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Nature Diary #0361
Date: November 12 (Friday), 2010
Place: Nagasaki
Weather: fine



§ Diary §

今週は九州の長崎。

海を見下ろす丘の上に車を止め、浜辺に降りる道を探した。
しばらくすると、薄暗い林の中にまるでトンネルのような小径を見つけた。

このトンネルの先は “不思議の国の虫林”---ふとそんな気がした。

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トンネル

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(2010-November-12, Nagasaki)



トンネルを抜けると、そこは小さな浜辺。

子供の頃に海辺の町で育った僕には、踏みしめる砂浜は嬉しく、潮の香は懐かしい。
眩しく輝く午後の海を目を細めて見た。

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seashore
(2010-November-12, Nagasaki)




イシガケチョウ; Common Map

しばらく浜から内陸に向かって歩くと、猫の額ほどの畑に出た。
突然、何か白いものが飛んだ。

その場所にそっと近づいて覗いてみると、栽培している野菜の上に翅を開いて静止している「イシガケチョウ」を見つけた。

イシガケチョウは、まるで「紙で作った飾り」のようにみえた。

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イシガケチョウ

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(2010-November-12, Nagasaki)



ヤクシマルリシジミ; Common Hedge Blue

所々で見かけるヤマトシジミは、すっかり白っぽくなり低温期型の特徴を示していた。その中に素早く飛ぶ小さなシジミチョウを見つけた。ヤマトの色合いと明らかに異なり、濃い青色をしていた。

どうやら、ヤクシマルリシジミの♀だ。

ヤクルリ♀は花にはあまり興味を示すことなく、浜辺の草付きの上を飛び、バラ科植物の葉上に静止した。そういえば、ヤクルリの食草は確かバラのはずだ。しばらく産卵シーン期待して注視したが、残念ながら腹端を曲げなかった。

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ヤクシマルリシジミ

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(2010-November-12, Nagasaki)

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ヤクシマルリシジミ

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(2010-November-12, Nagasaki)



ムラサキツバメ ; Zizula hylax

どこからともなく、ムラサキツバメが飛来した。

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ムラサキツバメ

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(2010-November-12, Nagasaki)

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ムラサキツバメ

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(2010-November-12, Nagasaki)



その他; Miscellaneous

ウラギンシジミはタテハチョウのようだがシジミチョウだ(変なの)。
このチョウを見ると、南米で発達している「シジミタテハ」を思い出す。

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ウラギンシジミ

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(2010-November-12, Nagasaki)

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ウラギンシジミ

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(2010-November-12, Nagasaki)



浜辺を歩くと、足元からしばしばキタテハが飛び立った。

じつは、ここではタテハモドキを期待していたので、キタテハが飛び出すたびに目で追ったのだが、タテハモドキは一度も姿を見せてくれなかった。

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キタテハ

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(2010-November-12, Nagasaki)

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キタテハ

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(2010-November-12, Nagasaki)



オオキンカメムシが多い木を見つけた。

このカメムシは以前に房総半島でも見かけたが、冬には海のそばで越冬する習性があるらしい。かなりの個体がいたので、もう少し寒くなれば集団越冬をするのだろう。

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オオキンカメムシ

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(2010-November-12, Nagasaki)


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§ Afterword §

11月の散歩の記録をまとめているうちに、今年も終わりそうだ。
忙しさにかまけて、もう一か月もフィールド散歩に出ていない。

これでは、「酸素不足」ならぬ「散歩不足」だろう。

下の写真は小さな漁港の海産物屋。
ここで購入した干したカタクチイワシ(いわゆるニボシ250円)は、そのまま食べてとても美味だった-----ウームもっと沢山買うべきだった。
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先日、東京に行った折に新宿の「ヨドバシカメラ」で新発売のオリンパスE-5を見てきた。E-5はまだ結構高い。その時同時にキャノン7Dに 300㎜F4 L IS USMを装着して試写してみたが、持った感じのフィールングがとても良く、レンズの動きもスムーズで感心した。この望遠レンズはF4で、最短1.2mまで寄れる。----来年はキリシマやヒサマツに挑戦したいので心が動く。ところで、キャノン7Dや新発売の60D はどうしてこんなに値下がりしているのだろう。まるで価格破壊だ。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-12-18 00:11 | ▣ヤクシマルリシジミ | Comments(6)

Nature Diary #0223
Date: November 23rd, 2008
Place: Uwajima-shi, Ehime Pref.
Weather: Cloudy but sometimes sunshine


昨日は松山から特急「宇和海」に飛び乗り、午後遅くに宇和島駅に着いた。宇和島は予讃線の終点駅で、松山に比べるとかなり南に位置する。

南伊予の散歩道を歩いてみたい-----。

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§ Diary §

朝起きてホテルの朝食を食べながら外を見ると空は薄曇りだが晴れてきそうだ。

さて、どこに行こうかな。この時期にチョウを目的に散歩するなら山や林の中よりも暖かい浜が良いだろう
------そうだ、海水浴場にいってみよう。

駅前からタクシーに乗り約20分ほどで到着した先は、宇和島市民が夏に訪れるという「○×海水浴場」という場所だった。そこは、一般的な海水浴場のイメージとは異なり、岩場が主で砂浜は申し訳程度にしか無い。この海水浴場の駐車場から約2kmさきの灯台まで、日の当たる細い道が海に沿って走っている。

ここなら、チョウの姿を拝めるかもしれないな。 
まあ、「虫は時の運」

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カラスウリと海辺の道 (11月23日、宇和島市)

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An orange colored fuit of Trichosanthes cucumeroides and a road running by the sea.
(Canon Power Shot G10, ASA100)


昆虫を探しながらゆっくりと歩いて行くと、道端にはツワブキやノジギクなどの花が咲いていた。また、ここではアシタバも多く見られ、初冬だというのにつやつやした新鮮な葉をつけていたのが妙に印象に残った。

道路の山側の南斜面は、ミカンとビワの果樹園がひろがっている。少し失礼して畑の中に入ってみたら、ビワの木はちょうど白い花を付けていて、ハチやアブなどの昆虫たちが集まっていた。

ビワの木は子供の頃から見てきたが、恥ずかしながら開花が冬とは知らなかった。

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ビワ畑 (11月23日、宇和島市)

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Orchard of Japanese medlar.
(Canon Power Shot G10, ASA100)



ヤクシマルリシジミ; Acytolepis puspa

周囲を飛ぶ大きなオオスズメバチに注意しながら観察すると、ビワの木の樹上をすごいスピード飛び回るシジミチョウを見つけた。このチョウは虫林の目の前のミカン葉上に静止して翅を開いた。

そっと、目を凝らして見ると、翅表は輝くような鮮やかなブルーで翅の辺縁の黒帯も太い。

ヤクシマルリシジミのオスだ。

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葉上でテリトリーを張るヤクシマルリシジミ♂ (11月23日、宇和島市)

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A male of Common Hedge Blue basking on the leaf with the wings semi-opened.
(Olympus E-3, SIGMA 150mmF2.8 APO MACRO EX DG HSM , ASA100)


ヤクルリは何頭も飛び回っていたが、確認すると全てオスだった。

ビワの木の枝先や葉に翅を開いて静止し、他のチョウが来ればスクランブル発進で出動してまたもとの場所に戻る(テリ張り)。ここでのヤクルリ♂の行動パターンはゼフとそっくりだった。

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。。。。。。。。。。ヤクシマルリシジミ (11月23日、宇和島市)

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。。。。。。。。。。 A male of Common Hedge Blue basking on the leaf.
。。。。。。。。。。(Olympus E-3, SIGMA 150mmF2.8 APO MACRO EX DG HSM , ASA100)


海に面した葉に静止したので、ファインダーで覗いてみると。海面に反射した太陽の光が円形にきらめいてとても綺麗だった。この光を円形にするために、シボリは開放にした。

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輝く海を背景にテリを張るヤクシマルリシジミ♂ (11月23日、宇和島市)

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A male of Common Hedge Blue basking on the leaf in the background of sea.
(Olympus E-3, SIGMA 150mmF2.8 APO MACRO EX DG HSM , ASA100、トリミング)


タクシーの迎えの時間(午後12時30分)が近くなったので、海水浴場まで戻ってみると、ウバメガシ(多分)の梢でチラチラと飛んでいるシジミチョウを見つけた。1頭ばかりではなく、数頭がチラチラやっている。どうやら産卵行動みたいだ。

そういえば、ヤクルリはウバメガシも食べる。

ASAを800、シャッター速度優先(1/2000)にして、150mm(実質300mm)で飛翔写真を撮影。

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ウバメガシにからむヤクシマルリシジミ♀ (11月23日、宇和島市)

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A female of Common Hedge Blue was flying near the Oak tree. This could be regarded as viposition behaviour.
(Olympus E-3, SIGMA 150mmF2.8 APO MACRO EX DG HSM , ASA100、トリミング)


飛翔写真を撮影していたら、突然下に降りてきて低い場所で翅を開いてくれた。冬の時期に出現するヤクルリのメスは、青鱗が後翅全体に広がり、一年の中で最も綺麗になるのだ。

青い青いヤクルリにしばし目を奪われてしまった--------。

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葉上で開翅したヤクシマルリシジミ♀ (11月23日、宇和島市)

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A female of Common Hedge Blue basking on the leaf with the wings full-opened. The female of Common Hedge Blue is the most beautiful in winter time because of well developed blue on the surface of rear wing.
(Olympus E-3, SIGMA 150mmF2.8 APO MACRO EX DG HSM , ASA100)



アカタテハ; Indian Red Admiral

ビワの畑の石積みには、多くのアカタテハ、ヒメアカタテハなどが日光浴をしていた。

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日光浴をするアカタテハ (11月23日、宇和島市)

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An Indian Red Admiral basking on the stone with the wings full-opened. 
(Olympus E-3, SIGMA 150mmF2.8 APO MACRO EX DG HSM , ASA100)



その他; others

四国のクロツバメシジミは瓦屋根に発生したツメレンゲを食べるという。

何気なく古い民家の瓦屋根を見たら、なんとツメレンゲが生えていた。残念ながらクロツの姿は見ることができなかったが、これなら屋根でクロツが発生しても不思議はない。

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瓦屋根とツメレンゲ(クロツバメシjミの食草) (11月23日、宇和島市)

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Orostachys japonicus known as feeding plant of Black Cupid on the tiled roof.
(Canon Power Shot G10, ASA100)


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宇和島の名物の一つに「鯛めし」がある。この「鯛めし」は、鯛と一緒に炊き込んだご飯かと思っていたら、出てきたものは想像とはかなり違っていた。

簡単に言うと、鯛の切り身(刺身)とノリ、テングサ、ワサビ、ウズラの卵を醤油ダシに全て入れてかき混ぜ、それをご飯にぶっかけてお茶漬けのようにして食べるのだ。

味はとても良くて美味かった。

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宇和島の鯛めし (11月23日、宇和島市)

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Tai-meshi is the special food of Uwajima.
(Canon Power Shot G10, ASA100)


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§ Afterword §

本日歩いた浜の道は、ミカン畑とビワ林が点在し、とてものんびりしていて気持ちが良い。冬の散歩道としては第1級のものだと思う。

今回は時間が無く(いつもそうだが)、宇和島を午後1時頃発の特急で松山に向かったが、次回に訪れるときには、もう少しゆっくりと歩いてみたいと思う。

伊予の国は良いところだった。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-11-26 17:49 | ▣ヤクシマルリシジミ | Comments(10)

Nature Diary #0222
Date: November 22nd, 2008
Place: Matsuyama-shi, Ehime Pref.
Weather: Fine



§ Diary §

朝起きると本日は晴天。

午前中の数時間が空いたので(無理やり?)、伊予鉄道の終点の駅「高浜」まで行くことにした。終点と言っても、虫林が滞在するホテルの近くの駅(古町)からは20分ほどの距離だ。伊予鉄道は小さな市電だが、日本では2番目に古いそうだ。こんな市電が残っているところが歴史の町松山らしくて良いな。

高浜駅から浜辺に沿って歩いていくと、小さな踏切があった。

しかし、写真をみると、踏切の向こう側に海が迫り、この踏切を渡るとあたかも海に落ちるような錯覚を------受けるはず-------受けるかも-----受けてくれ-------うーむ、残念、やっぱり受けないか?

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海に続く踏切 (11月22日、松山市)

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A railroad crossing by the sea (Canon Power Shot G10, ASA100)



高浜駅の一つ手前に梅津寺という駅があり、その近くには「ターナー島」という無人の小島がある。ターナー島は、島というよりは岩礁という言葉がぴったりきそうなほど小さい。この島の正式な名前は四十島というらしい。

夏目漱石の小説『坊っちゃん』の中で、赤シャツと野だいこがこの小島をターナー島と呼んだことでこの名前がついたようだ。そもそも、ターナーは英国の有名な風景画家だ。虫林は英国滞在中に、絵が好きな家内のお供をして、ターナーが住んだというイングランドの田舎の村(名前は忘れた)までわざわざ出かけたことがある。

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ターナー島 (写真手前の岩礁:船と比べて大きさがわかるだろう) (11月22日、松山市)

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Turner Island (Canon Power Shot G10, ASA100)



ヤクシマルリシジミ; Acytolepis puspa

松山を訪れてから今まで、チョウはおろか昆虫の姿を1度も見てない。

浜に沿って走る線路のそばの道は、センダングサやオシロイバナの群落に両側をはさまれていた。ちょうど、この道に差し掛かかった時、突然、ウラナミシジミが数頭飛び出した。さらに、ウラナミシジミよりもやや小型で、色も鮮やかな青色のシジミチョウも出現し、センダングサの花の上に静止した。

ウーム、ヤクルリに違いない!

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。。。。。。。。。。ヤクシマルリシジミ (11月22日、松山市)

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。。。。。。。。。。 Acytolepis puspa (Canon Power Shot G10, ASA100)

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ヤクシマルリシジミの拡大 (11月22日、松山市)

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Close-up view of a male of Acytolepis puspa resting on the leaf.
(Canon Power Shot G10, ASA100)




本日は天気が良いので、静止するとすぐに開翅してくれる。しかし、全開ではなく半開なのだ。以前、南紀でこのチョウを観察した時には全開してくれたと思うのだが------.

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ヤクシマルリシジミ♂ (11月22日、松山市)

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A male of Acytolepis puspa feeding on the flower with the wings semi-opened.
(Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA100)


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ヤクシマルリシジミ♂ (11月22日、松山市)

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A male of Acytolepis puspa feeding on the flower with the wings semi-opened.
(Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA100)



さらに、ヤクルリのメスも出てきてくれた。

メスはオスに比べて、ゆっくりと飛翔してすぐに止まる。また警戒心も弱いようで、かなり近くまでよれるので撮影はオスに比べて楽だと思う。

メスも静止した後、半開してくれた-----逆光でみると、ヤクルリの縁毛は青く輝いて綺麗だ。

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。。。。。。。。。。ヤクシマルリシジミ♀ (11月22日、松山市)

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。。。。。。。。。。 Acytolepis puspa (Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA100)

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ヤクシマルリシジミ♀ (11月22日、松山市)

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A female of Acytolepis puspa resting on the leaf with the wings semi-opened.
(Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA100)


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ヤクシマルリシジミ♀ (11月22日、松山市)

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A female of Acytolepis puspa resting on the leaf with the wings semi-opened.
(Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA100)



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§Afterword§

この時期の昆虫観察は天気に強く左右される。

本日の目的は、実はターナー島を見に行くことだった。ヤクルリの撮影はぼんやりとは期待していたものの、実際に見れるとまでは思っていなかったのだ。しばらくぶりで見るヤクルリはまだ新鮮な個体もいたので、ここでは12月までは(あるいは年越えも?)だらだらと発生しているように思えた。


「棚からぼた餅」ならぬ「ターナー島からヤクルリ」だったのだ。

本日、午後の講演が終わればフリーなので、夕方の特急でもっと南の宇和島市まで行って泊まることにした。天気が気になるが----。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-11-23 22:00 | ▣ヤクシマルリシジミ | Comments(18)

民宿の主人に薦められ、宿から歩いて10分ほどの海辺にご来光を見に出かけた。

風も無く穏やかな熊野灘の海面に朝日が昇り始めると、二人の釣り客を舳先に乗せた小船がゆっくりと進んできた。朝日の光軸に重なったそのシルエットが、夜明けの海のアクセントになっている。その昔、南紀出身で、稀代のナチュラリスト「南方熊楠」も同じ海をみたのだろうか---------。

しかし、チョウの撮影を目的にこの南紀の海を訪れた虫林には、昇る朝日の美しさよりも、本日の天候(晴天)が保障されたことがむしろ嬉しく思えた。
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夜明けの熊野灘の景色

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A landscape of Kumano-sea with early-morning sunlight.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)

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夜明けのヤマトシジミ Pale Grass Blue

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A Pale Grass Blue resting on a flower head in the orange-yellowish sunlight of dawn.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)

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海岸沿いに走る道は思いのほか狭く、所々で岩をくりぬいただけの小さなトンネルが続く。道路脇の岩壁にはキイシオギクやハマニガナが咲き、ツワブキやセンダングサがしばしば大きな群落を形成していた。海岸に出てみると背が低く可憐なハマアザミがやや控えめに紫色の花をつけていた。11月も半ばとはいえ、南紀の海岸は花が多い。

気温が上昇するとともに、今回の目的の蝶の一つのヤクシマルリシジミが飛び出し、センダングサやツワブキの花に訪れていた。さすがに古い個体が多いようだが、中には新鮮なものもみかけた。
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センダングサ花上のヤクシマルリシジミ (Common Hedge Blue)

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Along the path running by the sea, I saw many Common Hedge Blues making frequent leisurely flights or feeding on flowers. Most were past their best, but I saw some fresh one.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)


ヤクルリのオスはかなり速いスピードで飛翔し、しばしば葉上で翅をひろげて日光浴をしてくれた。オスの翅表は、輝くようなブルーを示す。このブルーは、虫林の好きなミヤマシジミよりも明るく、ツバメシジミよりも深みがあるように思えた。晩秋に出現する個体は、このブルーが特に広くて美しいらしい。
ファインダー越しに胸をときめかせて撮影した。
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開翅したヤクシマルリシジミ♂ (Common Hedge Blue)

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A male of Common Hedge Blue basking on a leaf.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)


メスもしばしば見たが(むしろオスよりも多く)、どういうわけか新鮮な個体になかなかお目にかかれなかった。やっと道路脇のバラの葉上で、新鮮なメスが開翅したので撮影した。
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開翅したヤクシマルリシジミ♀ (Common Hedge Blue)

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A female of Common Hedge Blue basking on a leaf.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)


海岸に出てみると、足元から数頭のヤクルリが飛び出した。驚いて下をみると、そこにはヤクルリの食草のテリハノイバラの群落があった。ヤクルリは沖縄以南ではだらだらと周年発生を続けるみたいだが、紀伊半島では幼虫で越冬するはずだ。
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食草のバラの葉に静止するヤクシマルリシジミ♀ (Common Hedge Blue)

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A female of Common Hedge Blue resting on a leaf of wild rose in the beach.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)

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飛翔するヤクシマルリシジミ♀ (Common Hedge Blue)

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Flying feature of a female of Common Hedge Blue
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Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ISO800, Trimming
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)


海岸でヤクルリを探しながら歩いていると、目の前に紙切れのようなものが草に舞い降りた。そっと草の陰から覗いてみるとやはりイシガケチョウだった。少し古い個体で色も褪せてはいたが、虫林にはうれしい副産物だった。
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逆さまに静止したイシガケチョウCyrestis thyodamas maebella, (Common Map)

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An old Common Map looking like a piece of paper resting on the grass in upside down position.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)


お昼近くになると、所々でアサギマダラが飛び始めた。
近年、標識調査により、アサギマダラが日本の北から南にかなり遠くまで「渡り」をすることがわかってきた。すなわち、本州(長野県や福島県)のアサギマダラは徐々に南下して、紀伊半島あたりに集結し、そこから四国に移動した後、足摺岬や室戸岬から鹿児島や沖縄にむけて出て行くルートが知られてきた。

すると紀伊半島の突端に近いこの場所は、「渡りルート」の中継地点(集合地点)ということになり、夏に北で発生した個体が南下して休む貴重な場所ということになるわけだ。そんなことを考えると、この海岸に飛ぶアサギマダラたちがいとおしく見えてきた。
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ツワブキの花で吸蜜するアサギマダラ (Chestnut Tiger)

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The Chestnut Tiger is an occasional trans-sea migrant from Honshu to Okinawa. There is a migrant rout of this butterfly; they get together in the head of Kii peninsula, move to Shikoku, and go to Okinawa islands or somewhere. Kii peninsula, therefore, is an important way-stop point in a migrant rout of this butterfly.
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Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ISO100
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)

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飛翔するアサギマダラ Parantica sita niphonica (Chestnut Tiger)

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Flying feature of Chestnut Tiger
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Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ISO800, Trimming
(2007-November-18, Kushimoto-cho, WAKAYAMA)

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天気が良く、気温も上昇したので、目的のサツマシジミ、ヤクシマルリシジミをはじめ、思いの他、多くのチョウ達を観察することができた。11月下旬だというのに南紀は暖かい。

本日は、午前中だけの観察なので、撮影するのに精一杯で、生態的な部分については課題を残してしまった。次回は産卵、交尾、求愛などの行動に目標を定めて、撮影したいものである。

いずれにしろ、南紀の海辺散歩はとても気持ちよく。虫林花山の散歩道の中でも、1級のものだといえるだろう。いつか近いうちにまた訪れて見たい場所である。
(終了)
by tyu-rinkazan | 2007-11-21 22:29 | ▣ヤクシマルリシジミ | Comments(28)