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DIARY Vol.10 (669): #31, 2015 :  

みちのく岩手で夢の途中。

陸中はNHKの連ドラ「あまちゃん」の舞台になっている。そこは隔絶された土地でチョウセンアカシジミ(チョウアカ)やキマダラルリツバメ(キマルリ)などの独特なチョウたちが分布する。近年は開発が進み、日本昔話に登場するような長閑な山村風景はかなり薄れてしまったのが残念だ。でも、開発によりアクセスはとても良くなったのは嬉しい。虫屋とはまことに勝手なものだ。

本日は盛岡から陸中の魅力的な蝶たちに会いに行くことにした。


チョウセンアカシジミ

川沿いに植えられたデワノトネリコの大きな葉をルッキング。
数は多くないが、何頭もの個体を見ることができた。
チョウアカはオレンジ色の紋が並ぶお洒落なチョウだね。

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---- チョウセンアカシジミ-The Korean Hairstreak

-----(Iwate, 26/June/2015、Canon 70D + EF8-15mm Fisheye, Canon 6D + EF100mm Macro)


kmkurobeさんと撮影していたら、おもむろに翅を開いてくれた。
このちょい開きの具合が控えめで良いな。

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---- 開翅するチョウセンアカシジミ-The Korean Hairstreak

-----(Iwate, 26/June/2015、Canon 6D + EF100mm Macro)


活動し始めると、しばしば産卵行動を見かけた。
卵をTG3で撮影してみたが、独特の形態で面白い。

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---- 産卵するチョウセンアカシジミ-The Korean Hairstreak

-----(Iwate, 26/June/2015、Canon 6D + EF100mm Macro)





キマダラルリツバメ

午後になってキマダラルリツバメの場所に移動した。
そこはキリやクワの古木に囲まれたオープンスペース。

陽が少し傾くと大きな木の上で何頭ものキマルリが飛び回り始めた。距離が遠いのとキマルリが小さいので、300mm望遠レンズでも証拠写真程度にしか写りませんでした。下の写真はかなりトリミングしています。陸中のキマルリは気まぐれです。

でも、今回は飛び回る「北限の陸中キマルリ」の姿を見れたので良しとしよう。

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---- キマダラルリツバメ-The Japanese Silverline

-----(Iwate, 26/June/2015、Canon 6D + EF300mm)



キンヘリタマムシ

キンヘリタマムシは陸中ではよく見かける美しいタマムシだ。
何気なく見た丸太に何頭ものキンヘリタマムシが訪れていた。

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---- キンヘリタマムシ-Scintillatrix pretiosa bullula

-----(Iwate, 26/June/2015、Canon 70D + EF8-15mm Fisheye, Canon 6D + EF100mm Macro)



ミチノクケマダラカミキリ

道路脇のハンゴンソウの葉上にミチノクケマダラカミキリを見つけた。
このカミキリは北海道に棲息するケマダラカミキリの亜種になる。

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---- ミチノクケマダラカミキリ-Agapanthia daurica sakaii

-----(Iwate, 26/June/2015、Canon 70D + EF8-15mm Fisheye, Canon 6D + EF100mm Macro)



🔍虫眼鏡ノート

今回はキマルリが下に降りてくれませんでしたので、証拠写真程度のものしか撮影できませんでした。でも、証拠写真でもキマルリの写真はやはり嬉しいものですね。陸中のキマルリは気まぐれでじゃじゃ馬、そう簡単に撮影できないところがの良いところでもあります。来年あたりは陸中キマルリの「じゃじゃ馬ならし」をしたいなと思っています。

次回はウラミスジチョウなどについて掲載します。

Written by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2015-06-30 21:54 | ▣キマダラルリツバメ | Comments(4)

<陸中のキマダラルリツバメ>
岩手県陸中地方はキマルリの北限。その棲息地は岩手県内でも交通が不便で隔絶された地域にある。以前に現地の人や詳しい人にそのポイントを尋ねてみたところ、「門外不出で教えることはできません」といわれてしまった。もっともなご意見だと思った。そこで、本種の記録がある地域を辿ってやっと数年前にその棲息を確認した。

しかし、これまで納得がいく写真は撮影できていない-----今回は?

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DIARY #592 :

毎年この時期に岩手県の盛岡市を訪れることを楽しみにしている。よく知っている古い友人から依頼された仕事(学生講義)が本来の目的だが、せっかくチョウの撮影に良い時期に盛岡まで行けるのだから、週末を利用してフィールド散歩もしたいと思っている。



東北新幹線で盛岡駅近くになると、いつも車窓から外に目を向ける。
そこには穏やかな感じの山並みと水量豊かな北上川。
それらに挟まれるようにビルが立ち並ぶ盛岡市街が見えてくる。

みちのく一人旅の始まりだ。

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---- Morioka city

---- Olympus E-PL6, 14-42mm




 キマダラルリツバメシジミ

ホテルに荷物を置いて、早速、レンタカーで陸中に向かった。

数年前にキマルリの棲息が確認できたクワやキリなどの古木が多い耕作地。
到着して早速見回ってみると、何と小さなチョウが飛び回っていた。
目を凝らしてその行方を見守っていると、やっと葉の上に静止してくれた。

そこには西日を受けたキマルリの姿があった。
誰もいない草地でガッツポーズ。

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---- A male of the Japanese Silverlines

---- Olympus OM-D E-M1, MZD60mm Macro



陸中のキマルリはヒメジオンでは吸蜜しないという。

でも、近くにあるヒメジオンの群落を見回ってみた。
するとそこには可愛いキマルリの姿があった----やはりヒメジオンで吸蜜。

下の写真の2枚目は明らかにストローを出している。

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---- The Japanese Silverlines

---- Olympus E-P5, MZD12-40mm, OM-D E-M1 60mm Macro, 14-150mm



虫の目レンズのGyorome8でも撮影してみた。

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---- The Japanese Silverlines

---- Olympus TG-2, Gyorome8



陸中のキマルリは地色が白くて黒いすじが細く、一見あっさりした印象。
また、前翅裏面内縁の2条の黒条がギザギザになる傾向がある(日本産蝶類標準図鑑)。

下の写真はその特徴がよくでていると思う。

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---- The Japanese Silverlines

---- Olympus OM-D E-M1, MZD60mm Macro



キマルリのオスは活動が激しいので、羽化後数日で翅が傷むといわれている。

今回は運が良いことにピンシャンの♂開翅が撮影できた。
下の写真はヒメジオンの花上で開翅。

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---- A male of the Japanese Silverlines

---- Olympus OM-D E-M1, MZD12-40mm



キマルリのオスの青色は角度によって怪しく光るようだ。
ファインダーでそれを見たときは良い年をして興奮を禁じ得なかった。

岩手県産は翅表の青色部が特に広い。
2枚目は黒点を越えて青色部がひろがっている------ウーム、明らかに広い。


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---- The Japanese Silverlines

---- Olympus OM-D E-M1, MZD60mm Macro



鱗粉がわかるほどの近接撮影ができた。

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---- The Japanese Silverlines

---- Olympus OM-D E-M1, MZD60mm Macro



新鮮なメスも現れてくれた。

あっさりとした色白美人ならぬ色白キマリン。
美しい個体だったが、シャッターを数回切った後に振られてしまった。

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---- The Japanese Silverlines

---- Olympus OM-D E-M1, MZD60mm Macro




Notes :

家を出るとき、ジーパン、山用のベスト、長袖のシャツ、さらにはリュックと長竿、ご丁寧にサファリハットまでかぶっていた。元気に「行ってきま~す」とは言ってみたものの、さすがにこの恰好で仕事とは説得力が弱い。案の定、「いったい何しにいくの?」「ちゃんとした服はもっているの?」などと家内から釘をさされてしまった。すべて知ってるくせに-----感謝。あとで考えれば、荷物はあらかじめ宅急便でホテルに送っておけばよかったのだ。

陸中でキマルリを探索して以来、初めてまともの写真が撮影できた------涙。
北限のキマルリたちがいつまでも生き延びることを祈ってやまない。




Nature Diary vol.9 (32): #592, 2014
Date: June-28 (Saturday)
Place: Rikuchu District, Iwate





by tyu-rinkazan | 2014-06-30 18:42 | ▣キマダラルリツバメ | Comments(20)

Nature Diary #0259
Date: June 19th (Saturday), 2009
Place: Fukushima Pref.
Weather: Cloud and Fine




友人のS教授から大学での講演と学生講義を依頼されたので、22日(月曜日)と23日(火曜日)に岩手県の盛岡市に行くことになった。問題は天気かな。

ウーム、この時期に岩手県に行けるのなら、今週末を東北での昆虫散歩に利用しない手はない。そこで、S教授から送って頂いた特急券、新幹線の特急券、往復切符(グリーン席)などを全てキャンセルして、わが愛車のジムニーで東北に向けて出発した。

出発に際して、蝶山人さんから福島県のキマダラルリツバメ(通称キマルリ)情報を頂いた。キマルリは、今まで何度かチャレンジしてきたが(別の場所)、未だ撮影に成功していない「目の上のタンコブ的蝶」なのだ。福島県は岩手行のちょうど途中になるので、是非とも立ち寄ってこの目の上のタンコブを取りたい。

しかし、そもそも虫林は、長距離運転は苦手---------キマルリのためならエンヤコーラ-。



§ Diary §

甲府を金曜日に出発して昼前に福島県のある村に到着した。

村は伝統的な農村のイメージがそのまま当てはまるような長閑な風景で、村の辻には笠を頭にのせたお釈迦さまが立っていた。なお、石の一つに飯豊山の文字が彫られているが、これは飯豊山の「飯豊山神社」の本宮が福島にあって、「飯豊山」は信仰の対象になるのだろう。

-------少し不謹慎ながらキマルリ撮影成功をお祈りしてまずは合掌。

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辻のお釈迦様 (6月19日、福島県)

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Ksitigarbha
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14



キマダラルリツバメ; Japanese Silverlines

キマダラルリシジミ(キマルリ)の生息地は、桐や桑の古木が点在する耕作地の中にあった。キマルリの幼虫は、ハシブトシリアゲアリというアリの巣の中で、このアリに育てられる。このアリは古木に巣をつくるので、東北地方のキマルリは桐や桑の古木にいることが多い。


農地に踏み込まないように注意しながら桐の木のそばのヒメジオンの花をゆっくりとルッキングしてみたが、なかなか発見できない。午後3時40分を過ぎて気温が少し降下し始めた頃、1頭の小さな蝶が目の前のススキから突然飛び立った。

このチョウは小さい上にかなりのスピードで旋回飛翔するので、もしやと思いながら見失わないように必死で蝶の行方を見守っていると、背の低い草の葉上で静止した。

慌てて近づいて確認すると、そこには青く輝くキマルリのオスの姿があった。

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葉の上で開翅しているキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened.
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14


キマルリのテリ張りは、午後3時40分ごろに始まり、陽が山の陰に隠れてあたりが薄暗くなった午後5時30分ころまで続いた。

この写真は、テリ張り時間終盤のもので、夕方の雰囲気を壊さずにキマルリのみを強調するために外部ストロボを併用して弱い光をあてている。

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キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings closed
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14


キマルリは目線よりも下のススキの葉上やクズの葉上に静止した。テリ張の間、何度か他のオスが訪れてスクランブルを行ったが、まだ発生初期なのか、おおむねゆっくりと静止してくれたのは良かった。

広角レンズの最短撮影距離で撮影。

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キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14


ところで、キマダラルリツバメという名前だが、ルリというのは良いが、どこがキマダラなのだろうか?------わからない。

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キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


東北キマルリ♂が青い紋が発達してとても美しい。とくに、青紋が後翅全体に広がり、輝きも強い。

キマルリは活動が激しいので、翅表は羽化後早期に傷つくと聞いた。撮影した個体はいずれも傷は目立たない新鮮な個体であった。

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キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14

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キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


青い紋の大きさは個体によって異なるようである(遺伝子多型を示唆しているのだろうか)。

観察した個体の中には、青い部分の面積が極端に少ない個体も見いだされた。
これはこれで結構美しい。

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青い紋が少ないキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14

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青い紋が少ないキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


キマルリの裏面は、個体により微妙に異なる。

拡大してみると、翅裏を走る黒い線の内部にはさらに銀色の線が入ってとても豪華で美しい。また、後翅端のオレンジと4本の尾状突起も本種独特で面白い。

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キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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Japanese Silverlines
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


<吸蜜>
土曜日には蝶山人ご夫妻と友人のH氏と合流し、日中は皆でヒメジオンに吸蜜するキマルリを探した。最初のポイントでは見なかったが、2番目のポイントで蝶山人さんの奥様が見つけてくれた。

キマルリを発見する目(キマ目)はさすがである。

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ヒメジオンで吸蜜するキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines feeding on the flowers
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


テリ張りする個体が吸蜜するのは稀な行動のようである。

この写真は夕方にテリ張りしている個体を観察していたら、ヒメジオンの花の上に静止した。近づいてみると、ストローを出して吸蜜していた。
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テリ張り中に吸蜜しているキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines feeding on the flowers
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


前の写真と同じもので、吸蜜している個体がそのまま翅をひろげた。

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吸蜜中に開翅したキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

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A male of Japanese Silverlines feeding on the flowers with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14

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§ Afterword §

キマルリはとても美しいが、その行動や生態も特徴的で魅力的なチョウだ。
今回、ちょうど岩手まで行く途中で福島に立ち寄り、今まで苦手としていた「目の上のタンコブ蝶のキマルリ」を何とか撮影することができた。

キマルリはちょうど出はじめだったようで、個体数は少なかったものの、目撃したものはすべてオスで、おおむね新鮮な個体だった。

このキマルリの撮影に協力いただいた蝶山人さんに感謝。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-06-22 15:40 | ▣キマダラルリツバメ | Comments(32)