人気ブログランキング |

Nature Diary #0193
Place: Matsumoto-shi, Nagano-Pref.
Date: July 31st (Saturday)
Weather:Cloudy after fine


<オオイチモンジ♀の集まる場所>
オオイチモンジ(以下、オオイチ)は、メスの方が体も大きく、後翅の白い帯も太くてはっきりしているので好きだ。しかし、メスは吸水に来る事が少なく、オスに比較して見るのがとても難しい。

もしも、オオイチが集まる産卵ポイントがあるとすれば、そこに行けば撮影し難いとされるメスが集まってくるはずである。オオイチ♀が集まる場所、ヒミツの花園-----------ウーム、何となくあやしげで面白いではないか。

先週、オオイチ♀を撮影した場所は、その可能性がありそうなので、もう一度訪れてみる事にした。発見はなるべく早く確認(コンファーム)しないとね!
Strike while the iron is hot!


§ Diary §

本日は早朝からとても天気が良く、空気は澄み、空は晴れ渡っている。北アの山々から流れでた梓川の水は透明度が高く、素晴らしく綺麗だ。この水を見ていると虫林の汚れた心が洗われるようだ。

d0090322_6383396.jpg
透明な川 (2008-July-31, 松本市)

.
AZUSA river running in a high degree of transparency
.
Pentax 10D, Sigma DC 18-50mm f2.8 EX MACRO


登山道から外れて河原に出ると、本州中部山地固有種の珍しいシナノナデシコが小さな群落を形成していた。この花はナデシコの仲間だが、花弁が切れ込まず、縮れていない。

d0090322_640182.jpg
シナノナデシコ (2008-July-31, 松本市)

.
Dianthus shinanensis
.
Pentax 10D, Sigma DC 18-50mm f2.8 EX MACRO


朝の河原にはテンも見ることができた。河原を徘徊しながら盛んに餌を探しているようだった。いたちの仲間のテンは、夜行性だが-----。

「狐七化け、狸八化け、テン九化け」という言葉があり、テンは狐や狸を上回る能力があるといわれている。撮影していると、カメラのシャッター音に気づいて逃げていった。

d0090322_6414129.jpg
テン (2008-July-31, 松本市)

.
Martes
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


オオイチモンジ

歩き始めてしばらくすると、やっと見覚えのある場所にやってきた。そこは河原の中の林で、林縁に背の低い(樹高数m)のドロノキの幼木が多い。まだ8時前なので、下草が朝露に濡れている。

まずは朝食を食べながらオオイチがやってくるのをゆっくり待つことにした。

d0090322_6433291.jpg
オオイチモンジの産卵ポイント (2008-July-31, 松本市)

.
Habitat of Poplar admiral
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


待つこと2時間半(10時30分頃)、いいかげんに飽きて帰ろうと思ったそのときに待望のオオイチが突然目の前に現れた。背の低いドロノキに絡むように飛び、時々葉に止まって産卵している。

慌てて走りより撮影した。

d0090322_6434841.jpg
。。。。。。。。。。ドロノキの葉に止まるオオイチモンジ (2008-July-31, 松本市)

.
。。。。。。。。。。 A Poplar admiral resting on the leaf
.
。。。。。。。。。。Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


オオイチの♀は、その後、雲が出てきて帰るまでの2時間の間(午前10時30分から12時30分)に5頭も飛来してくれた。やはりここはオオイチが集まる産卵ポイントだったのだ。

この時期だと、オオイチのメスとはいえ、さすがにスレたり翅が破損しているものあったが、何とか綺麗な個体も見ることができた。ファインダー越しに真近に見るオオイチのメスは、後翅の白い帯が太く、さすがに立派で美しい。

d0090322_64438.jpg
ドロノキの葉に止まるオオイチモンジ (2008-July-31, 松本市)

.
A Poplar admiral resting on the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


オオイチモンジの産卵は林縁の高さ3-4mくらいの背の低いドロノキで行われるようだ。この場所は背の低いドロノキが多く、周りが林に囲まれているのでオオイチ♀が集まってくるのだろう。


今回の目的の一つは、産卵シーンの撮影にある。そこで、産卵姿勢をより明確にみえるように側面に回りこんで撮影した。チョウの腹部は曲げられ、腹端は葉に接しているので、これなら明らかに産卵だろう。

d0090322_6442079.jpg
ドロノキの葉に産卵するオオイチモンジ (2008-July-31, 松本市)

.
A female of Poplar admiral egg-lying on the leaf of feeding plant. Please note her tip of abdomen bending and touching the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


撮影していると、蝶が去った後でどの葉で産卵したのかわからなくなってしまう。そこで、卵が写っている写真がないかと探してみたら何とか1枚あった。腹端から緑色の卵が出ているところが記録できた。

d0090322_6443585.jpg
ドロノキの葉に産卵するオオイチモンジ (2008-July-31, 松本市)

.
A female of Poplar admiral egg-lying on the leaf of feeding plant. Please note her tip of abdomen bending and touching the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM



ハンノアオカミキリ

カミキリらしき虫が飛来して目の前の草の葉にとまった。
駆け寄って見ると、ハンノアオカミキリだった。

ハンノアオカミキリは珍しいカミキリムシではないが、鞘翅が緑の地に黒い筋が走り、とても綺麗で、見つけると撮影する。本種が属するフトカミキリの仲間は綺麗ですきだ。

d0090322_644505.jpg
ハンノアオカミキリ (2008-July-31, 松本市)

.
Eutetrapha chrysochloris
.
Pentax 10D, Sigma DC 18-50mm f2.8 EX MACRO

d0090322_645517.jpg
ハンノアオカミキリ (2008-July-31, 松本市)

.
Eutetrapha chrysochloris
.
Pentax 10D, Sigma DC 18-50mm f2.8 EX MACRO



シナノキ

オオイチモンジが棲む森の中には、巨大なシナノキが所々に見られる。このシナノキも太さは樹幹で7-8mはあり、樹齢は数百年であろう。映画「トトロ」に出てくる巨大なクスノキを連想してしまう。

豊かな森だ。

ちなみに、シナノキとは「信濃の木」からついた名前らしい。

d0090322_6452028.jpg
シナノキ (2008-July-31, 松本市)

.
A big tree named “Shinanoki”
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM

d0090322_6453581.jpg
シナノキ (2008-July-31, 松本市)

.
A big tree named “Shinanoki”
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


**************************************************

§Afterword§

オオイチの産卵は、それに適したシビアな条件があるのだろう。、そのため条件の揃った特定の場所に集まってくるのである。今回はそのような場所を見つけることができたので興味深い。

来年ももう少しこの場所で彼(女)らの行動を観察することにする。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-08-02 07:18 | ▣オオイチモンジ | Comments(24)

Nature Diary #0191
Place: Matsumoto-shi, Nagano-Pref.
Date: July 24th (Thursday)
Weather:Fine


海辺の町で育った虫林には、オオイチモンジやヤリガタケシジミは、長い間、手の届かぬ「高嶺の花」ならぬ「高嶺の蝶」であった。今でも憧憬の念は変わらず、その名を耳にしただけで、動悸、息切れとともに血圧が20mmHg 上がるほどである。

今年も「高山蝶」に会いに行く---------。


§ Diary §

7月最後の週は、1日夏休みをとり、暑さを避けて北アの高地散歩に行くことにした。そこは2年前に「奇跡のオオイチモンジ集団吸水」を撮影した思い出深い場所である。今回の目的は、オオイチモンジの♀とヤリガタケシジミの撮影だ。

朝一番のバスで現地に入り、朝靄があがる川面を横に見ながらゆっくりと歩き始めた。薄暗い林をぬけて開けた場所にでると、北アルプスの山々が一望できた。穂高の峰々はいつ見ても美しい。

d0090322_15223825.jpg
穂高連峰 (2008-July-24, 松本市)

.
Excellent views of mountains of Hodaka
.
Olympus E-510, ZD 8mm f3.5


オオイチモンジ

流れに沿った道を歩いていると、時々オオイチモンジが林の上を雄大に飛ぶ姿が見える。オオイチモンジは時々下にも降りてくるので、慌ててカメラを構えるが、虫林の心を見透かすように突然舞い上がって高い木の梢に消える。

いつも姿を見かける石積みにもオオイチモンジの姿を見なかった。本日は天気が良すぎるのだ。しかし、やっと道路脇でコムラサキとともにオオイチモンジの♂を見つけた。どうやら動物の糞に集まっているようだ。広角レンズを装着し、ライブビュー機能を使用して撮影した。

d0090322_15301257.jpg
オオイチモンジ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
A male of Poplar admiral
.
Olympus E-510, ZD 8mm f3.5 + EC14

d0090322_15314242.jpg
オオイチモンジ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
A male of Poplar admiral
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


7月も末にもなると、見かけるオスの個体はスレたり破損しているものが多くなる。しかし、翅を開いた♂は比較的綺麗な翅表をしていた。後翅表面辺縁のブルーの紋が美しい。

d0090322_15323225.jpg
オオイチモンジ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
A male of Poplar admiral
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


今回の目的の一つはオオイチモンジの♀の撮影である。
歩いていると大きな木の梢を颯爽と滑空するオオイチモンジ♀をしばしば見かけた。しかし、なかなか撮影するまでには至らない。低いドロノキのはえる河原で数頭のメスが現れ、ドロノキに絡むように飛んでいる。しばらく見ていると葉に静止した。

ドロノキはオオイチモンジの食樹である。ウーム産卵に違いない。急いで駆け寄り葉に静止したメスを撮影した。ファインダーから見ると非常に新鮮な個体で、胸の鼓動を聞きながら撮影した。

d0090322_17381074.jpg
ドロノキの葉で産卵行動を示すオオイチモンジ♀ (2008-July-24, 松本市)

.
A female of Poplar admiral possibly egg-lying on the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


さらに別の枝(ドロノキではない)に移動したが、この体勢はどうみても産卵姿勢にしか見えない。しかし、結局、腹部を曲げている写真は撮影できなかった。

d0090322_15342189.jpg
ドロノキ以外の葉で産卵行動を示すオオイチモンジ♀ (2008-July-24, 松本市)

.
A female of Poplar admiral possibly egg-lying on the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM

d0090322_1535764.jpg
ドロノキの枝で休む(多分産卵)オオイチモンジ♀ (2008-July-24, 松本市)

.
A female of Poplar admiral possibly egg-lying on the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


追加:オオイチモンジの産卵行動について参考までに蝶類辞典の記事をそのまま抜粋します。
「雌は食草の張り出した枝先にある葉の先端に一卵づつ産卵する。雌が葉先に産卵するためには、やや垂れ下がった葉に止まり尻を下に向けて後ずさりをする。4本の足先が葉の縁に達すると尻を曲げて産卵に入る。良くした物で尻の先が葉の先端付近となる。 例外的に後脚の2本が葉の縁に達しただけで産卵したケースも観察している。」



飛翔するオオイチモンジ♀をダメもとで撮影したら、奇跡的にフォーカスのあったものが数枚撮影できた。しかし、いつか青空バックに翅の白い帯が鮮やかに浮き出たイメージの飛翔を撮影して見たいものだ。-----贅沢かな?

d0090322_15354983.jpg
飛翔するオオイチモンジ♀ (2008-July-24, 松本市)

.
Flying feature of a female of Poplar admiral
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM




ヤリガタケシジミ

ポイントに到着して探して見るとすぐに1頭のブルーが飛び出した。大きさはほとんどヒメシジミと同大で、飛んでいるときの青い感じも似ている。しかし、静止したときに翅裏の紋を確認するとまさしくヤリガタケシジミのものであった。

背景を入れて広角写真を撮影した。
蝶の背景にアルプスの特徴的な形の山が入ってとても良いのだが、その山の形から場所が知れる恐れがあるので、写真右の山の部分だけぼかしを入れてわからないようにした

ブログやホームページでは、公開にあたり情報コントロールは必須であると思っている。自分の写真にこんなボカシなど入れたくないのだが、なにしろ、密猟者がね------。

d0090322_1536520.jpg
。。。。。。。。。。ヤリガタケシジミ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
。。。。。。。。。。 A male of Alpine type of Sky Blue resting on the grass
.
。。。。。。。。。。 Olympus E-510, ZD 8mm f3.5 + EC-14,


葉上で休むヤリガタケシジミを撮影した。裏面の紋はまさしくアサマシジミである。

d0090322_15362177.jpg
ヤリガタケシジミ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
A male of Alpine type of Sky Blue, Yarigatesijimi, resting on the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


蝶の背景に白い円が数個写ってとても綺麗に見える。
このような場合、絞り込むと水滴の形が八角形になってしまう。絞りを開放にして撮影すると綺麗な円になるようだ。

d0090322_15363613.jpg
ヤリガタケシジミ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
A male of Alpine type of Sky Blue, Yarigatesijimi, resting on the leaf
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM


ヤリガタケシジミ♂の翅表のブルーはさすがに発達している。これだけみても明らかに通常のアサマシジミとは異なっている。以前、本種がアサマシジミと別種であったことが理解できる気がする。

d0090322_1536492.jpg
タイツリオウギの花で静止するヤリガタケシジミ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
A male of Alpine type of Sky Blue, Yarigatesijimi, resting on the flower of feeding plant with the wings opened
.
Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM

d0090322_1537438.jpg
。。。。。。。。。。タイツリオウギの花で静止するヤリガタケシジミ♂ (2008-July-24, 松本市)

.
。。。。。。。。。。 A male of Alpine type of Sky Blue resting on the flower
.
。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm f2.8 Apo Macro DG HSM

**************************************************

§Afterword§

目的のオオイチモンジ♀とヤリガタケシジミが撮影できたことはとても嬉しい。

オオイチモンジは個体数が多く、来年はもう少し生態的な写真が撮影できそうである。一方、ヤリガタケシジミは、個体数が極めて少なく、非常に危機的状態である。(S氏に感謝する)。

注:ヤリガタケシジミの撮影ポイントについての質問には一切お答えできません。



次回は、7月26日のタカネキマダラセセリほかについてアップする。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-07-27 15:54 | ▣オオイチモンジ | Comments(36)