20130203 富士の散歩道:ミヤマカラスシジミの越冬卵
2013年 02月 04日
Nature Diary vol.8(07): #494
▊ 越冬するヤマキチョウの謎 ▊
成蝶で越冬したチョウは、越冬明けにはそれなりに「尾羽打ち枯らす」が、ヤマキチョウだけは越冬明けでもまるで新成虫のようにピンシャンの翅をもつ。これはヤマキチョウの翅そのものの性質もあるかもしれないけど、越冬する場所も影響しているにちがいない。しかしながら、越冬しているヤマキチョウの姿は、現在でもなお謎に包まれたままになっている。
このヤマキチョウの越冬態の解明は、チャレンジする価値があるサブジェクトだとは思うけど、「砂の中から針を探す」ほどに難しいかも----「どげんかせんといかん」(宮崎弁?)
****************************************************************************************************
▊ Diary ▊
毎日バタバタと暮しているうちに、すでに「節分」になり、明日は「立春」だ。
ウーム、春が待ち遠しいな。
日曜日は朝起きると気持ちよく晴れていて、気温も高い(まるで春のような陽気)。
そこで、「謎のヤマキチョウ越冬態」を探すためにヤマキチョウが棲む富士山麓の草原に向かった。
途中、富士五湖の一つの精進湖を通りかかると、氷結した湖面にはワカサギ釣りの船が数艘浮かんでいた。ステレオタイプで背景に富士を入れたが、富士山という山には雲がないと面白くない。ちょうど、中腹を雲がおおってくれたので、この時とばかりに撮影した。「雲が無い富士山なんて、クリープを入れないコーヒーのようなもの」だな(古い)。
精進湖と富士山...The boats for Wakasagi fishing on the freezing lake in the background of Mt. Fuji. .
(Olympus OM-D E-M5, M-ZD 14-150mm, Feb-03-2013, Fuji-kawaguchiko-machi, Yamanashi)
ふと、スギの木を見ると雄花(杉は雌雄同株)が沢山ついて赤茶色を帯びていた。
こりゃあ、今年も花粉が沢山飛びそうだな。見ているだけで鼻がむずむずしてくる。
春になると日本人の10人に1人(東京では5人に1人)に花粉症の症状が出る。
花粉症はヒトだけでなく、犬や猫までなる日本の国民病。
何を隠そう、虫林も毎年春になると鼻水が出て、目がかゆくなり、頭がボーとしています(いつもかも)。でも、花粉が飛散する春はフィールド散歩が最も楽しい時期でもあるので、めげずに散歩してしまう。かくして、鼻水をポタポタと垂らしながらカメラをかまえる羽目になる。仕方ないな。
今年は昨年よりも花粉の量がかなり多いらしいので要注意。
スギのオス花(花粉症の原因)...The flowers of Japanese Cedar producing pollen that causes hay fever.
(Olympus OM-D E-M5, M-ZD 14-150mm, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
大きな富士山に見守られながら、「幻のヤマキチョウ越冬態」を求めて、広い草原の中を枯草の間、茂みの中、岩の間などをのぞきながらうらうらと散歩した。案の定、越冬しているヤマキチョウはおろかチョウの姿を一頭も見つけることができずに玉砕。
でも、本日は穏やかな気候で、富士山麓の広い草原を歩いただけでも気持ちがよかった(負け惜しみかな)。
ヤマキチョウが棲む(はずの)富士山の草原...Grassland of Mt.Fuji.
(Olympus OM-D E-M5, M-ZD 14-150mm, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
█ ミヤマカラスシジミ越冬卵 Overwintering egg of the Mera Black Hairstreak
この草原では夏にミヤマカラスシジミをよく見かける。
そういえば、これまでこのチョウの越冬卵を撮影していないことを思い出した。ならば、ミヤマカラスシジミの越冬卵でも探してみることにしよう。昆虫写真家の海野和男氏の「小諸日記」によれば、「ミヤマカラスシジミの卵は、冬のチョウの卵の中で最も見つけやすい」と紹介されている------目に自信がない虫林でも見つけることができるかもしれない。
1時間ほど探して、何とかクロツバラの枝に小さな越冬卵を数個発見。
「朝飯前」と思ったのが、結局「夕飯前」くらいだったな。
ミヤマカラスシジミの越冬卵... An overwintering egg (arrow) of the Mera Black Hairstreak.
(Olympus OM-D E-M5, Panasonic Lumix G 8mm, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
越冬卵が付いている場所は新芽のある細い枝だった。
ミヤマカラスシジミの越冬卵... .
(Olympus OM-D E-M5, M-Zuiko, ED60mm Macro, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
ミヤマカラスシジミの越冬卵の表面は、通常のゼフィルスに比べて突起が短くてすこしのっぺりとした感じでした。特徴はガラス細工のような透明感がある編み目模様ということです。
ミヤマカラスシジミの越冬卵....
(Olympus OM-D E-M5, M-Zuiko, ED60mm Macro + Nikon 50mm (reverse), Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
▊ Afterword ▊
結局、今回も越冬するヤマキチョウを見つけることができなかった。
無駄な努力もいつかは報われることを期待している。
また懲りずに探索してみよう。
Never give up!
以上、by 虫林花山
▊ 越冬するヤマキチョウの謎 ▊
成蝶で越冬したチョウは、越冬明けにはそれなりに「尾羽打ち枯らす」が、ヤマキチョウだけは越冬明けでもまるで新成虫のようにピンシャンの翅をもつ。これはヤマキチョウの翅そのものの性質もあるかもしれないけど、越冬する場所も影響しているにちがいない。しかしながら、越冬しているヤマキチョウの姿は、現在でもなお謎に包まれたままになっている。
このヤマキチョウの越冬態の解明は、チャレンジする価値があるサブジェクトだとは思うけど、「砂の中から針を探す」ほどに難しいかも----「どげんかせんといかん」(宮崎弁?)
▊ Diary ▊
毎日バタバタと暮しているうちに、すでに「節分」になり、明日は「立春」だ。
ウーム、春が待ち遠しいな。
日曜日は朝起きると気持ちよく晴れていて、気温も高い(まるで春のような陽気)。
そこで、「謎のヤマキチョウ越冬態」を探すためにヤマキチョウが棲む富士山麓の草原に向かった。
途中、富士五湖の一つの精進湖を通りかかると、氷結した湖面にはワカサギ釣りの船が数艘浮かんでいた。ステレオタイプで背景に富士を入れたが、富士山という山には雲がないと面白くない。ちょうど、中腹を雲がおおってくれたので、この時とばかりに撮影した。「雲が無い富士山なんて、クリープを入れないコーヒーのようなもの」だな(古い)。
(Olympus OM-D E-M5, M-ZD 14-150mm, Feb-03-2013, Fuji-kawaguchiko-machi, Yamanashi)
ふと、スギの木を見ると雄花(杉は雌雄同株)が沢山ついて赤茶色を帯びていた。
こりゃあ、今年も花粉が沢山飛びそうだな。見ているだけで鼻がむずむずしてくる。
春になると日本人の10人に1人(東京では5人に1人)に花粉症の症状が出る。
花粉症はヒトだけでなく、犬や猫までなる日本の国民病。
何を隠そう、虫林も毎年春になると鼻水が出て、目がかゆくなり、頭がボーとしています(いつもかも)。でも、花粉が飛散する春はフィールド散歩が最も楽しい時期でもあるので、めげずに散歩してしまう。かくして、鼻水をポタポタと垂らしながらカメラをかまえる羽目になる。仕方ないな。
今年は昨年よりも花粉の量がかなり多いらしいので要注意。
(Olympus OM-D E-M5, M-ZD 14-150mm, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
大きな富士山に見守られながら、「幻のヤマキチョウ越冬態」を求めて、広い草原の中を枯草の間、茂みの中、岩の間などをのぞきながらうらうらと散歩した。案の定、越冬しているヤマキチョウはおろかチョウの姿を一頭も見つけることができずに玉砕。
でも、本日は穏やかな気候で、富士山麓の広い草原を歩いただけでも気持ちがよかった(負け惜しみかな)。
(Olympus OM-D E-M5, M-ZD 14-150mm, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
█ ミヤマカラスシジミ越冬卵 Overwintering egg of the Mera Black Hairstreak
この草原では夏にミヤマカラスシジミをよく見かける。
そういえば、これまでこのチョウの越冬卵を撮影していないことを思い出した。ならば、ミヤマカラスシジミの越冬卵でも探してみることにしよう。昆虫写真家の海野和男氏の「小諸日記」によれば、「ミヤマカラスシジミの卵は、冬のチョウの卵の中で最も見つけやすい」と紹介されている------目に自信がない虫林でも見つけることができるかもしれない。
1時間ほど探して、何とかクロツバラの枝に小さな越冬卵を数個発見。
「朝飯前」と思ったのが、結局「夕飯前」くらいだったな。
(Olympus OM-D E-M5, Panasonic Lumix G 8mm, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
越冬卵が付いている場所は新芽のある細い枝だった。
(Olympus OM-D E-M5, M-Zuiko, ED60mm Macro, Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
ミヤマカラスシジミの越冬卵の表面は、通常のゼフィルスに比べて突起が短くてすこしのっぺりとした感じでした。特徴はガラス細工のような透明感がある編み目模様ということです。
(Olympus OM-D E-M5, M-Zuiko, ED60mm Macro + Nikon 50mm (reverse), Feb-03-2013, Fujikawaguchiko-cho, Yamanashi)
▊ Afterword ▊
結局、今回も越冬するヤマキチョウを見つけることができなかった。
無駄な努力もいつかは報われることを期待している。
また懲りずに探索してみよう。
Never give up!
以上、by 虫林花山
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himeoo27 at 2013-02-04 21:32
越冬前の晩秋も、越冬明けの早春にあれだけ沢山観察
出来るキタキチョウやテングチョウですら
越冬中の姿を自力で見つけたことのない私にはヤマキチョウ
の越冬を見つけることは夢のまた夢です。
いつの日か見つかると嬉しいですね!
出来るキタキチョウやテングチョウですら
越冬中の姿を自力で見つけたことのない私にはヤマキチョウ
の越冬を見つけることは夢のまた夢です。
いつの日か見つかると嬉しいですね!
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hemlenk at 2013-02-04 22:38
ヤマキの越冬個体探しですか!すごいチャレンジでしたね(独りじゃなければ、やって見たいですが(笑))
結果は残念でしたが、チャレンジしなければ成果はないですもんね。ナイスです。(=^・^=)
ミヤマカラスシジミの卵、なんともいえない透明感があるのに驚きました。(^_^)/
結果は残念でしたが、チャレンジしなければ成果はないですもんね。ナイスです。(=^・^=)
ミヤマカラスシジミの卵、なんともいえない透明感があるのに驚きました。(^_^)/
越冬中のヤマキチョウ探索と言う素晴らしい発想と行動力に敬服します!
私もこれが夢のテーマとしてずっと頭の片隅にありますが、何時かは偶然にでも出遭えたら良いなと思ってます。
>「砂の中から針を探す」ほどに難しいかも----。
正にその通りだと思います。
>また懲りずに探索してみよう。
是非、再トライを期待します。
本当に何処に居るんでしょうかね?越冬後の個体でもシミや汚れのある個体も少なからず居るので、それがヒントになるかも知れないと考えてます。
私もこれが夢のテーマとしてずっと頭の片隅にありますが、何時かは偶然にでも出遭えたら良いなと思ってます。
>「砂の中から針を探す」ほどに難しいかも----。
正にその通りだと思います。
>また懲りずに探索してみよう。
是非、再トライを期待します。
本当に何処に居るんでしょうかね?越冬後の個体でもシミや汚れのある個体も少なからず居るので、それがヒントになるかも知れないと考えてます。
富士山の風景、美しいですね。
これは山梨側からの眺めでしょうか。
忍野とか〇〇サティアンのあたりからですかね。W
ミヤマカラスシジミの卵を見つけるのははそんなに難しくないってことでしょうか。もっとも東北では、そもそもクロツバラが少ないので、クロツバラを探すのが難しいって問題がありますけどね。W
ヤマキチョウは実は、わたしはまだ実物をみたことが無い種類のひとつです。昔は東北の一部にもいたようですが、いまでは幻の蝶です。
中部や西日本だけに分布する蝶は、私には未見のものがまだ何種類かあるので、今年はそれらを集中的に追っかけようかなと思っています。
これは山梨側からの眺めでしょうか。
忍野とか〇〇サティアンのあたりからですかね。W
ミヤマカラスシジミの卵を見つけるのははそんなに難しくないってことでしょうか。もっとも東北では、そもそもクロツバラが少ないので、クロツバラを探すのが難しいって問題がありますけどね。W
ヤマキチョウは実は、わたしはまだ実物をみたことが無い種類のひとつです。昔は東北の一部にもいたようですが、いまでは幻の蝶です。
中部や西日本だけに分布する蝶は、私には未見のものがまだ何種類かあるので、今年はそれらを集中的に追っかけようかなと思っています。
精進湖と富士山がとてもきれい。思わずウットリ見つめてしまいました。
この辺りだと、早朝の気温は-10℃以下に下がるのでしょうね。越冬
ヤマキ探しとは、流石に目の付け所が違いますね。凄いです。
ぜひ、幻が現実になるようお祈りしています。因みに、私も見たくなりました(*^_^*)。
この辺りだと、早朝の気温は-10℃以下に下がるのでしょうね。越冬
ヤマキ探しとは、流石に目の付け所が違いますね。凄いです。
ぜひ、幻が現実になるようお祈りしています。因みに、私も見たくなりました(*^_^*)。
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konty33 at 2013-02-06 21:26
越冬中のヤマキを探す気合は、見習わなければと思いました。
いつか快挙を達成されることでしょうね。
ミヤマカラスシジミの綺麗な卵の写真も流石ですし、景色の写真も素敵でセンスを感じます。
kontyは、いつも景色の写真を撮る余裕がなくチャンスを逃してしまいます。
いつか快挙を達成されることでしょうね。
ミヤマカラスシジミの綺麗な卵の写真も流石ですし、景色の写真も素敵でセンスを感じます。
kontyは、いつも景色の写真を撮る余裕がなくチャンスを逃してしまいます。
浅間の煙さん、
ヤマキチョウは浅間の煙さんのライフワークですよね。
そちらではより細かくいつも観察されていると思います
ので、期待しています。
本当に不思議ですけど、チャレンジして見たいと思って
います。色々と教えてくださいね。
ヤマキチョウは浅間の煙さんのライフワークですよね。
そちらではより細かくいつも観察されていると思います
ので、期待しています。
本当に不思議ですけど、チャレンジして見たいと思って
います。色々と教えてくださいね。
OTTOさん、
この時期には雪や氷が景色を飾ってくれるので嬉しいです。
この草原はサティアンがあった場所には遠くありません。
食樹のクロツバラが非常に多いので、ミヤマカラスも結構
個体数は多いようです。
この時期には雪や氷が景色を飾ってくれるので嬉しいです。
この草原はサティアンがあった場所には遠くありません。
食樹のクロツバラが非常に多いので、ミヤマカラスも結構
個体数は多いようです。
Kontyさん、
風景写真はいつも気にしていますが、なかなか満足いくもの
は撮影できません。でも、うまく撮影できると嬉しいです。
今年はリバースレンズをクローズアップレンズとして使用
しているので、ミヤマカラスシジミの越冬卵をさがしてみ
ました。お褒めいただき恐縮です。
風景写真はいつも気にしていますが、なかなか満足いくもの
は撮影できません。でも、うまく撮影できると嬉しいです。
今年はリバースレンズをクローズアップレンズとして使用
しているので、ミヤマカラスシジミの越冬卵をさがしてみ
ました。お褒めいただき恐縮です。
by tyu-rinkazan
| 2013-02-04 18:41
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