The lantern fly (Biwahagoromo) is a fascinating bug found in tropical rain forest of Southeast Asia and South and Central AmericaLatin America and , unfortunately, not in Japan. I encountered some amazing species of the lantern fly in the forest of Kaw mountain, French Guiana.
ビワハゴロモ(Fulgoridae; lantern fly)はセミに近い仲間。おもに熱帯、亜熱帯地方に分布している。日本にはいない虫です。中南米では「ユカタンビワハゴロモ」が有名なので、今回のフレンチギアナ行でも期待していたのだが、残念ながら見ることはかなわなかった。でも、さすが南米です、いくつかの不思議な形のビワハゴロモに出会うことができました。
▊ビワハゴロモ
ジャングルの中の道を歩いていたら、目の前を真っ白い虫が飛んでいきました。尾が長いシジミチョウかなと思い、その後を慌てて追いましたが、意外に敏感で静止してもすぐに飛び立ってしまいます。それでも何とか追いついてその姿を確認したところ、シジミチョウではなくて、白くて長い尾状の突起物を持つ昆虫でした。正直なところ、暗いジャングルの中で見たこの虫は「幽霊のようで、オドロオドロしい」というのが僕の感想でした。後日、調べてみると、クジャクハゴロモ(Pterodictya reticularis)という何とも美しい名前が付いていたので驚きました。ちなみに、クジャクの尾のような長い尾は分泌されたロウ状物質だそうです。

ライトに飛んできたビワハゴロモ。同行の丸山氏が見つけて教えてくれた。前述したように南米ではワニの顔をつけたユカタンビワハゴロモが有名だが、このビワハゴロモの突起も負けず劣らず奇々怪々、奇想天外な形で立派です。ネットで調べてみると、独特の頭をしたこの虫のおしっこには糖分が含まれていて、カタツムリやアリがおしっこを求めて近づいてくるんだそうです(http://hennaikimono.blog.jp/archives/cat_673808.html?p=2)
この個体は僕が撮影していた時に飛んでしまい、その後みることができなかった。丸山氏に申し訳ない。

ライトトラップには他のビワハゴロモも飛来しました。
下は緑色のビワハゴロモです。

Written by 虫林花山
滞在中はほとんど毎日雨でした、しかし時折雲が切れて日が差すと、どこからともなく大きなモルフォチョウが現れ、青い金属光沢の翅を点滅させながら不規則な軌跡を描いて飛ぶ姿がみられました。モルフォたちを目にすると、はるばる南米まで来たことが実感できます。ここカウ山の森で見ることができたモルフォは、メネラウスモルフォ M. menelaus、ディダミアモルフォ M. deidamia、アキレスモルフォ Morpho achillesの3種でした。
静止した時に、モルフォはほとんど翅を開くことがありませんが、1度だけ雨後に開翅しているディダミアモルフォに出会う機会がありました。ちょうど60ミリマクロレンズを装着していたのですが、何とか近寄ってまばゆい翅表を撮影することができました。

メラネウスモルフォは数があまり多く無いようで、数回その姿を目にしたにすぎませんでした。そこで、飛翔写真にチャレンジしてみました。チョウの姿を大きく写すことができませんでしたが、同行の山口 進氏の頭上を飛び去るモルフォが撮影できました。


森の中で大きな網を持ったフランス人採集者と出会いました。
彼の手には青色の銀紙を貼った卓球のラケットのようなものが握られていました。用途を訪ねてみると、これをモルフォチョウにかざすと寄ってくるということでした。この銀紙の反射によってモルフォチョウをおびき寄せ、網で捕まえる採集方法は、昔、フレンチギニアの役人で標本商として名高いフランス人のル・ムールトが考え出したものらしい。

灯に飛んできたアクテオンゾウカブトの♀を見つけた。♀とはいえ、大きさや体表面の皺などさすがの貫禄がある。実は♂も飛んできたのだが、容器に入れていたらいつの間にか逃げられていた。かなり力が強そうだ。南米から北米にはゾウカブト(Megazoma)の仲間が14種ほど分布しているが、ここにはこのアクテオンが棲息しているようだ。アクテオンは南米では最も普通で、分布も広いが、その体はゾウカブトと呼ぶにふさわしい貫禄がある。


灯に飛んできたナンベイオオタマムシ(Euchroma gigantea)を丸山氏からいただいた。体積は日本のヤマトタマムシの3倍くらいはあって、色彩も派手でなかなか味がある。巨大で美しいタマムシだ。



フレンチギアナ(French Guiana)は「熱帯モンスーン気候」で、我々が滞在したKaw山あたりの年間降水量は4000mmを越えます。滞在中、毎日雨が降り、しばしばバケツをひっくり返したような土砂降りになることもありました。広大な熱帯雨林とそこに棲む生物は、この豊かな雨に育まれているのが良くわかります。彼らにとってこの雨は慈雨なのでしょうか。


▊ライトトラップ
世界一大きな甲虫として広く知られるタイタンオオウスバカミキリは、

▊タイタンオオウスバカミキリ
滞在二日目の夜、夜半過ぎにロッジに帰って寝ていると、山口 進氏に突然起こされました。眠い目をこすりながら時計をみると午前2時。山口氏が笑いながら差し出した容器には、なんと15cmはあろうかという巨大な甲虫が入っていました。それは紛れもなくタイタンオオウスバカミキリでした。聞くところによれば、後ろで音がしたので探してみるとこの虫がいたということでした。さすがに、持っていますね。
実際に目の前で動くタイタンの「存在感」はこれまで見てきた虫とは全く別次元といえるもので、南米の森の主、王様という貫禄でした。甲虫とくにカミキリムシに興味がない方は、大きなゴキブリにしか見えないかもしれませんが-----。以前カミキリ屋だった虫林には、その美しい姿(?)、圧倒的な迫力(今風にいうとオーラ)に言葉を失ってしばし見入ってしまいました。


驚くことに、後日、同行の丸山宗利氏が、ライトトラップでタイタンをさらに2頭も追加してくれました。この撮影行でタイタンの姿を拝める確率は良くて五分五分かなと踏んでいたのですが----意外でした。
タイタンを手で触れてみると、鞘羽は意外に薄くて柔らかでした。大きな体ですが、飛びやすくする工夫が体の各所にされているのでしょう。こんな巨大甲虫が棲んでいるフレンチギアナの広大な熱帯雨林の自然力の大きさには驚くほかありませんでした。


キープしていたタイタンを、日中に戸外で撮影をしました。



さらに、恥ずかしながら虫林とともに記念撮影。


▊虫眼鏡ノート
僕自身は今回のフレンチギアナ行で、ライトトラップでタイタンを見る確率は良くて五分五分かなと思っていたので、3頭ものタイタンが飛来したのは、よほど我々の運が良かったのかもしれません。結局のところ、タイタンが飛来するライトの場所はかなり限られているようで、飛来時間は夜半過ぎから5時まで、雨か雨後間も無くという条件でした。昨年タイタンを見ている丸山氏の経験がとても有用であったことは言うまでもありません。THANKS!
僕自身もポンチョ、傘、長靴などの雨対策はしていましたが、野外での撮影ではどうしてもカメラ機材は濡れてしまうのが不安でした。とくに、レンズが曇ってしまうのにはしばしば困惑しました。これはレンズの温度が低いための飽和水蒸気量の問題ですので、レンズを冷やさない工夫が必要ですね。ちなみに、ツインストロボMT-24EXは結露のために使用不可になってしまいました。
Written by 虫林花山
フランス領ギアナ(French Guiana)は総面積の90%以上が大アマゾンの森林が広がり、地球上に残された数少ない「野生生物のパラダイス」です。しかしながら、このパラダイスへのアクセスは悪く、情報もほとんど入手できませんでした。そんな時、丸山宗利(九大)、野村周平(国立科学博物館)、山口 進(昆虫植物写真家)の各氏がフランス領ギアナで昆虫調査を行うことになり、虫林(加藤良平)もこれに参加できることになりました。
これまでにもアルゼンチンとブラジルなどの南米を訪れ、数は多くありませんが、蝶を中心に昆虫たちを撮影しました。興味深いのは、そこで見かけた昆虫たちは、日本はおろかアジアに産するものとは大きく異なることです。それは、古代のプレートテクトニクスにおける超大陸(ゴンドワナ大陸)の存在を思わせるような気がしてなりません。「奇々怪々」、「驚愕仰天」、「眉目秀麗」のゴンドワナの虫たち--------会いたい。
▊村の風景
羽田からパリのシャルル・ド・ゴール国際空港に飛び、オルリー空港から国内線でフランス領ギアナのカイエンヌ・フェリックス・エブエ空港に到着した。足掛け2日間にわたるアプローチだが、地球の裏側だと思えばそんな旅も長くは感じないものだ。空港からジャングルの中のロッジに向かう途中、小さなスーパーに立ち寄り買い出しした。入口から振り返ると、そこには村の風景が広がっていた。
湿気を含む生暖かい風
雲の隙間から顔を出す青空
青いトタン屋根の家
ブラジルバクやオウムの像
-----うーむ、思えば遠くに来たものだ

▊カイエンヌCayenneの街
カイエンヌはフランス領ギアナのキャピタルで、人口の約半分が住んでいます。しかし、街の中心部でも歩く人は少なく、どちらかといえば閑散としていた。人種的にはクレオール人とアフリカ系黒人が60%を超え、ヨーロッパ系とインド系がそれぞれ12%、先住民インディオが人口の3-4%という。確かに、街中を歩いている人をみると、黒人の割合が高いように思われました。東洋系の人はほとんどみませんでしたが、目抜き通りには中華レストランもあるので、いることはいると思います。



カイエンヌは大西洋に面した港町。主な産業は漁業らしい。

ジャングルのロッジに向う途中、眼下に広がるギアナのジャングルをみた。少し靄っていてはっきりとしないが、どこまでも続く熱帯雨林の力を感じる。

▊虫眼鏡ノート
フランス領ギアナの渡航には、黄熱病の国際予防接種証明書(イエローカード)が必要です。宿泊した場所が人の住まないジャングルの中のロッジなので、伝染病などの可能性は少ないと思いますが、用心に越したことはありませんね。今回の記事は風景写真をメインにしましたが、次回は昆虫たちを掲載していきます。
Written by 虫林花山