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Nature Diary vol.7(53):#478

コブヤハズカミキリの仲間(Mesechthistatus)は翅が癒着して飛べず、色は黄土色で、体の表面は凸凹。きっと知らない人が見たら「キャー、何、この汚らしい虫」---というかも知れないな。でも、カミキリ好きにとっては、この黄土色は宝石にも増して美しく(ワビサビの魅力?)、凸凹の鞘翅さえも何ともク-ルに目に映るのだ。これまで、山梨県に産するコブヤハズカミキリのうち、タニグチコブヤハズカミキリ は過去に何度も撮影しているが、フジコブヤハズカミキリ にはこれまでチャレンジしたことがない。

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Diary

そこで、本日(土曜日)はフジコブヤハズカミキリ(以下、フジコブ)を探しに富士山麓を訪れた。富士山も標高1500mを越えると、すでに木の葉は黄色く色付きはじめ、ヌルデなどの葉も赤変している。

そういえばあと数日で節気が寒露になる。そろそろ秋も終わりに近くなった。

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紅葉 Autumn colors

Canon 60D, Sigma 24mm Macro, October-20-2012, Kawaguchiko-cho, Yamanashi



フジコブヤハズカミキリ; Mesechthistatus fujisanus

フジコブ探しといっても富士山のどこに行けば良いのか皆目分からず、土地勘があるM高原の林の中の道に沿ってゆっくりと歩いてみた。しばらく行くと、偶然にチョウを観察して記録している方とお会いした。挨拶して様子を尋ねてみると、ここは標高が低く、フジコブの記録は無いかもしれないとのことでした。お会いした方は地元のチョウ屋さんらしいが、とても親切な方でフジコブの可能性がある場所をアドバイスしてくれました。

もちろん、アドバイスに従って場所を移動しました。


以前にタニグチコブを見つけた時の環境に似ている場所に車を止めて、とにかく歩いてみることにした。ところが、枯葉を注意深くルっキングしながら散歩したが、なかなかフジコブは見つからなかった。すでに時計の針は午後1時をまわっていたので、軟弱な虫林はあきらめて帰ろうかなと思ったその時、目の前のツルの枯れ葉に何かが静止しているのを見つけた。

目をこらしてみると、目的の フジコブ様(様を付けたくなるね)がそこに鎮座していた------よかった。

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枯葉に静止するフジコブヤハズカミキリ Mesechthistatus fujisanus

(上)Canon 60D, Sigma10mm+X1.4 Telecon,(下)Canon 7D, EF100mm Macro, October-20-2012, Kawaguchiko-cho


山梨県には、南アルプスを中心に分布するタニグチコブと富士山を中心とするフジコブが棲息している。タニグチコブは鞘翅後部に大きな黒い紋がある。一方、フジコブはその紋が白いのですぐに見分けがつく。まるで水戸黄門にでてくる「印籠のご紋」---違うか。
興味のある人→(タニグチコブの日記にジャンプ

撮影場所は少し薄暗かったので、弱くストロボを用いている。
鞘翅の後ろにある大きな白い紋が交感神経を刺激するな。

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枯葉に静止するフジコブヤハズカミキリ Mesechthistatus fujisanus

Canon 7D, EF 100mm Macro, October-20-2012, Kawaguchiko-cho, Yamanashi



さらに別の枯葉でも静止するフジコブを見つけることができた。

いつも思うのだが、初めの1頭を見つけるのが大変で、その後は不思議と追加できるのだ。それは心の余裕からくるものなのか、それとも脳に昆虫たちの擬態を見破るプログラムが形成されるためなのかわからないが------。

我々の視力とは明らかに感情や心理と連動しているな。

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枯葉に静止するフジコブヤハズカミキリ Mesechthistatus fujisanus

Canon 7D, EF 100mm Macro, October-20-2012, Kawaguchiko-cho, Yamanashi


フジコブヤハズカミキリとタニグチコブヤハズカミキリは、例えていえば戦国武将の武田信玄と上杉謙信のように領地争いをしている。また、分布域の境界には非武装地帯まで存在し、両者は棲み分けしていると考えられている。以前の「月間むし」に分かりやすい日本産のコブヤハズカミキリの分布図(高桑らによる)が出ていたので引用(もっと知りたい方は是非とも雑誌の記事を見ていただきたい)。これを見ると明らかなように、山梨県はフジコブとタニグチコブの分布中心地であることがわかる。
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日本産コブヤハズカミキリの分布
2004年10月号No.404 の月刊「むし」から引用

この分布地図を描くためには、途方もない労力と時間が必要だったことだろう。先人たちの努力に感謝



その他; Miscellaneous

妙に青紋が発達したベニシジミを見つけた。

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静止するベニシジミ The Small Copper

Canon 7D, EF 100mm Macro, October-20-2012, Kofu-shi, Yamanashi


この時期の水の近くにはオツネントンボを見る(Dragonbutterさん、Thanks)。
このトンボが多くなるとシーズンも終わりかな思う。

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静止するオツネントンボ Sympecma paedisca

Canon 7D, EF 100mm Macro, October-20-2012, Kawaguchiko-cho, Yamanashi


恐ろしくヘンテコリンな形態の蛾の幼虫をクリの葉で見つけた。

シャチホコガの一種だろうか?(OTTOさん、Thanks)
正解はウコンカギバ(or ヒメウコンガギバ)という蛾の幼虫でした。(fanseabさん、Thanks)

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ウコンカギバの幼虫 Caterpillar of moth

Ricoh GR IV, October-20-2012, Kawaguchiko-cho, Yamanashi



Afterword

本日は久しぶりに蝶ではなく、カミキリムシを探して散歩した。

これで今年は両種を撮影出来たことになりとても嬉しい。本日ははじめに見当違いな場所を探していたが、運良く、フジコブをご存知の人から適切なアドバイスを頂けたのが発見につながった------感謝。



以上、by 虫林花山

by tyu-rinkazan | 2012-10-21 09:33 | Comments(10)