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Nature Diary #476
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Diary

実りの秋。天高く馬肥える秋。最近、食欲が止まらない。
このままでは「天高く虫林肥える秋」になってしまう。

連休最終日の本日(体育の日)は、ツマグロキチョウに会うために少し足を伸ばしてみることにした。というのも、昨年はかなりの個体が観察できた場所で、今年はまだその姿を見ていないからだ------突然消えるなんとも不思議だな。もともと棲息地の面積が狭かったこともあるけれど、ことわりも無く突然いなくいなるなんてまるで家出でもしたみたいだ。

どこかで家出ツマグロキチョウを見かけたら帰るように言ってほしい----ダメか。


ツマグロキチョウ; The Angulated Grass Yellow

ポイントに到着してほどなく、目の前を弱々しく飛ぶ小型のキチョウを見かけた。
そもそもキチョウはふらふらといかにも「今止まりますよ〜」という風情で飛ぶが、実はいつになっても静止しないことが多い。ところが、このふらふらキチョウはすぐにクズの葉に静止してくれた。

あまり期待もしないで(よく期待はずれになるので)近づいてみると、翅裏後翅に斜めに走る茶色い線状紋がみえた。なんと目撃したキチョウの一発目が目的のツマグロキチョウだったのだ。

秋型のツマグロキチョウは翅先が尖っていてクール。

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クズの葉に静止するツマグロキチョウ The Angulated Grass Yellow

October-08-2012, Fujinomiya-shi, Shizuoka



クロツバメシジミ; Lycaeides argyrognomom, The Black Cupid

ツマグロキチョウを撮影している時に、突然、蝶友 thecla さん(フィールドノート)から電話。

聞く所によると、昨日、山梨県のクロツバメシジミ(以下クロツ)ポイントで、「すんごーい紋流れのクロツ」を見つけたとのこと。でも、その時はすぐに風に飛ばされてしまい、たった一枚の証拠写真しか撮影できなかったらしい。そこで、本日は朝からまたそのポイントを訪れて探しているとのことだった。

「紋流れ」と聞いてはほっておけない。ツマグロキチョウはほどほどにして早速駆けつけたのは言うまでもないだろう。現地では Daron さん(Daron's webblog) も来られていたので、thecla, Daron, 不肖虫林の3人で「すんごーい紋流れクロツ」を探すことになった。

こんな宝探しはワクワクするな--------そして、とうとう本命の thecla さんが発見!

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クロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid

October-08-2012, Yamanashi

近寄ってみると、確かに「すんごーい紋流れ」で、まるで別のチョウのようだ。

残念なのは片方の翅(左の翅)に軽度の羽化不全があるみたいだった。そのため、飛翔力がふつうのクロツよりも少し弱いように思えた(おかげでゆっくりと撮影できるけどね)。

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クロツバメシジミ紋流れ異常型 (左:ピンシャン、右:少しよれている)

October-08-2012, Yamanashi


とにかくロストしないように誰かが常に見守りながら撮影。

それにしてもこのクロツの紋流れは、これまでネット上などで見てきたヤマトシジミの紋流れと比較してもグレードが高い。また、後翅裏面亜辺縁にあるオレンジ紋はあまり変化しておらず、まるで「本当はクロツバメシジミなんだぞ」と主張しているようだ。

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ツメレンゲに静止するクロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid

October-08-2012, Yamanashi


後翅表の亜外縁にあるはずの青色条が見えない(異常かどうかはわからないが)。もう少し恥ずかしがらずに翅を開いてくれればわかるのに-----。

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石の上に静止するクロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid

October-08-2012, Yamanashi


クロツの雄雌は野外で見分けるのは結構難しいらしいが、ツメレンゲで産卵したのでメスであることは間違いないだろうと思う。。

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産卵するクロツバメシジミの紋流れ異常型 The aberrant form of the Black Cupid

October-08-2012, Yamanashi


ついでに(失礼)普通のクロツも少しだけ撮影した。

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クロツバメシジミ(通常型) The Black Cupid (usual form)

October-08-2012, Yamanashi


お昼に近くなるとクロツバメシジミたちはどこからともなく現れ、あちらこちらでメスの後をオスが追う求愛行動も観察できた。メスを追うオスの姿は人間模様を少し感じさせてくれて哀れになる。追えば追うほどダメなのに-----(これは人間だけか?)。

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求愛するクロツバメシジミ(通常型) A courtship behavior of the Black Cupid (usual form)

October-08-2012, Yamanashi


石の上で交尾する個体が見つかった。
かれらの交尾は我々が去るまで続いていたので、2時間くらいは継続していたと思う。

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交尾するクロツバメシジミ(通常型) Mating of the Black Cupid (usual form)

October-08-2012, Yamanashi



チャバネセセリ; Lycaeides argyrognomom, The Small Branded Swift

草の周りを変な飛び方をするチャバネセセリを見つけた。
少し観察していると、案の定、産卵した。卵も観察できたが、産卵直後は青いようだ。

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産卵するチャバネセセリ Egg-lying of the Small Branded Swift

October-08-2012, Yamanashi




Afterword

聞く所によれば、紋流れという変異は、飼育下で低温処理をすると現れるらしい。しかし、自然状態では低温暴露されているように思えず、それによる変異というだけでは説明がつきにくいだろうと思う。また、ここでは3年前にtheclaさんが別のクロツ紋流れ個体も見つけているので、何か遺伝的な要素があるのかも知れない。

石積みの斜面で紋流れクロツを夢中で撮影していると、ついつい足下が不注意になってしまって、何度か斜面から滑り落ちてしまった。僕は夢中になると周りが見えなくなる---危ない、危ない。



出会う確率のとても低いと思われるクロツの紋流れ個体を撮影できたのは theclaさんのお蔭です。感謝。
また現地では今回もDaronさんともご一緒できて楽しかった。



以上、by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2012-10-12 17:10 | Comments(20)