力がふつうのクロツよりも少し弱いように思えた(おかげでゆっくりと撮影できるけどね)。

October-08-2012, Yamanashi
とにかくロストしないように誰かが常に見守りながら撮影。
それにしてもこのクロツの紋流れは、これまでネット上などで見てきたヤマトシジミの紋流れと比較してもグレードが高い。また、後翅裏面亜辺縁にあるオレンジ紋はあまり変化しておらず、まるで「本当はクロツバメシジミなんだぞ」と主張しているようだ。

October-08-2012, Yamanashi
後翅表の亜外縁にあるはずの青色条が見えない(異常かどうかはわからないが)。もう少し恥ずかしがらずに翅を開いてくれればわかるのに-----。

October-08-2012, Yamanashi
クロツの雄雌は野外で見分けるのは結構難しいらしいが、ツメレンゲで産卵したのでメスであることは間違いないだろうと思う。。

October-08-2012, Yamanashi
ついでに(失礼)普通のクロツも少しだけ撮影した。

October-08-2012, Yamanashi
お昼に近くなるとクロツバメシジミたちはどこからともなく現れ、あちらこちらでメスの後をオスが追う求愛行動も観察できた。メスを追うオスの姿は人間模様を少し感じさせてくれて哀れになる。追えば追うほどダメなのに-----(これは人間だけか?)。

October-08-2012, Yamanashi
石の上で交尾する個体が見つかった。
かれらの交尾は我々が去るまで続いていたので、2時間くらいは継続していたと思う。

October-08-2012, Yamanashi
█ チャバネセセリ; Lycaeides argyrognomom, The Small Branded Swift
草の周りを変な飛び方をするチャバネセセリを見つけた。
少し観察していると、案の定、産卵した。卵も観察できたが、産卵直後は青いようだ。

October-08-2012, Yamanashi
▊ Afterword ▊
聞く所によれば、紋流れという変異は、飼育下で低温処理をすると現れるらしい。しかし、自然状態では低温暴露されているように思えず、それによる変異というだけでは説明がつきにくいだろうと思う。また、ここでは3年前にtheclaさんが別のクロツ紋流れ個体も見つけているので、何か遺伝的な要素があるのかも知れない。
石積みの斜面で紋流れクロツを夢中で撮影していると、ついつい足下が不注意になってしまって、何度か斜面から滑り落ちてしまった。僕は夢中になると周りが見えなくなる---危ない、危ない。
出会う確率のとても低いと思われるクロツの紋流れ個体を撮影できたのは theclaさんのお蔭です。感謝。
また現地では今回もDaronさんともご一緒できて楽しかった。
以上、by 虫林花山
これは確かに強烈ですね。
久々に、ザ・ハンモンナガレ を観賞させていただきました。
3人での見失わない連携プレーも頼もしく感じました。
チャバネセセリの卵も未見だけに怪しい輝きに感じました。
久々に、ザ・ハンモンナガレ を観賞させていただきました。
3人での見失わない連携プレーも頼もしく感じました。
チャバネセセリの卵も未見だけに怪しい輝きに感じました。
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先日もまた御世話になりました。
「家出」ツマグロキチョウの動向が気になる所です(^^;;
チャバネセセリの卵がどうも旨く撮れず失敗しました(><:)
それはともかく。。。やはり斑紋流れは凄かったですね。
ほんとタイミング良かったです(笑
「家出」ツマグロキチョウの動向が気になる所です(^^;;
チャバネセセリの卵がどうも旨く撮れず失敗しました(><:)
それはともかく。。。やはり斑紋流れは凄かったですね。
ほんとタイミング良かったです(笑
クロツの異常型はすごいですね。
やはり遺伝子の関与を疑ってしまいます。
劣性だとしたら保因者(保因蝶)はそのあたりに結構いるんでしょうかね。
交尾写真も素晴らしいですね。
ツマグロキチョウは来年回復するといいですね。
やはり遺伝子の関与を疑ってしまいます。
劣性だとしたら保因者(保因蝶)はそのあたりに結構いるんでしょうかね。
交尾写真も素晴らしいですね。
ツマグロキチョウは来年回復するといいですね。
クロツバメ、異常型の半端ぢゃないところが凄いですね。
産卵してたってことは、この卵から生まれた子供達も、同じ流れ遺伝子を持っていることでしょうから、ここのポイントではこの流れが累代続いていくんでしょうね。面白いです。
でも、通常型の端正な美しさは、やはり捨てがたいですね。
クロツバメ、かわいい!!
産卵してたってことは、この卵から生まれた子供達も、同じ流れ遺伝子を持っていることでしょうから、ここのポイントではこの流れが累代続いていくんでしょうね。面白いです。
でも、通常型の端正な美しさは、やはり捨てがたいですね。
クロツバメ、かわいい!!
yoda-1さん、
確かに紋流れは強烈でした。まるで別のチョウみたいですが、
赤紋は正常ですので、クロツであることは明白ですね。
3人いると気分的に楽でしたね。
チャバネセセリの産卵は僕も初めてですが、卵は産卵
直後はどうして色づくのかな。
確かに紋流れは強烈でした。まるで別のチョウみたいですが、
赤紋は正常ですので、クロツであることは明白ですね。
3人いると気分的に楽でしたね。
チャバネセセリの産卵は僕も初めてですが、卵は産卵
直後はどうして色づくのかな。
dragonbutterさん、
そうですね毎年見ることができないのと、数が少ないので、
劣性遺伝かもしれませんね。ここのクロツはこれからも
注目に値します。
ツマグロキチョウは突然いなくなって心配しています。
そうですね毎年見ることができないのと、数が少ないので、
劣性遺伝かもしれませんね。ここのクロツはこれからも
注目に値します。
ツマグロキチョウは突然いなくなって心配しています。
OTTOさん、
累代で遺伝子は引き継がれていくとは思いますは、劣性遺伝
の可能性が高いように思います。何しろ数が少ないので、
これから毎年観察していく必要がありますね。正常の個体は
本当に可愛いです。とくに目は蝶の中で最も綺麗かもしれません。
累代で遺伝子は引き継がれていくとは思いますは、劣性遺伝
の可能性が高いように思います。何しろ数が少ないので、
これから毎年観察していく必要がありますね。正常の個体は
本当に可愛いです。とくに目は蝶の中で最も綺麗かもしれません。
すんごーい紋流れを堪能しました。
クロツの黒い目の他、縁毛のふさふさに初めて気がつきました。翅表ばかりに気をとられていました。
「メスを追うオスの姿は・・・」、同感です。ヤマトのこんなシーンを見るたびに身につまされますが・・・
ツマグロキチョウは突然とのことで心配ですね。
クロツの黒い目の他、縁毛のふさふさに初めて気がつきました。翅表ばかりに気をとられていました。
「メスを追うオスの姿は・・・」、同感です。ヤマトのこんなシーンを見るたびに身につまされますが・・・
ツマグロキチョウは突然とのことで心配ですね。
otto-Nさん、
有難うございます。
クロツの目は黒くて、大きくてとても綺麗です。僕はこの目が
クロツの特徴かなとおもっています。
チョウたちは子孫を残そうとしての行動を人間にあてはめては
いけないとは思いますが、なんとなく可哀そうですね。
有難うございます。
クロツの目は黒くて、大きくてとても綺麗です。僕はこの目が
クロツの特徴かなとおもっています。
チョウたちは子孫を残そうとしての行動を人間にあてはめては
いけないとは思いますが、なんとなく可哀そうですね。
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
ツマグロキチョウ、いて良かったですね。
狭い生息地だから、発生にはぶれがあるんでしょうね。
クロツバメシジミは、theclaさんのブログで見て仰天しましたが、こちらでも素晴らしい写真を拝見して羨ましい限りです。
ここの個体群はこれから要注意ですね。
狭い生息地だから、発生にはぶれがあるんでしょうね。
クロツバメシジミは、theclaさんのブログで見て仰天しましたが、こちらでも素晴らしい写真を拝見して羨ましい限りです。
ここの個体群はこれから要注意ですね。
今年はツマグロキチョウが撮影できていなかったので、以前に
ダンダラさんに教えていただいたポイントに行きました。そこ
でも、やはり個体数は例年に比べるとかなり少ないようでしたよ。
クロツバメシジミの異常型は本当にすごかったです。劣性遺伝
あるかもしれませんので、確かに毎年注意が必要ですね。
ダンダラさんに教えていただいたポイントに行きました。そこ
でも、やはり個体数は例年に比べるとかなり少ないようでしたよ。
クロツバメシジミの異常型は本当にすごかったです。劣性遺伝
あるかもしれませんので、確かに毎年注意が必要ですね。
by tyu-rinkazan
| 2012-10-12 17:10
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