20121130 フィリピンの散歩道:UPのフィリピンキシタアゲハ
2012年 12月 04日
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Nature Diary vol.7(58): #483 ‖
これまでもアジアの国々には何度か出張しているが、フィリピンを訪れるのは今回が初めてだ。
フィリピンのマニラ国際空港に到着してみると、法医学者のセシリアさんが出口で名前のボードを持って出迎えてくれた。さっそく彼女に案内されて空港から外に出てみると、夜の10時にもかかわらず蒸し暑く感じる。ウーム、この何ともいえないどよっと湿り気を帯びたような空気感------まさしく東南アジアの空気そのものだと勝手に納得してしまった。今ではこの熱帯アジアの空気感が妙に懐かしく思えるようになった。
█ マニラ Manila
フィリピンのルソン島に位置する首都マニラは急速に発展している街だ。2012年にアメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて、世界第51位の都市と評価された(ちなみに東京はニューヨーク、ロンドン、パリについで第4位)。
宿泊するホテルの周りには、建設中の高層ビルが立ち並んでいる。いかにも「これからマニラに摩天楼を作りますよ~」という意気込みを感じる。ふと思い立って、これまでほとんどカメラを向けたことがなかった工事中のビル群を、オリンパスOM-Dに内蔵されているアートフィルターのドラマティックトーンで撮影してみることにした。ちなみに今回は荷物を軽くするために、オリンパスの一眼 OMD と交換レンズ2本だけ(14-150㎜、60㎜マクロ)を持参したのだ。小さいことは良いことだが、どことなく頼りない感じが拭いきれないな。ドラマティックトーンはただの景色をワンダーランドに変えてくれる。

マニラのビル群(ドラマティックトーン) . A landscape of Manila
Olympus OM-D E-5, Nov-29-2012, Manila, Philippines
█ フィリピンキシタアゲハ Troides rhadamantus
学会主催者のエドナさんが「どこか行きたいところがある?」と尋ねてきた。
これは「飛んで火にいる夏の虫」ならぬ「飛んで火にいる冬のエドナさん」である。遠慮なく、「チョウのいる場所に連れて行って欲しい」と答えた。でも、自然のチョウが多い場所など、まっとうな人間(まして女性)であるエドナさんが知ろうはずもない。そこで、リクエストのキーワードを「チョウのいる場所」から「山の公園」に変えてみることにした。虫林曰く、「暑いときに人は海に行くが、虫屋は山を目指す」のだ。
朝、セシリアさんとレジデントのアンサリー君がホテルに迎えに来てくれ、「フィリピン大学 University of Philippines (UP)の森林公園」に行くことになった。UPの自然公園は、マニラ市内から車で2時間ほどのロスバニョス Los Banos にある。

フィリピン大学の森林公園の入り口 . The entrance of Botanical garden in Philippine university
Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Manila, Philippines
入り口を入ってすぐの広場で、森を見上げるとなんとそこにキシタアゲハが滑空していた。
キシタアゲハに限らずアゲハチョウの仲間は見ることはできても、いざ撮影するとなると結構骨が折れる。はやる気持ちを抑えて、じっと彼らが飛ぶ姿を観察していたところ、嬉しいことに、オレンジ色の花が咲くサンタンカの木に降りてきて、葉上に静止してくれた。思わず心の中でガッツポーズしながら撮影。

サンタンカの木の葉上に静止するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus
Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
実はフィリピンに来る前は学会での発表の準備で忙しくてどのような蝶が棲息するのかさえ調べていなかった。
もちろん、恥ずかしながらフィリピンキシタの存在すら念頭にはなかったのだ。
近藤典生氏と西田誠氏による「トリバネアゲハの世界」という本によれば、フィリンピンには広域分布種のヘレナキシタは分布せず、フィリピンキシタが生息する。どうやら、フィリピンキシタはフィリピンの島々にほぼ特産するといってよいらしい----嬉しいものだ。さらに、「フィリピンキシタは平地から低山に棲息するが、どこにでもいるわけではない」と記されている。ヘレナキシタに比べると、フィリピンキシタでは翅に白いすじが明瞭であることに加え、飛び方もやや力強さに欠けるようだ。
とにかく、大型美麗腫を行き当たりばったりで撮影できたのだから有難い。


木の葉上に静止するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus resting on the leaf.
Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
待っているとゲートの近くの木の葉でも静止してくれた。虫林が立っている場所からかなり近い。
作業員が仕事の手を止めてこちらを見ているが、気にしないで撮影.
でも、その個体は右の翅の先が欠けていたのが残念だ。

木の葉上に静止するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus resting on the leaf.
Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
飛翔写真にもチャレンジしてみたが、OMDに14から150㎜のズームレンズの組み合わせではうまく撮影できなかった。やはりこんな時はいつも撮り慣れている一眼レフに明るい単焦点レンズが有利だと思う。もう少し練習が必要だ。

飛翔するフィリピンキシタアゲハ . Flying feature of a male of Troides rhadamantus
Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
フィリピンキシタアゲハはサンタンカのオレンジ色の花で吸蜜した。
ただ吸蜜時間は意外に短いのと、チャンスが少なかったこともあって、翅がぶれてしまった。
いつかもっとゆっくりと撮影してみたいものだ(いつも負け惜しみにそう思うのだが)。


サンタンカの翅で吸蜜するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus feeding on the flowers.
Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
▊ Afterword ▊
フィリピンでは意外にチョウが少なかった。それでもUPの自然公園ではそこそこに見ることができたのは良かったと思う。学会主催者のエドナさんやお付き合いいただいたセシリアさんとアンサリー君に感謝したい。お世話になりました。
実はフィリンピンに棲息するもうひとつの大型美麗種アカネアゲハもUPの自然公園内の渓谷沿いで何度か見かけることができた。本当に大きくて綺麗だった。アカネアゲハは残念ながら撮影するチャンスを与えてくれず、目の前を飛び去っていった。いつかこのチョウも撮影してみたいものだな。

虫林よ熱帯で何思う? .
フィリンピンの昆虫たちはまだいろいろと撮影したので、次回にそれを供覧する。
以上、by 虫林花山
Nature Diary vol.7(58): #483
これまでもアジアの国々には何度か出張しているが、フィリピンを訪れるのは今回が初めてだ。
フィリピンのマニラ国際空港に到着してみると、法医学者のセシリアさんが出口で名前のボードを持って出迎えてくれた。さっそく彼女に案内されて空港から外に出てみると、夜の10時にもかかわらず蒸し暑く感じる。ウーム、この何ともいえないどよっと湿り気を帯びたような空気感------まさしく東南アジアの空気そのものだと勝手に納得してしまった。今ではこの熱帯アジアの空気感が妙に懐かしく思えるようになった。
█ マニラ Manila
フィリピンのルソン島に位置する首都マニラは急速に発展している街だ。2012年にアメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて、世界第51位の都市と評価された(ちなみに東京はニューヨーク、ロンドン、パリについで第4位)。
宿泊するホテルの周りには、建設中の高層ビルが立ち並んでいる。いかにも「これからマニラに摩天楼を作りますよ~」という意気込みを感じる。ふと思い立って、これまでほとんどカメラを向けたことがなかった工事中のビル群を、オリンパスOM-Dに内蔵されているアートフィルターのドラマティックトーンで撮影してみることにした。ちなみに今回は荷物を軽くするために、オリンパスの一眼 OMD と交換レンズ2本だけ(14-150㎜、60㎜マクロ)を持参したのだ。小さいことは良いことだが、どことなく頼りない感じが拭いきれないな。ドラマティックトーンはただの景色をワンダーランドに変えてくれる。

Olympus OM-D E-5, Nov-29-2012, Manila, Philippines
█ フィリピンキシタアゲハ Troides rhadamantus
学会主催者のエドナさんが「どこか行きたいところがある?」と尋ねてきた。
これは「飛んで火にいる夏の虫」ならぬ「飛んで火にいる冬のエドナさん」である。遠慮なく、「チョウのいる場所に連れて行って欲しい」と答えた。でも、自然のチョウが多い場所など、まっとうな人間(まして女性)であるエドナさんが知ろうはずもない。そこで、リクエストのキーワードを「チョウのいる場所」から「山の公園」に変えてみることにした。虫林曰く、「暑いときに人は海に行くが、虫屋は山を目指す」のだ。
朝、セシリアさんとレジデントのアンサリー君がホテルに迎えに来てくれ、「フィリピン大学 University of Philippines (UP)の森林公園」に行くことになった。UPの自然公園は、マニラ市内から車で2時間ほどのロスバニョス Los Banos にある。

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Manila, Philippines
入り口を入ってすぐの広場で、森を見上げるとなんとそこにキシタアゲハが滑空していた。
キシタアゲハに限らずアゲハチョウの仲間は見ることはできても、いざ撮影するとなると結構骨が折れる。はやる気持ちを抑えて、じっと彼らが飛ぶ姿を観察していたところ、嬉しいことに、オレンジ色の花が咲くサンタンカの木に降りてきて、葉上に静止してくれた。思わず心の中でガッツポーズしながら撮影。

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
実はフィリピンに来る前は学会での発表の準備で忙しくてどのような蝶が棲息するのかさえ調べていなかった。
もちろん、恥ずかしながらフィリピンキシタの存在すら念頭にはなかったのだ。
近藤典生氏と西田誠氏による「トリバネアゲハの世界」という本によれば、フィリンピンには広域分布種のヘレナキシタは分布せず、フィリピンキシタが生息する。どうやら、フィリピンキシタはフィリピンの島々にほぼ特産するといってよいらしい----嬉しいものだ。さらに、「フィリピンキシタは平地から低山に棲息するが、どこにでもいるわけではない」と記されている。ヘレナキシタに比べると、フィリピンキシタでは翅に白いすじが明瞭であることに加え、飛び方もやや力強さに欠けるようだ。
とにかく、大型美麗腫を行き当たりばったりで撮影できたのだから有難い。


Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
待っているとゲートの近くの木の葉でも静止してくれた。虫林が立っている場所からかなり近い。
作業員が仕事の手を止めてこちらを見ているが、気にしないで撮影.
でも、その個体は右の翅の先が欠けていたのが残念だ。

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
飛翔写真にもチャレンジしてみたが、OMDに14から150㎜のズームレンズの組み合わせではうまく撮影できなかった。やはりこんな時はいつも撮り慣れている一眼レフに明るい単焦点レンズが有利だと思う。もう少し練習が必要だ。

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
フィリピンキシタアゲハはサンタンカのオレンジ色の花で吸蜜した。
ただ吸蜜時間は意外に短いのと、チャンスが少なかったこともあって、翅がぶれてしまった。
いつかもっとゆっくりと撮影してみたいものだ(いつも負け惜しみにそう思うのだが)。


Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines
▊ Afterword ▊
フィリピンでは意外にチョウが少なかった。それでもUPの自然公園ではそこそこに見ることができたのは良かったと思う。学会主催者のエドナさんやお付き合いいただいたセシリアさんとアンサリー君に感謝したい。お世話になりました。
実はフィリンピンに棲息するもうひとつの大型美麗種アカネアゲハもUPの自然公園内の渓谷沿いで何度か見かけることができた。本当に大きくて綺麗だった。アカネアゲハは残念ながら撮影するチャンスを与えてくれず、目の前を飛び去っていった。いつかこのチョウも撮影してみたいものだな。

フィリンピンの昆虫たちはまだいろいろと撮影したので、次回にそれを供覧する。
以上、by 虫林花山
出張お疲れ様でした。
仕事の合間とはいえ、キシタアゲハが撮影できるなんて羨ましい~
カメラを絞って持っていくって不安ですよね。
でもちゃんと撮影できて良かったですね。
仕事の合間とはいえ、キシタアゲハが撮影できるなんて羨ましい~
カメラを絞って持っていくって不安ですよね。
でもちゃんと撮影できて良かったですね。
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キシタアゲハ!これは、これは羨ましい限りです。
国外のチョウも撮ってみたいです(^_^;)
カメラ持つと、荷物が重くなるのでいつも悩ましいですね。
でも、大型のアゲハを撮るには一眼レフが欲しいです。
国外のチョウも撮ってみたいです(^_^;)
カメラ持つと、荷物が重くなるのでいつも悩ましいですね。
でも、大型のアゲハを撮るには一眼レフが欲しいです。
フィリピンは遠征したい地域ですが、いつも治安の面で二の足を踏んでしまいます。ただ、信頼できる方が同行して今回のような公園を探索するのであれば、楽しめそうです。二次林と言えども、20年もすると熱帯雨林と見まがう森に変化しますからね。
最後の絵、ココナッツジュースですかね。キシタを追いかけて汗を出し切った後、さぞや美味しかったことでしょう!
最後の絵、ココナッツジュースですかね。キシタを追いかけて汗を出し切った後、さぞや美味しかったことでしょう!
黒と黄というシンプルな配色が素敵な蝶ですね!
私もぜひ逢ってみたいです。
私もぜひ逢ってみたいです。
フィリピンかぁ。。
当然ながら、行ったことがありません。
キシタアゲハ この黄色、すごく鮮明で印象深いですね!
「山の公園」・・・大当たり\(^ ^)/
フィリピンって・・・今、季節は何???
常夏???
チョウチョに会えるだけでも、羨ましい限りです^^
サンタンカの花上が、本当にお似合いですね!
もうひとつの大型美麗チョウチョさん
きっとこの次は撮影できるでしょう(^0^)/
当然ながら、行ったことがありません。
キシタアゲハ この黄色、すごく鮮明で印象深いですね!
「山の公園」・・・大当たり\(^ ^)/
フィリピンって・・・今、季節は何???
常夏???
チョウチョに会えるだけでも、羨ましい限りです^^
サンタンカの花上が、本当にお似合いですね!
もうひとつの大型美麗チョウチョさん
きっとこの次は撮影できるでしょう(^0^)/
首都マニラの公園にちょいと出かけただけで、キシタアゲハに会えるなんて、フィリピンってのはなんていいところでなんでしょう。
キシタアゲハはさすが、トリバネの仲間だけあって、その大きさといい、ダイナミックな飛び方といい、輝くような黄色といい、出会った甲斐があると思える蝶ですね。
わたしもフィリピンに行ってみたいなぁ。
キシタアゲハはさすが、トリバネの仲間だけあって、その大きさといい、ダイナミックな飛び方といい、輝くような黄色といい、出会った甲斐があると思える蝶ですね。
わたしもフィリピンに行ってみたいなぁ。
1枚目にオリンパスのドラマティックトーン。これは良いアイキャッチになりますね。空からネイサン(アメリカドラマのヒーローズに出てくる飛ぶ能力者)が降りてきそうです。
フィリピンキシタ、いいですねえ。
キシタアゲハはダイナミックに飛ぶし、のんびりする時は暗い所にいたりしてとても撮影しにくそうな印象がありますが出張の合間にこれだけ撮影されるとはさすがですね。
虫林さん、何を思っているのでしょう ?
フィリピンキシタ、いいですねえ。
キシタアゲハはダイナミックに飛ぶし、のんびりする時は暗い所にいたりしてとても撮影しにくそうな印象がありますが出張の合間にこれだけ撮影されるとはさすがですね。
虫林さん、何を思っているのでしょう ?
Shippoさん、
フィリピンは僕も初めてでした。
キシタアゲハは撮影できるとはうれしい驚きでした。
フィリピンには雨季と乾季しかなく、現在は乾季でこれでも
過ごしやすいそうです。暑いのは5月だそうです。
このサンタンカの花をもっと早くに見つければ、もっと良い
写真が撮影できたかな?
フィリピンは僕も初めてでした。
キシタアゲハは撮影できるとはうれしい驚きでした。
フィリピンには雨季と乾季しかなく、現在は乾季でこれでも
過ごしやすいそうです。暑いのは5月だそうです。
このサンタンカの花をもっと早くに見つければ、もっと良い
写真が撮影できたかな?
OTTOさん、
キシタアゲハはジャングルの上を飛ぶのを指をくわえて
見ていることが多いです。今回はサンタンカの花があった
ので撮影できたようです。アゲハの仲間は花が無いと
本当に苦しいですね。
ラッキーでした。
キシタアゲハはジャングルの上を飛ぶのを指をくわえて
見ていることが多いです。今回はサンタンカの花があった
ので撮影できたようです。アゲハの仲間は花が無いと
本当に苦しいですね。
ラッキーでした。
naoggio さん、
有難うございます。
キシタアゲハの飛翔は本当にみるとドキドキします。さらにそれが
花に降りてくるとやったーと喜んでしまいました。フィリピンキシタ
はフィリピンの特産だけあって、以前に撮影したものとは一目で区別
できました。
有難うございます。
キシタアゲハの飛翔は本当にみるとドキドキします。さらにそれが
花に降りてくるとやったーと喜んでしまいました。フィリピンキシタ
はフィリピンの特産だけあって、以前に撮影したものとは一目で区別
できました。
by tyu-rinkazan
| 2012-12-04 00:19
| ● Philippines
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Comments(16)
