20080420 春の山散歩:クリストフコトラカミキリ他 (山梨県北杜市)
Place: Hokuto-shi, Yamanashi Pref.
Date: April 20th (Sunday)
Weather:Mainly cloudy and sometime sunshine
新緑の候
息を切らして山道を登った。切り株に腰を下ろして、汗を拭きながら振り向くと、新緑の山は淡いピンクの山桜をまじえて薄っすらと浅黄色に色づいていた。新緑の候------一番好きな季節になった。

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This is a typical landscape of mountains at mid-spring time; they are covered with green and mixed with the spots of pink. The season is changing very rapidly.
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Olympus E-3, ZD 50mmMacro + EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
§Diary§
日曜日は久しぶりに天気も回復した。
朝起きて、NHKの「さわやか自然百景」を見た後に、家から車で30分ほどのフィールドに出ることにした。第一の目的はゲンジスミレとクリストフコトラカミキリを見ることだ。何しろ車はまだ代車なので遠出はできない。
車を止めて、伐採のための小道を歩き始めたが、先週の雨のためか、森からしみ出した水が小川のようになって小道の上を流れている。ぬかるんですこぶる歩き難い。
目の前に紫の花をつけたミツバアケビを見つけた。アケビと葉の形などは似ているが、花色は全く異なるので驚いた。ミツバアケビの新芽や花は山菜になるらしい。大きな花が雌花で、先にかたまっているのが雄花。

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Akebia quinata
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Olympus E-3, ZD 50mmMacro + EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
小道から見下ろす斜面に、テリ張りしているシータテハを見つけた。他のチョウがくるとスクランブル攻撃をしていたが、また同じ場所に戻ってくる。そこで、ゆっくり斜面をくだって、シータテハを撮影した。今年、初めて撮影する越冬明けのシータテハである。キタテハに比較して、翅色が濃い赤茶色なので、遠めにみてもそれとわかる。

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Polygonia c-alubun hemigera
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Olympus E-3, Sigama 150mm Macro+EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)

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Polygonia c-alubun hemigera
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Olympus E-3, Sigama 150mm Macro+EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
小さなコツバメが突然目の前から飛び出したので、目を凝らして行方を追っていたところ、枯れた草に静止した。何しろ小さく、飛んでいるときは青黒いので、目で追うことさえ難しい。
折れた枯れ枝とコツバメの静止位置が、面白いパターンを示しているように思える。

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。。。。。。。。。。。。 A Tailless Hairstreak resting on the twig
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。。。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA 200
。。。。。。。。。。。。(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
ゆっくりと坂道を登っていくと、ミヤマセセリが何頭も足元から飛び出してくる。よく見るとすでに♀が多くなっているようだ。このチョウの交尾や産卵は今まで見たことがないが、なぜ見ることができないのだろうか。

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Erynnis montanus
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Olympus E-3, ZD50mm Macro+EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
山の上では、かなり広範に伐採作業が行われているようだ。切り出されて道の脇に積まれた木をゆっくりと注意深く見ていったが、目的のクリストフコトラカミキリはなかなか見つけることが出来なかった。出現していても良い時期なのだが--------。
そこで、なるべく林の中に残されたミズナラの伐採木を見ていくことにした。息を切らして登った稜線の近くの林の中の伐採木上で、とうとう目的のクリストフを見つけた。しかしクリストフはとても敏感で、撮影できたのは見つけた4頭中1頭だけにとどまった。
クリストフコトラカミキリは大きさ1cm以上ある立派なトラカミキリの1種である。このカミキリは、比較的太い材に集まるみたいだ。クリストフを見つけた木の太さを表すために、かなり引いて撮影している。写真では小さくて見難いので、カミキリは→をつけている。

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Plagionotus christophi
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Olympus E-3, ZD50mm Macro + EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
クリフトフコトラは、コトラ(小さなトラカミキリ)という名前がつけられているが、決してトラカミキリとしては小さな方ではない(むしろ大きい)。比較的早い時期に出現し、また個体数がそれほど多くないのと翅の模様が独特なので、カミキリ屋には人気がある。
山梨県では少ない種ではないが、分布はかなり局地的といえよう。

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Plagionotus christophi
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Olympus E-3, ZD50mm Macro + EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
伐採木上を歩いていたベニヒラタムシを見つけた。この虫は扁平でユニークな形態と鞘翅が鮮やかな紅色を示すのでとても綺麗だ。近縁にルリヒラタムシがいるが、こちらはもっと大型で、瑠璃色の翅をもつ。
両種とも樹皮下に住む昆虫なのにどうしてこんなに派手な色になるのだろうか(多分交尾のときには樹皮下から外に出る?)。

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Cucujus coccinatus
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Olympus E-3, ZD50mm Macro + EC14, ASA 200
(2008-April-20, Hokuto-shi, Yamanashi Pref.)
帰り際、桜の花でヒナルリハナカミキリを見つけた。ヒナルリハナカミキリはハムシに似ているが、れっきとしたハナカミキリの仲間である。
ヒナルリハナカミキリは小さくて地味なカミキリムシだが(サクラの花弁の大きさと虫の大きさを対比して欲しい)、Gyoromeで拡大して見ると、なかなかしぶくて格好が良いではないか。

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Acmaeops minuta
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Olympus E-3, ZD 50mmMacro+EC14+gyorome, ASA 200
(2008-April-20, Kofu-shi, Yamanashi Pref.)

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Nonarthra cyaneum
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Olympus E-3, ZD 50mmMacro+EC14+gyorome, ASA 200
(2008-April-19, Kofu-shi, Yamanashi Pref.)
§Afterword§
本日は一日中、厚い雲が空を覆っていたが、その切れ間から時々日が差した。でも、薄曇の天気にもかかわらず、花や昆虫たちが虫林を温かく迎えてくれたので良かったと思う。
今回は上にあげた蝶達のほかに、スギタニルリシジミ、ルリシジミ、ヒオドシチョウ、キタテハ、キチョウなどを見ることができた。また、甲虫では美しいマスダクロホシタマムシが目の前に静止したが、カメラを用意している間に飛び去ってしまった。残念だ。クリストフコトラカミキリをはじめ、伐採木に集まる甲虫たちはこれからさらに増えてくると思う。
この場所では、多数のゲンジスミレを見ることができた。スミレ関係の記事は後日アップしたいと思う。
甲虫の季節になってきましたね。虫林さんの幅広さには脱帽です。GYOROMEも大活躍ですね。今年は買いたいなあ。ミヤマセセリ、50mmでよくここまで寄れてますね。僕はいつも諦めて違う標的にすぐスイッチしてしまいます。昨日は、ようやく頂上のトウカイスミレ、確認できましたよ!ありがとうございました。
今日は、13時までテニスした後に2カ所でスミレ観察の予定で下が、右足のふくらはぎの筋肉断裂、やっちゃいました。大事な時期に足が痛いことより、歩けないのが痛いです!こればかりは、台車というわけには行きませんね。
いずれもサイトにアップしましたので、よかったら遊びにおいで下さい。
思ったより早い発生ではないですかね。私は初夏のカミキリだと思ってました。ヒナルリハナカミキリは確かクスノキとか食べるのではなかったでしたっけ、私は暖かいところのカミキリだと思ってました。そちらはいろいろの環境が集まっている感じですね。
こんにちは、クリストフコトラカミキリは結構立派で好きな甲虫です。かなり局所的なので、今年はどうかと思いましたが、何とかなりました。ミヤマセセリはかなりの数がいれば、フレンドリーな個体を選べます。是非ともあきらめずにトライしてください。
ケガは困りましたね。是非ともお大事にして下さい。
貴サイトには自宅のパソコンは非力ですので、職場のもので訪れてみます。
クリストフは仰るとおりで、以前は5月のカミキリだと思っていました。しかし、一昨年、昨年とここでは4月中旬に発生しているみたいです。でもこれから個体数も増えてきますので、最盛期はやはり5月初めくらいになると思います。
ヒナルリハナカミキリは春先にはかなり多いカミキリで、通常はカエデの花に多く集まります。食樹はクスノキも入るのかもしれませんが、一般的にはミズキやヌルデのようです。
コメント有難うございました。

ミズナラの幼木の新芽に産んでいました。
持ち帰り鉢植えで飼育していましたが、幼虫期間が長くて植木の葉が堅くなったために断念でした。
カミキリや甲虫もいろいろ出てきているのですね。
サクラの花弁の広角は背景の桜もいいですね。

有難うございます。ミヤマセセリはミズナラの幼木で産卵するのですか。
次回は注意してみて見ます。
ミヤマセセリはコナラの幼木で産卵ですね。。
ミヤマセセリはこちらでも多く見ることができるので、産卵シーンを撮影してみたいと思っています。有難うございます
カミキリなどの昆虫もそろそろ出てきました。目移りして困っています。
コメント有難うございます。
コツバメは、地面に直接静止したり、草の上に静止した場合はあまり絵になりませんが、少し高い場所に止まったときはグッドシャンスです。
このときはテリ張りしていたので、ゆっくり撮影できました。
返事が前後してしまいました。
今回はマスダクロホシタマムシという綺麗なタマムシの仲間を見つけたのですが、残念ながら撮影できませんでした。
これから色々な甲虫が出現してくるので楽しみです。
伐採後の背丈くらいに育ったクヌギがあれば一番観察しやすいようです。
あるいはbanyanさんが言うように1.2年生の幼木がいいかもしれないですね。
そうでないと、高木の先端近くに生むのでなかなか撮影は難しいと思います。

甲虫は、分野外でしたが、こう魅力をみせられるといけませんね。
なるほど伐採後に生えてきた幼木が狙い目ということですね。
有難うございました。次にはミヤマセセリの多い場所で、注意してみます。
ミヤマセセリの産卵については、皆さんから色々と教えていただきました。
これからもチャンスはあると思いますので、頑張って見たいです。
甲虫はたにつちさんの新兵器がものをいうと思いますよ。ぜひとも試して
みてください。
有難うございます。
クリストフの発生が確認できましたので、これから数も増えて行くと思い
ます。これからも時々、伐採林をのぞいて、カミキリムシを撮影する予定
です。そちらでも、クリストフはこれから発生すると良いですね。