2008年 09月 25日
20080923 県南の林道散歩2:ハンミョウ (山梨県)
Nature Diary #0208
Date: September 23rd, 2008
Place: Nanbu-cho, Yamanashi Pref.
Weather:Cloudy and sometime sunshine
§ Diary §
しばらくぶりの晴天で、本日は稲刈り日和のようだ。
トラクターで稲を刈る様子を、座ってじっと見守るお年寄り。ノスタルジックでとても平和な光景だと思う。
--------収穫の候だ。

。。。。。。。。。。◆収穫の候 (2008-September-23 南部町)◆
.
。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
道路脇に彼岸花(ヒガンバナ)の大きな群落を見つけた。彼岸花はアルカロイド(リコリン)含む有毒植物で、誤食すると死ぬこともあるらしい。
この花は曼珠沙華という別名の他に、死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)などと呼ばれているが、この毒々しい赤色とその有毒性からそんな恐ろしい名前が付いたのだろう。
彼岸花の群落は何となくおどろおどろしい気がする。

。。。。。。。。。。◆彼岸花 (2008-September-23 南部町)◆
.
。。。。。。。。。。 Olympus E-510, ZD8mm FISHEYE + EC-14, ASA200
▶ハンミョウ; Cicindela japonica
今回の県南の林道散歩の目的はハンミョウの撮影にあった。
林道の脇の裸地で足もとから黒っぽい甲虫が飛び立ち数メートル先の路上に降りた。目を凝らして見てみるとどうやら目的のハンミョウだ。あっさりと見つけてしまった。
ハンミョウは非常に俊敏で、慎重に近づいたつもりでも、1.5mほどの近さまでくるとまるで虫林をあざ笑うかのように飛び立ってしまう。この虫は昔から「道教え」と呼ばれているが、虫林には道を教えなくても良いから少しじっとしていて欲しいものだ。
そんな思いが通じたのだろうか、何とか近づいて近接撮影に成功した。赤と青の模様の中に白い斑点をちりばめ、金属光沢があり、とても美しくフォトゲニック (photogenic) な甲虫だね。

◆ハンミョウ (2008-September-23 南部町)◆
.
Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
ハンミョウと出会うのは何年ぶりであろうか。というのも、甲府市内ではミヤマハンミョウ、ニワハンミョウ、コニワハンミョウは時々見かけるが、未だハンミョウの姿を見たことがないのだ。県南では個体数が多い。

◆ハンミョウ (2008-September-23 南部町)◆
.
Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
ハンミョウは英語で「Tiger Beetle」といわれ、幼虫、成虫ともに肉食性のハンターである。美しい姿とは裏腹に獰猛な性質が垣間見えるのが虫林にはとても魅力的にうつるのだ。

◆ハンミョウ (2008-September-23 南部町)◆
.
Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
正面からハンミョウの頭部を見ると、大きな複眼とともに白くて異様に長い牙をもっている。この牙を見ただけで、この虫が恐ろしいハンターであることがわかるだろう。

◆ハンミョウ (2008-September-23 南部町)◆
.
Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
▶オジロアシナガゾウムシ; Mesalcidodes trifidus
クズの葉上で白黒模様のオジロアシナガゾウムシを見つけた。このゾウムシは吻が太くて長いので少しユーモラスな癒し系の甲虫で、色彩から「パンダゾウムシ」と呼びたくなってしまう。

◆オジロアシナガゾウムシ (2008-September-23 南部町)◆
.
Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
▶センノカミキリ; Acalolepta luxuriosa
数本の直径5cmほどのセンノキの衰弱木にセンノカミキリが来集していた。かなり大型のカミキリムシだが、保護色になっているのでうっかりすると見逃してしまう。
オスは触覚が長くて立派だ。

◆センノカミキリ♂ (2008-September-23 南部町)◆
.
Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
しばらく別な場所で撮影した後に再びセンノキのところに戻ってみると、驚いたことにセンノカミキリが交尾していた。時期的にはかなり遅いと思われる9月下旬でも結構多くの個体が見られたのは意外であった。

◆センノカミキリの交尾 (2008-September-23 南部町)◆
.
Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
真っ白なクリームに塗り込められたようなセンノカミキリの死骸を見つけた。以前にもこのように白くなったカミキリの死骸を見たことがある。
この白いクリームのようなものはカビの1種でたぶんボーベリア菌だろう。ボーベリア菌は昆虫に寄生し、その生長に伴ってその宿主を殺すそうだ。松の大害虫であるマツノマダラカミキリの駆除のために生物農薬として空中散歩されたことがある。
ボーベリア菌は昆虫にとっては恐ろしいカビ(真菌)のようだ。

◆カビに犯されたセンノカミキリ(2008-September-23 南部町)◆
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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
**************************************************
§Afterword§
今回の県南散歩は、ハンミョウの撮影が本来の目的だった。思惑どおり、多くのハンミョウが虫林を迎えてくれた。ハンミョウは綺麗なのでこれからも撮影してみたい。
秋分の日は昼と夜の長さが同じになるというが、日に日に昼が短くなっていくのがわかる。
さびしいが、多くの生物には冬の休養が必要なのだ。虫林にもね。
以上、 by 虫林花山
Date: September 23rd, 2008
Place: Nanbu-cho, Yamanashi Pref.
Weather:Cloudy and sometime sunshine
§ Diary §
しばらくぶりの晴天で、本日は稲刈り日和のようだ。
トラクターで稲を刈る様子を、座ってじっと見守るお年寄り。ノスタルジックでとても平和な光景だと思う。
--------収穫の候だ。

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
道路脇に彼岸花(ヒガンバナ)の大きな群落を見つけた。彼岸花はアルカロイド(リコリン)含む有毒植物で、誤食すると死ぬこともあるらしい。
この花は曼珠沙華という別名の他に、死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)などと呼ばれているが、この毒々しい赤色とその有毒性からそんな恐ろしい名前が付いたのだろう。
彼岸花の群落は何となくおどろおどろしい気がする。

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。。。。。。。。。。 Olympus E-510, ZD8mm FISHEYE + EC-14, ASA200
▶ハンミョウ; Cicindela japonica
今回の県南の林道散歩の目的はハンミョウの撮影にあった。
林道の脇の裸地で足もとから黒っぽい甲虫が飛び立ち数メートル先の路上に降りた。目を凝らして見てみるとどうやら目的のハンミョウだ。あっさりと見つけてしまった。
ハンミョウは非常に俊敏で、慎重に近づいたつもりでも、1.5mほどの近さまでくるとまるで虫林をあざ笑うかのように飛び立ってしまう。この虫は昔から「道教え」と呼ばれているが、虫林には道を教えなくても良いから少しじっとしていて欲しいものだ。
そんな思いが通じたのだろうか、何とか近づいて近接撮影に成功した。赤と青の模様の中に白い斑点をちりばめ、金属光沢があり、とても美しくフォトゲニック (photogenic) な甲虫だね。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
ハンミョウと出会うのは何年ぶりであろうか。というのも、甲府市内ではミヤマハンミョウ、ニワハンミョウ、コニワハンミョウは時々見かけるが、未だハンミョウの姿を見たことがないのだ。県南では個体数が多い。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
ハンミョウは英語で「Tiger Beetle」といわれ、幼虫、成虫ともに肉食性のハンターである。美しい姿とは裏腹に獰猛な性質が垣間見えるのが虫林にはとても魅力的にうつるのだ。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
正面からハンミョウの頭部を見ると、大きな複眼とともに白くて異様に長い牙をもっている。この牙を見ただけで、この虫が恐ろしいハンターであることがわかるだろう。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
▶オジロアシナガゾウムシ; Mesalcidodes trifidus
クズの葉上で白黒模様のオジロアシナガゾウムシを見つけた。このゾウムシは吻が太くて長いので少しユーモラスな癒し系の甲虫で、色彩から「パンダゾウムシ」と呼びたくなってしまう。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
▶センノカミキリ; Acalolepta luxuriosa
数本の直径5cmほどのセンノキの衰弱木にセンノカミキリが来集していた。かなり大型のカミキリムシだが、保護色になっているのでうっかりすると見逃してしまう。
オスは触覚が長くて立派だ。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
しばらく別な場所で撮影した後に再びセンノキのところに戻ってみると、驚いたことにセンノカミキリが交尾していた。時期的にはかなり遅いと思われる9月下旬でも結構多くの個体が見られたのは意外であった。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
真っ白なクリームに塗り込められたようなセンノカミキリの死骸を見つけた。以前にもこのように白くなったカミキリの死骸を見たことがある。
この白いクリームのようなものはカビの1種でたぶんボーベリア菌だろう。ボーベリア菌は昆虫に寄生し、その生長に伴ってその宿主を殺すそうだ。松の大害虫であるマツノマダラカミキリの駆除のために生物農薬として空中散歩されたことがある。
ボーベリア菌は昆虫にとっては恐ろしいカビ(真菌)のようだ。

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400
§Afterword§
今回の県南散歩は、ハンミョウの撮影が本来の目的だった。思惑どおり、多くのハンミョウが虫林を迎えてくれた。ハンミョウは綺麗なのでこれからも撮影してみたい。
秋分の日は昼と夜の長さが同じになるというが、日に日に昼が短くなっていくのがわかる。
さびしいが、多くの生物には冬の休養が必要なのだ。虫林にもね。
以上、 by 虫林花山
はじめまして!
ハンミョウ、初めて知りました。凄いカラフルですね。
リンクさせて下さいね。
また遊びに来ます。。
ハンミョウ、初めて知りました。凄いカラフルですね。
リンクさせて下さいね。
また遊びに来ます。。
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鈴鹿山脈の渓谷でキリシマを追跡していた際、肝心のキリシマが撮れずにハンミョウを追いかけ回したことを思い出しました。ファインダー
越しに見ると、ハッとするほど、綺麗ですね。
越しに見ると、ハッとするほど、綺麗ですね。
fanseabさん、
有難うございます。
ハンミョウは本当に美しいです。仰るとおりで、ファインダー越しに見るハンミョウの輝きは息を呑む美しさだと思います。もう少し、ゆっくりと生態的な写真を撮影してみたいと思います。
有難うございます。
ハンミョウは本当に美しいです。仰るとおりで、ファインダー越しに見るハンミョウの輝きは息を呑む美しさだと思います。もう少し、ゆっくりと生態的な写真を撮影してみたいと思います。
こんにちは。ハンミョウ、憧れの虫です。というのは、東京生まれの東京育ちの私は、ハンミョウを見たことがないのです。フランスにもいるらしいのですが、いったいどこにいるのやら…。あ、10月1日朝にアップ予定の記事でリンクを貼らせていただいています。よろしくお願いします。
ここっとさん
遅レスでもうしわけありません。
世界にはハンミョウの仲間は1000種以上いて、日本には35種くらいが知られているみたいです。東京にはトウキョウハンミョウというのもいますよ。ハンミョウはあまりくさの生えない空き地やグランドあるいは川原や海岸にもいますので、注意していると見つけることができるかもしれません。リンクの件、有難うございます。
遅レスでもうしわけありません。
世界にはハンミョウの仲間は1000種以上いて、日本には35種くらいが知られているみたいです。東京にはトウキョウハンミョウというのもいますよ。ハンミョウはあまりくさの生えない空き地やグランドあるいは川原や海岸にもいますので、注意していると見つけることができるかもしれません。リンクの件、有難うございます。
by tyu-rinkazan
| 2008-09-25 23:46
| ■甲虫
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Comments(6)