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20080604 第3回八ヶ岳のミヤマシロチョウの保全を考える会合

Nature Diary #0178
Hara-mura, Nagano Pref.
Date: June 4th (Wednesday)
Weather:Fine


ミヤマシロチョウは、もともと茅野市の八ヶ岳山中で発見され、命名されたチョウである。ところが、以前は本種が乱舞し、集団吸水まで観察できた八ヶ岳の生息地が、現在では危機的状況に陥っているのだ。このまま保全活動なしに放置すれば、さほど遠くない将来に本種は八ヶ岳から姿を消すことだろう。

虫林は日本チョウ類保全協会(JBCS)によるミヤマシロチョウモニタリング調査の一環として、昨年夏に八ヶ岳の山梨県側で唯一の生息地と目される場所に赴き、少数ではあるが成虫の生存を確認した。さらに、その年の冬(12月)には、JBCS事務局長の中村康弘氏、大学山岳部の学生君(2名)とともに再び現地を訪れ、積雪の中で越冬巣の調査を行った。

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山梨県側で確認できたミヤマシロチョウの成虫(左、2007年7月)と越冬巣(右、2007年12月)

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§ ミヤマシロチョウの保全を考える会合 §

先日(6月4日)に「第3回八ヶ岳のミヤマシロチョウの保全を考える会合」が長野県原村で行われた。虫林はその会合にJBCSおよび山梨県側の関係者という立場で参加することにした。すでに、会合から1週間も過ぎてしまったがここでその様子を紹介する。

この守る会の合同会合は、そもそもJBCSの中村康弘氏の呼びかけによるものだが、第3回の集会には、以前から実績のある茅野市の守る会、今年発足した原村の守る会、現在まだ調査段階の山梨県側から数名(虫林を含む)の他に、行政サイド(環境省、長野県、原村などの職員)、八ヶ岳博物館、長坂オオムラサキセンターなどからも多数の方が参加された。

現地調査
虫林は仕事の関係で、午後の会議のみの参加となった。午前中に行われた現地調査については、JBCSの事務局長:中村康弘氏から写真が送られてきたのでここに供覧する。

午前中に行われた現地調査は、実際に現地(ミヤマシロチョウの保護地区)に行き、環境視察と幼虫のモニタリング調査を行った。この調査には、行政の方たちも参加され、保全に取り組んでいる方たちと活発な意見交換が現地にて行われたようである。

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現地調査風景 Field investigation (2008-June-04, 八ヶ岳) (中村康弘氏撮影)


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。。。。。。。。。。ヒロハノヘビノボラズでの幼虫コロニー(2008-June-04, 八ヶ岳)

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。。。。。。。。。。(中村康弘氏撮影)


会議
午後2時から会合は、原村の中央公民館で開かれた。会議に先立ちJBCSの中村康弘氏が今までの広範な調査データをもとに、現在のミヤマシロチョウの状況をスライドで説明された。要約すると、ミヤマシロチョウはいくつかの特定の場所を除き、多くの発生地ではすでに姿を消しており、とくに八ヶ岳周辺は成虫の個体数、越冬巣、食樹などの調査結果から危機的状況にあると報告された。

その後、茅野市の守る会(福田勝男会長)や原村の守る会(山本勝之会長)から、それぞれ年度計画などが紹介され、さらに行政をまじえて、これからの保全対策(モニタリングや長期的な復元計画)が活発に討論された。両グループとも非常に活発な環境保全活動(下草刈り、吸蜜植物の育苗・移植、樹木の伐採・伐材)や巡視、啓蒙・教育活動(観察会など)を計画されていて驚いた。

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。。。。。。。。。。保全のための合同会議 (2008-June-04, 原村) (虫林撮影)


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。。。。。。。。中村氏によるモニタリング調査報告 (2008-June-04, 原村) (虫林撮影)



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§Afterword§
地元有志による地道な保全活動がすでにスタートしているが、行政サイドの財政面や法的措置などでの支援がまだ行われておらず、これからの保全活動の大きな課題となっているといえよう。是非とも守る会の活動に国(環境省)や県(長野県、山梨県)、市町村(原村、富士見町、北杜市)の物心とものご援助を期待したいと思う。

会が終わり、JBCSの中村康弘氏、環境省国立公園課保護係の二神紀彦氏とともに甲府駅までご一緒した。微力ではあるが、これからもミヤマシロチョウの保全活動を応援していこうと思っている。
出席された皆さん、ご苦労様でした。

以上、 by 虫林花山
Commented by 深山葵 at 2008-06-11 05:15 x
ご苦労様です。
ミヤマシロはぜひ保護したいチョウですね。
ヒロハヘビノボラズは茂りすぎるとダメのようです。
ほどよい空間が必要だと地元の蝶屋さんに聞いた覚えがあります。

美濃戸で湿地に群がるように吸水していた姿がまぶたに焼きついています。
Commented by maeda at 2008-06-11 06:07 x
仲間のエゾシロは勢いが衰えません。
食樹が多彩であることがその鍵だと思います。
コローニーでの幼虫はエゾシロと同じ感じです。
Commented by banyan10 at 2008-06-11 15:44
ご苦労様です。
高山蝶の中では一番心配な蝶かもしれないですね。
ぜひとも集団吸水が見れるまで復活して欲しい蝶です。
Commented by 虫林 at 2008-06-11 19:10 x
深山葵さん、
有難うございます。
小生の調査した場所では、林の中にもヒロハノヘビノボラズがかなりあったので、日光が不足している部分も多いようでした。さらに、下草が伸びてしまい、吸蜜植物がほとんどなくなっていました。じつは、こちらの方がクリチカルな感じでしたね。ミヤマイボタやクガイソウなどを移植する必要がありました。
いつかまた、ミヤマシロチョウが乱舞できればいいですね。
Commented by 虫林 at 2008-06-11 19:12 x
maedaさん、
上にも書きましたが、食樹のヒロハノヘビノボラズはかなり在るようでしたが、吸蜜植物がさしあたり問題のようです。
ミヤマシロのコロニーは少しキモイですね。
Commented by 虫林 at 2008-06-11 19:14 x
banayanさん、
ミヤマシロは浅間山周辺や南アルプスでは今でも安定して見られるようですが、他ではかなり減少あるいは絶滅しています。発見地である八ヶ岳では是非とも生き残って欲しいと思っています。
大きな集団吸水の写真をいつか撮りたいですね~。
Commented by fanseab at 2008-06-11 21:27
保全活動お疲れ様です。東京近辺からだと、中央高速を使って比較的楽に到着できる八ヶ岳周辺の自然は本当に貴重な財産だと思います。
是非、活動が実を結ぶことを期待します。
Commented by chochoensis at 2008-06-12 07:25 x
ミヤマシロチョウ・・・是非、保護活動が順調に推移するように願っています、高校生の頃観察した無数の吸水集団・・・思い出されます。今年は是非撮影してみたいものです・・・。
Commented by mtana2 at 2008-06-12 12:18 x
貴重な高山蝶の保全活動、頭が下がります。夢の実現に頑張ってください。
Commented by 虫林 at 2008-06-12 16:20 x
fanseabさん、
有難うございます。微力ではありますが、ミヤマシロチョウの保護に力を貸していこうと思っています。昔のように乱舞する姿が見れるようになれば良いですね。
Commented by 虫林 at 2008-06-12 16:22 x
chochoensisさん、
有難うございます。小生は昔のミヤマシロチョウを良く知りませんが(当時はカミキリムシに夢中)、当時のことをご存知の方は、八ヶ岳のミヤマシロチョウは懐かしいのでしょうね。
もし、宜しければ夏の調査でご一緒したいですね。
Commented by 虫林 at 2008-06-12 16:25 x
mtanaさん、
有難うございます。
八ヶ岳(とくに山梨県側)のミヤマシロチョウはこのまま放置すれば姿を消します。このくらいの状態で保護の手を差し伸べればまだ回復する可能性はあると思いますよ。回復しましたら、ブログ仲間で写真を撮影しましょうね。
Commented by kmkurobe at 2008-06-12 22:23 x
私が大学に入学した72年。美ヶ原では一時少なくなったと言われていた、ミヤマシロチョウが三城牧場に本当にたくさん飛んでいましたね。
次のとしからずっと北海道に行ってしまったので、何時頃から居なくなったかはわかりませんが。三城のミヤマシロどうなってしまったのでしょうね。
Commented by grassmonblue at 2008-06-13 16:04 x
昨年からまた前進したようですね。
虫林さんの山梨県での再確認ドラマを思い出します。密猟者?の手をのがれて生き延びているようですね。
中村さんはじめ皆々様の熱意と粘り強い活動に敬意を表します。
Commented by 虫林 at 2008-06-13 16:44 x
kmkurobeさん、
昔を知るヒトには(僕は良く知らないのですが)、今のミヤマシロチョウの話はとても悲しいでしょうね。八ヶ岳周辺はいずれの場所でもかなり減少してしまったようです。
あの白馬の美しいクモツキも、いつまでも見ていたいです。
Commented by 虫林 at 2008-06-13 16:49 x
grassmonblueさん、
今回はお会いできずに残念でした。昨年に比べまして、守る会もかなり充実してきたみたいです。今回は行政の方たちが大勢出席してくれたのが成果ですね。やはり、行政の金銭的、法的支援があれば、守る会もやりやすくなると思います。
昨年の小生の話をお記憶におとめくださり、有難うございます。密猟者は僕が去った後に、一網打尽にしたと思います。なにしろ、逃げることが苦手な蝶ですから。
小生の貢献度は全く微々たるものですが、顔だけでもおいておこうと思っています。ありがとうございました。
Commented by thecla at 2008-06-13 23:05 x
「保全を考える会合」参加お疲れさまでした。
何とかぎりぎり間に合うタイミングで各種保全活動が急速に動き出したようですね。
私も「守る会」のひとつに入会だけはしておりますが、不良会員状態です(^^;
保全協会の夏季調査には是非参加したいと思っています。復活したミヤマシロの集団吸水撮影会、是非やりたいですね。
Commented by 虫林 at 2008-06-15 23:01 x
theclaさん、
今回の会合では、theclaさんにもお会いできるかもしれないと思っていましたが、お忙しかったようですね
長野県側は「茅野の守る会」と「原村の守る会」とが結成されていますが、theclaさんが所属するのは多分、茅野の守る会ですね。山梨県側は今回も行政の参加もなく、保全活動が進みません。
復活したミヤマシロの撮影会は良いですね~。
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by tyu-rinkazan | 2008-06-11 00:12 | ▣ミヤマシロチョウ | Comments(18)