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カテゴリ:▣カバイロシジミ( 1 )

ミドリシジミの群生する河川林を後にして、本来の目的であるゴマシジミ、カバイロシジミの撮影のために、下北半島の突端にある尻屋岬から大間町近辺の海岸に向かった。全体の走行距離は300kmを優に超えた。虫林にしては長距離ドライブである。



§ゴマシジミ§

ゴマシジミの撮影だけなら、家内の実家がある八戸市の近郊でも可能であろう。しかし、僕は下北半島突端のゴマシジミにこだわったのだ。-------というのも関東周辺では、ゴマシジミは"山里の蝶"なので、是非とも、海岸線で群れ飛ぶゴマシジミたちを見てみたいと思ったからだ。

尻屋岬の海岸線は草地が波打ち際までせまっている。花も多く咲いていたが、この素晴らしい景色の海岸ではゴマシジミの姿は一頭も見かけることが出来なかった。

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尻屋岬

Landscape of the tip of Shiriya-cape
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 100
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)



海岸線の波打ち際でゴマシジミを見ることができなかったので、車で流しながらさらにゴマシジミを探してみることにした。すると海岸線から少し内部に入った馬の放牧地(お花畑になっている)で、チラチラと飛翔するゴマシジミを見つけた。

車を停車して観察すると、あちらこちらでゴマシジミが飛んでいた。個体数もかなり多いようだ。海岸線のゴマシジミというわけにはいかないが、目的のゴマシジミに会えた。

ゴマシジミの飛翔はとても緩やかなので、飛翔写真で翅表を観察することした。飛んでいるゴマシジミを見ると、翅表の青い部分が発達してとても綺麗だ。アオゴマはやはり良い。

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飛翔:ゴマシジミ Maculinea teleius

Flying feature of Maculinea teleius
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 200
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)


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飛翔:ゴマシジミ Maculinea teleius

Flying feature of Maculinea teleius
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 200
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)



ゴマシジミは地域によって翅の色彩が少し異なり、いくつかの亜種に分かれている。日本蝶類標準図鑑によれば、北海道と東北(青森県と岩手県の北部)は同じ亜種(ogumae)とみなすのが妥当らしい。

写真をトリミングして飛翔しているゴマシジミの翅表を拡大して観察すると、翅表辺縁の黒帯の境界が明瞭で、黒紋が小さく、亜種(ogumae)の特徴が出ているようだ。

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飛翔:ゴマシジミ Maculinea teleius

Flying feature of Maculinea teleius
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 200
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)



ゴマシジミは種々の花で吸蜜していたが、ここでの食草であるナガボノシロワレモコウの花で吸蜜する個体も多く認められた。ちなみに関東近辺の食草である通常のワレモコウは見かけなかった(分布はしているみたいだが)。

これだけ拡大しても伸びているストローが見え難いのは、ゴマのストローは細いのかな?
「開けゴマ!」と叫んでみたが、残念ながら蝶には通じなかった。

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ナガボノシロワレモコウで吸蜜するゴマシジミ Maculinea teleius

A butterfly of Maculinea teleius feeding at the flower head
Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA 100
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)



注意して探すと、交尾個体も数組発見できた。
この交尾個体はうまい具合にナガボノシロワレモコウに載っているので、少しひいた写真と空バックの写真の両方を撮影してみた。

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交尾するゴマシジミ Maculinea teleius

Mating feature of a pair of Maculinea teleius
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 200
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)


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交尾するゴマシジミ Maculinea teleius

Mating feature of a pair of Maculinea teleius
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 200
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)



食草のナガボノシロワレモコウの穂に産卵行動を示すゴマシジミを見た。
ナガボノシロワレモコウはまだ蕾の状態のものも多く認めたが、蝶は蕾でもお構いなしに産卵をしていた。産卵時間は思いのほか短いので、撮影には苦慮した。

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産卵するゴマシジミ Maculinea teleius

Egg laying of Maculinea teleius
Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA 100
(2007-August-12, Higashidouri-mura, Aomori)


ゴマシジミの時期としてはまだ早いにも関わらず、このお花畑では沢山の個体数が観察できた。もっとゆっくりと観察したいのは山々であるが、カバイロシジミの撮影のために大間に向かうことにした。




§カバイロシジミ§

尻屋でのゴマシジミの撮影の後に、下北半島の大間町、とくに津軽海峡側(西側)の海岸線で本州のカバイロシジミを調べてみることにした。竜飛のカバイロシジミは有名であるが、下北半島にも局所的に見ることが出来るみたいだ。尻屋崎から大間町までもかなりの距離があるが、その途中の海岸線はとても美しい。写真は海岸に面した漁村の風景であるが、こんなに海の近くに家を建てて、海が荒れたときに怖くないのだろうか?

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海岸の家

A house by the coast
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 100
(2007-August-12, Ooma-cho, Aomori)



日曜日であったが、海岸のあちらこちらで昆布や天草?を干す風景が認められた。
車を止め、許可を得て、天草干しの様子を撮影させていただいた。

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天草干し

Drying procedure of a kind of seaweed
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 100
(2007-August-12, Ooma-cho, Aomori)



愛読しているブログの「青森のチョウたち」に、ゼフが多い海岸線の低いカシワの林が時々登場し、その様子がとても面白いと思っていたが、下北半島の突端の大間崎を過ぎて、津軽海峡に面した海岸では同じような低いカシワ林を斜面で見ることができた(規模が津軽とは違うかもしれないが)。

ゼフの時期にもう一度訪れてみたい場所である。

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海岸のカシワ林

Oak woods by the coast clif
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 100
(2007-August-12, Ooma-cho, Aomori)



大間崎を過ぎて、適当な場所で海岸を散歩して、カバイロシジミの食草であるヒロハクサフジを探してみた。するとそれほど苦労することもなく、海岸や海岸に近い荒地で食草の群落を見つけることができた。食草群落を頼りにしばらく散歩していくと、食草の上をチラチラと飛ぶルリシジミくらいの大きさの青いシジミチョウを見つけた。

目的のカバイロシジミだ!
あまり新鮮な個体ではなさそうだったが、横位置および縦位置広角で撮影した。

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カバイロシジミ Glaucopsyche lycormas

A butterfly, Glaucopsyche lycormas, feeding at the flower
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 100
(2007-August-12, Ooma-cho, Aomori)


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カバイロシジミ Glaucopsyche lycormas

A butterfly feeding at the flower
Pentax K10D, Sigma 18-50mm, ASA 100
(2007-August-12, Ooma-cho, Aomori)



さらに、ヒロハクサフジの群落を探して歩くと、海岸の所々でこの愛らしいシジミチョウを見つけることができた。大部分は少し古い個体であったが、1頭だけ新鮮なカバイロシジミを見つけた。しかし、もたもたとしているうち風に乗って飛び去ってしまった。
---------ウーム、とても残念だ。

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カバイロシジミ Glaucopsyche lycormas

A butterfly, Glaucopsyche lycormas, feeding at the flower
Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA 100
(2007-August-12, Ooma-cho, Aomori)



その後、別な個体が飛来し、ヒロハクサフジの花で吸蜜するカバイロシジミのアップの写真を何とかものにできた。

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カバイロシジミ Glaucopsyche lycormas

A butterfly, Glaucopsyche lycormas, feeding at the flower
Pentax K10D, Tamron 70-300mm, ASA 200
(2007-August-12, Ooma-cho, Aomori)


もう少しカバイロシジミの撮影を続けたかったが、帰路は八戸まで150km以上の距離がある。そこで、午後1時をまわった時点で撮影を断念し戻ることにした。




§エピローグ§

以前、家内と一緒に太宰治の足跡を辿って、出身地の金木町や太宰の乳母のいた小泊町などを訪ねたことがある。その時、同時に竜飛岬や下北半島なども車でまわった。
-------もう20年以上も前のことだが、今でも竜飛や下北の風景が懐かしく思い出される。

今回、下北を訪れてみて、かなり以前と違って見えた点も多かった。しかし、それにしても自然の豊かさは素晴らしく、目的とした蝶たちを撮影できたのは幸運というだけでなく、まだ豊かな自然が保全されていたためだろうと思う。

いつまでもこの豊かな自然がのこり、蝶たちが乱れ飛ぶことを祈っている。




by tyu-rinkazan | 2007-08-14 21:02 | ▣カバイロシジミ | Comments(30)