20081130 県境を越えて散歩;ムラシ日和 (静岡県)
2008年 11月 30日
Nature Diary #0224
Date: November 30th, 2008
Place: Shibakawa-cho, Shizuoka Pref.
Weather:Fine
朝食後にお茶を飲みながらどこに行こうか考える。もっと前に行き先を決めておけば良いのだが、レイジーな性格の虫林はその日の朝に決めることが多いのだ。
そういえば、我が家では色々なお茶を飲むが、最近は「高山茶」が評判良い。このお茶は、たしか数年前に上海を訪れた際のお土産として購入したもので、今まで封を開けていなかったのだ。数年前ということで、賞味期限が少し気になるが、この葉に湯を注ぐと、とても香りが高く、気分が落ち着く。
**************************************************
§ Diary §
外をみるとすばらしい天気で、空には雲ひとつない。
まさしく、今日のこの天気はムラサキシジミ(ムラシ)日和かもしれない-------常に自分に都合良く考える。とにかく、今年は今までムラシの姿を見ていないので、是非とも見たいと思う。
そこで、本日は静岡県の芝川町まで(短い)足を延ばすことにした。
。。。。。。。。。。◆芝川町からの富士山 (11月30日、芝川町)◆
。。。。。。。。。。Mt. Fuji
。。。。。。。。。。(Canon Power Shot G10, f8.0, 1/350, EV-0.3, ASA80)
芝川町の国道沿いを走っていたら、小さな暖帯林があった。早速、車を止め、歩いてその内部に入ってみると、奥には小さな神社があり、その境内には土が盛られ、土俵がつくられていた。寺社林はムラシの観察には有望かもしれない。
驚いたのは、御神木(2本ある)と思われるイチョウの大木から落ちた葉が、境内の地面を埋め尽くし、地面全体が真っ黄色になっていたことだ。
◆イチョウの葉で埋め尽くされた神社の境内 (11月30日、芝川町)◆
The shrine ground was diffusely covered with yellow leaves of maidenhair tree.
(Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, f10, 1/500, EV-1.0, ASA200)
▶ムラサキシジミ; Japanese Oakblue
神社の境内の裏に孟宗竹の林があり、その周りにはカシ(樫)やチャ(茶)の木が植えられている。境内で写真を撮影した後に竹林の方を見てみると、チャの木にからむように飛んでいる茶色いシジミを見つけた。
--------ムラシに違いない。
ムラシはチャの木の葉上に静止して開翅した。
チャ(茶)の木の葉上というところが、お茶を産する静岡県らしくてなかなか良いのではないかと思う。
翅表のブルーが目にしみるようだ。
◆竹林の縁のチャノキ(茶の木)の葉上で日光浴をするムラサキシジミ♀ (11月30日、芝川町)◆
A female of Japanese Oakblue was basking with the wings upened on the leaf of tea plant by the bamboo forest.
(Canon Power Shot G10, f8.0, 1/100, EV-1.0, ASA80)
ムラシの英名は Japanese Oakblue、学名は Narathura japonica という。すなわち、日本を意味する単語がその名前に入っている数少ないチョウの一つなのだ。
それなら和名もいっそのこと ヤマト ムラサキシジミあるいはニホン ムラサキシジミなんていうのはいかがだろうか。ダメ?-----ウーム、誰も賛成しないか。
実際、ムラシは日本以外では台湾や朝鮮半島にしか分布しないようだ。同じ仲間のムラツやルーミスはもっと分布が広いので、国際的な観点からは、ムラシは意外と貴重な種なのかもしれないね。
◆開翅したムラサキシジミ♀ (11月30日、芝川町)◆
A female of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f5.6, 1/500, EV-1.0, ASA200)
ムラシは秋にその数が増すといわれている。
夏の間のムラシは樹上生活者で、秋になると下に降りて盛んに吸蜜したり、低い木の葉にねぐらを求める。ウラギンシジミと同じような生態をしめすようだ。
◆開翅したムラサキシジミ♀ (11月30日、芝川町)◆
A female of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f6.3, 1/500, EV-1.0, ASA200)
ムラシのメスは開翅すると、翅表の大きなブルーの紋が輝いてとても綺麗だ。この輝くブルーは、ルーミスシジミにも似て、少し空色がかっているのも良い。
◆開翅したムラサキシジミ♀ (11月30日、芝川町)◆
A female of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f6.3, 1/500, EV-1.0, ASA200)
駐車場に戻ってみると、地面の周りを飛び回るムラシのオスを見つけた。
地面の葉に静止したので、翅を十分に開くまで待ってからじりじりと近寄り撮影した。ここであわてるとロクなことがないのだ(今まで何度失敗したかわからない)。
ムラシのオスは、翅表のブルーの面積が広く、また色調も青が深い。見る角度によっては目の覚めるような青色を呈する。
◆開翅したムラサキシジミ♂ (11月30日、芝川町)◆
A male of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f10, 1/250, EV-0.7, ASA200)
午後1時30分を過ぎると、ムラシたちは葉上で日向ぼっこをする時間が短くなり、近くのカシの木の枝の内部を覗くように、もぐっては出てくるという行動を示していた。1頭が内部に潜り込んだままのように見えたので、近づいて確かめてみると、枯葉に静止していた。
どうやらそこが本日の「ねぐら(越冬場所?)」になるらしい。
午後1時半でねぐらについてしまうとなると、朝は気温が上がる10時過ぎからだろうから、この時期のムラシの活動時間は、どうやら3-4時間くらいになってしまうのだ。
意外と活動時間が短い。
◆枯葉のねぐらとムラサキシジミ (11月30日、芝川町)◆
A male of Japanese Oakblue resting in the roost.
(Canon Power Shot G10, f8.0, 1/100, EV-1.0, ASA80, Sunpak RD2000)
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§ Afterword §
この時期のチョウの活動は、天候の影響を強く受けるのだ。今日の天気はそういう意味でも「ムラシ日和」といえるかもしれないね。
今年はまだムラシの姿を見ていなかったので、♂♀とも撮影できたのは嬉しい。他県では簡単に見ることができるチョウかもしれないが、山梨県ではあまり確実とは言えないからだ。
本日はその他に、ヤマトシジミ(多)、テングチョウ(2)、ウラナミシジミ(5)、クロコノマチョウ(1)、キチョウ(2)、モンキチョウ(3)、スジグロシロチョウ(2)なども見ることができた。
以上、 by 虫林花山
Date: November 30th, 2008
Place: Shibakawa-cho, Shizuoka Pref.
Weather:Fine
朝食後にお茶を飲みながらどこに行こうか考える。もっと前に行き先を決めておけば良いのだが、レイジーな性格の虫林はその日の朝に決めることが多いのだ。
そういえば、我が家では色々なお茶を飲むが、最近は「高山茶」が評判良い。このお茶は、たしか数年前に上海を訪れた際のお土産として購入したもので、今まで封を開けていなかったのだ。数年前ということで、賞味期限が少し気になるが、この葉に湯を注ぐと、とても香りが高く、気分が落ち着く。
§ Diary §
外をみるとすばらしい天気で、空には雲ひとつない。
まさしく、今日のこの天気はムラサキシジミ(ムラシ)日和かもしれない-------常に自分に都合良く考える。とにかく、今年は今までムラシの姿を見ていないので、是非とも見たいと思う。
そこで、本日は静岡県の芝川町まで(短い)足を延ばすことにした。
。。。。。。。。。。Mt. Fuji
。。。。。。。。。。(Canon Power Shot G10, f8.0, 1/350, EV-0.3, ASA80)
芝川町の国道沿いを走っていたら、小さな暖帯林があった。早速、車を止め、歩いてその内部に入ってみると、奥には小さな神社があり、その境内には土が盛られ、土俵がつくられていた。寺社林はムラシの観察には有望かもしれない。
驚いたのは、御神木(2本ある)と思われるイチョウの大木から落ちた葉が、境内の地面を埋め尽くし、地面全体が真っ黄色になっていたことだ。
The shrine ground was diffusely covered with yellow leaves of maidenhair tree.
(Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, f10, 1/500, EV-1.0, ASA200)
▶ムラサキシジミ; Japanese Oakblue
神社の境内の裏に孟宗竹の林があり、その周りにはカシ(樫)やチャ(茶)の木が植えられている。境内で写真を撮影した後に竹林の方を見てみると、チャの木にからむように飛んでいる茶色いシジミを見つけた。
--------ムラシに違いない。
ムラシはチャの木の葉上に静止して開翅した。
チャ(茶)の木の葉上というところが、お茶を産する静岡県らしくてなかなか良いのではないかと思う。
翅表のブルーが目にしみるようだ。
A female of Japanese Oakblue was basking with the wings upened on the leaf of tea plant by the bamboo forest.
(Canon Power Shot G10, f8.0, 1/100, EV-1.0, ASA80)
ムラシの英名は Japanese Oakblue、学名は Narathura japonica という。すなわち、日本を意味する単語がその名前に入っている数少ないチョウの一つなのだ。
それなら和名もいっそのこと ヤマト ムラサキシジミあるいはニホン ムラサキシジミなんていうのはいかがだろうか。ダメ?-----ウーム、誰も賛成しないか。
実際、ムラシは日本以外では台湾や朝鮮半島にしか分布しないようだ。同じ仲間のムラツやルーミスはもっと分布が広いので、国際的な観点からは、ムラシは意外と貴重な種なのかもしれないね。
A female of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f5.6, 1/500, EV-1.0, ASA200)
ムラシは秋にその数が増すといわれている。
夏の間のムラシは樹上生活者で、秋になると下に降りて盛んに吸蜜したり、低い木の葉にねぐらを求める。ウラギンシジミと同じような生態をしめすようだ。
A female of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f6.3, 1/500, EV-1.0, ASA200)
ムラシのメスは開翅すると、翅表の大きなブルーの紋が輝いてとても綺麗だ。この輝くブルーは、ルーミスシジミにも似て、少し空色がかっているのも良い。
A female of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f6.3, 1/500, EV-1.0, ASA200)
駐車場に戻ってみると、地面の周りを飛び回るムラシのオスを見つけた。
地面の葉に静止したので、翅を十分に開くまで待ってからじりじりと近寄り撮影した。ここであわてるとロクなことがないのだ(今まで何度失敗したかわからない)。
ムラシのオスは、翅表のブルーの面積が広く、また色調も青が深い。見る角度によっては目の覚めるような青色を呈する。
A male of Japanese Oakblue with the wings upened on the leaf.
(Olympus E-3, Sigma 150mm, Macro f10, 1/250, EV-0.7, ASA200)
午後1時30分を過ぎると、ムラシたちは葉上で日向ぼっこをする時間が短くなり、近くのカシの木の枝の内部を覗くように、もぐっては出てくるという行動を示していた。1頭が内部に潜り込んだままのように見えたので、近づいて確かめてみると、枯葉に静止していた。
どうやらそこが本日の「ねぐら(越冬場所?)」になるらしい。
午後1時半でねぐらについてしまうとなると、朝は気温が上がる10時過ぎからだろうから、この時期のムラシの活動時間は、どうやら3-4時間くらいになってしまうのだ。
意外と活動時間が短い。
A male of Japanese Oakblue resting in the roost.
(Canon Power Shot G10, f8.0, 1/100, EV-1.0, ASA80, Sunpak RD2000)
§ Afterword §
この時期のチョウの活動は、天候の影響を強く受けるのだ。今日の天気はそういう意味でも「ムラシ日和」といえるかもしれないね。
今年はまだムラシの姿を見ていなかったので、♂♀とも撮影できたのは嬉しい。他県では簡単に見ることができるチョウかもしれないが、山梨県ではあまり確実とは言えないからだ。
本日はその他に、ヤマトシジミ(多)、テングチョウ(2)、ウラナミシジミ(5)、クロコノマチョウ(1)、キチョウ(2)、モンキチョウ(3)、スジグロシロチョウ(2)なども見ることができた。
以上、 by 虫林花山
ムラサキシジミの青が目に沁みます。
暖かい日限定とはいえ、こうして出てきてくれるのですから時期的に貴重な存在ですね。
暖かい日限定とはいえ、こうして出てきてくれるのですから時期的に貴重な存在ですね。
0
Commented
by
Celastrina
at 2008-12-01 01:23
x
いいなぁムラサキシジミ・・・・30年以上も蝶とつきあっているのに、実をいうと、まだ野外のムラサキシジミを見たことがないのです。お恥ずかしい。
それにしても私、11月は蝶の撮影が皆無。まぁ、早くからドカ雪が積もったことも一因なのですが、フユシャクの配偶行動を撮るために夜歩きばかりしています。
あぁ、チョウが撮りたい・・・・・
それにしても私、11月は蝶の撮影が皆無。まぁ、早くからドカ雪が積もったことも一因なのですが、フユシャクの配偶行動を撮るために夜歩きばかりしています。
あぁ、チョウが撮りたい・・・・・
Commented
by
maeda
at 2008-12-01 06:19
x
ムラサキシジミの♀の色が大好きです。
ルーミスに近いけれども、それより紫色な色彩が良いです。
ルーミスに近いけれども、それより紫色な色彩が良いです。
Commented
by
banyan10 at 2008-12-01 19:09
竹林の前のムラシは新鮮な組み合せです。
チャノキも立派な緑の葉で青とのコントラストが綺麗ですね。
チャノキも立派な緑の葉で青とのコントラストが綺麗ですね。
Spaticaさん、
有難うございます。
甲府市内でもムラシを見ることができないこともないのですが、いつも偶然に見かけるだけなので、確実な芝川町まで言ってしまいました。
ムラシの羽の輝きは特別ですね。
有難うございます。
甲府市内でもムラシを見ることができないこともないのですが、いつも偶然に見かけるだけなので、確実な芝川町まで言ってしまいました。
ムラシの羽の輝きは特別ですね。
Celastrina さん、
コメント有難うございます。
青森でもアオスジアゲハまで定着を確認されたのですから、ムラツも北上しているみたいですので、深浦あたりでいつか見ることができるかも知れませんよ。
冬は昆虫観察が難しいですね。でも、フユシャクの配偶行動の観察写真はとても素晴らしいと思います。
北国は冬が長いので、それだけ春の価値を感じますね。
コメント有難うございます。
青森でもアオスジアゲハまで定着を確認されたのですから、ムラツも北上しているみたいですので、深浦あたりでいつか見ることができるかも知れませんよ。
冬は昆虫観察が難しいですね。でも、フユシャクの配偶行動の観察写真はとても素晴らしいと思います。
北国は冬が長いので、それだけ春の価値を感じますね。
蘭丸さん、
有難うございます。
ときどきお邪魔して、蘭丸さんの素晴らしい写真を楽しませていただいています。
ムラシの越冬は、昨年は良い場所を見つけたのですが、今年はそこはまったくムラシ自体がおりません。なぜなのかわかりませんが---。
でも、これからも探してみましょう。ムラシ♂が撮影できると良いですね。
有難うございます。
ときどきお邪魔して、蘭丸さんの素晴らしい写真を楽しませていただいています。
ムラシの越冬は、昨年は良い場所を見つけたのですが、今年はそこはまったくムラシ自体がおりません。なぜなのかわかりませんが---。
でも、これからも探してみましょう。ムラシ♂が撮影できると良いですね。
banyanさん、
コメント有難うございます。
茶の木は日当たりの良い場所にあることが多く、半野生化したような木も多く見られます。この茶の木にはムラシが静止するだけでなく、茶の花で吸蜜するみたいです。
茶の木の葉はつやつやしていて、ムラシとの組み合わせは良いかもしれません。
コメント有難うございます。
茶の木は日当たりの良い場所にあることが多く、半野生化したような木も多く見られます。この茶の木にはムラシが静止するだけでなく、茶の花で吸蜜するみたいです。
茶の木の葉はつやつやしていて、ムラシとの組み合わせは良いかもしれません。
この時期のムラシはほんとにきれいで、撮影対象としては最高ですね。
きれいな紫色を見るとうれしくなります。
山梨でも越冬個体を見つけるのは難しいでしょうか。今週末にそちらに行くのですが、陽だまりには越冬個体など出てきてくれますかね。
きれいな紫色を見るとうれしくなります。
山梨でも越冬個体を見つけるのは難しいでしょうか。今週末にそちらに行くのですが、陽だまりには越冬個体など出てきてくれますかね。
ダンダラさん、
コメント有難うございます。
この時期のムラシは本当に綺麗で、撮影できたら嬉しいです。
甲府市内でも、今まで何回かムラシは見かけていますので、いるところにはいると思います。でも、この時期に確実に見られる場所は残念ながらまだ見つけていません。マテバジイの多い公園はこちらにも多いので、是非とも見つけてみたいものです。冬の楽しみですね。
コメント有難うございます。
この時期のムラシは本当に綺麗で、撮影できたら嬉しいです。
甲府市内でも、今まで何回かムラシは見かけていますので、いるところにはいると思います。でも、この時期に確実に見られる場所は残念ながらまだ見つけていません。マテバジイの多い公園はこちらにも多いので、是非とも見つけてみたいものです。冬の楽しみですね。
by tyu-rinkazan
| 2008-11-30 23:16
| ▣ムラサキシジミ
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Comments(12)