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Nature Diary Vol.13 (778): #09, 2019

ゲンカチャン国立公園(Kaeng Krachan National Park)は、数多あるタイの国立(自然)公園のなかで最も広く、生物多様性の宝庫。ナチュラリストを自認する虫林にとっては思望の散歩道だった。ウーム、ここで「虫見トレッキング」できるのであればそれ以上に何を望もうか。しかし、残念ながら現在はトレイルが工事中のため、途中までしか入れないとのこと------ネバーマインド!

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小川の岸の「蝶たちの水飲み場」にて

綺麗な水がトレイルを横切って流れる小川の岸に「蝶たちの水飲み場」があった。そこは砂地で到着したときはシロチョウ20頭ほどが集まっていた。そこで、ペットボトルに貯めたオ〇ッ〇(自前)を撒いてみたところ、アゲハ、タテハの仲間も加わって100頭をこえる大集団になった-----やはり僕のナニは集蝶効果があるな。ちなみに虫林は糖尿ではない。

同行の友人たちが地面に寝転ぶように(実際、寝転びながら)撮影している姿をみると、「あの~そこは僕のナニを撒いたんですけど-----」と一言注意しようとは思ったが最後まで言い出せなかった。まあ、たとえ注意したところで、「あっそ、何か問題?」と一蹴されてしまうに違いないけどね。そういう人たちなのだ。

<吸水集団の構成種>
タイリクアサギシロチョウ (Common Wanderer)、
フトヘリキシタシロチョウ (Orange Gull)、
ウスキシロチョウ (Lemon Emigrant)、
スジグロマダラシロチョウ (Redspot Sawtooth)
モンキアゲハ(Red Helen)、
ミカドアゲハ(Common Joy)、
ナガサキアゲハ(Great Mormon)、
アリステウスオナガタイマイ (Chain Swordtail)

これはゲンカチャンの自然力の大きさを示しているといえよう

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▶チョウの集団吸水

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>



吸水集団におけるチョウたちの人口密度ならぬ「蝶口密度」が高く、まるで「押し競まんじゅう状態」。後から加わるチョウは、他の蝶を押しのけるように押し入るみたいだ。

体力勝負の世界かな。

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▶チョウの集団吸水は「蝶口密度が高い」

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶アゲハの仲間

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>


フタオチョウの仲間

この吸水場ではフタオチョウも撮影できた。初めて見たフタオチョウの姿は、想像を超えて大きく(日本のオオムラサキくらいかな)、白地を基調に線模様が入るデザインは、清潔であでやか。一言でいえばとても気品があった(このくらい褒めても足りない)。

ここのフタオチョウは日本のものと姿かたちがよく似ているが、翅の模様が若干違う。

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▶タイリクフタオチョウ Polyura eudamippus nigrobasalis

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶ガンマフタオチョウPolyura gamma

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶チビフタオチョウPolyura athamas attalus

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>


その他の蝶たち

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▶オナガタイマイ Fivebar Swordtail

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶ナガサキアゲハ Great Mormon

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶チャイロタテハ Cruiser

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶イワサキコノハ Autumn Leaf

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶エグリバセセリ Chestnut Angel

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>



虫眼鏡ノート

チョウの吸水集団をみれば、その場所の自然力を推定できるかもしれないな。虫林の吸水集団評価は、構成するチヨウの①数と②質(種類)で決まる。①と②を5段階評価で見れば、今回の集団は100頭くらいで①の項目は中の上で3.5点ぐらいかな。一方、集団を構成しているチョウは、シロチョウ科が多いものの多彩で、アゲハチヨウ科、タテハチヨウもかなり混ざっていた。とくに、3種類のフタオチョウは僕にとっては圧巻だったな。質の点の評価は文句なく5点ですね。合計で8.5点はかなり上質な吸水集団とみなすことができる。友人の話によると、ゲンカチャンの集団吸水は本来もっと数が多いとのことですので、いつか10点満点の吸水集団を見てみたいと思います。

ゲンカチャン国立公園の入り口
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Written by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2019-03-26 08:59 | ● Thailand | Comments(1)


タイの国立自然公園を散歩していると、今まで見たことも無い珍奇な虫たちに出会うことがあります。そんなとき、虫林の灰色の脳細胞の奥底に沈んでいたフレーズ「あっと驚くタメゴロウ!」が、突如として蘇ってくるのです。今や化石的フレーズだが、驚いた時には思わず口から出てしまうのだ(誰にも聞こえない小さな声でね)。今回も何度か「あっと驚くタメゴロウ!」が出た。

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Nature Diary Vol.13 (777): #08, 2019

ラフレシアの花に向かう山道で、同行のTさん(マメ子商会)が何ともけったいなキリギリスの仲間を見つけてくれた。頭部の付け根の周りがオレンジ色に膨らんでいて、まるで襟巻を巻いているようにみえる。さらに、驚いたことに、このオレンジ色の襟巻は、しばらくすると跡形もなく無くなるのだ。どうやら警戒した時に相手を威嚇するための襟巻らしい。ウーム、何とも面白い虫だ。とにかく、僕のXファイルに入れておこう。

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▶エリマキキリギリス?

<Khao Sok National Park in Thailand, Feb-17-2019, Olympus Tough TG5>

テングビワハゴロモはタイを代表する美虫だ。レンジャーの話によれば、Khao Sok NPには数種類のテングビワハゴロモがいるようだ。虫林も意識して探したのだが、目が悪いためか、日頃の行いが悪いためかなかなか見つけることができなかった。でもラフレシアに花を見に行く途中でやっと深緑色の個体(1頭だけ)にお目にかかることができた。

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▶テングビワハゴロモ (タイ王国、2019年02月)



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▶ナナフシの仲間(タイ王国、2019年02月)


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▶カレハカマキリの幼虫 (タイ王国、2019年02月)


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▶シュモクバエ (タイ王国、2019年02月)


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▶ワックスを纏った虫 (タイ王国、2019年02月)



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▶トゲトゲハムシの仲間 (タイ王国、2019年02月)



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▶テングスケバの仲間 (タイ王国、2019年02月)


虫眼鏡ノート

これでKhao sok国立自然公園の記事は終わります。でも、タイ王国の旅はまだ続きます。Khao sok国立自然公園を後にした我々は、いったんバンコクに戻り、バンコクから車で3時間ほどの距離にあるケーンクラチャン国立公園を訪れた。この公園の記事は次回からです。



Written by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2019-03-15 22:12 | ● Thailand | Comments(0)

この時期のタイは乾期で過ごしやすいが、雨期に比べて蝶(昆虫)の姿が少ないとのことだ。でも、日本では真冬なのに虫の姿を追って歩けるのだから幸せなことだね。とくに、気の置けない友人たちと一緒の虫撮行は本当に楽しい。

今回はカオソック国立公園で撮影した蝶たちを紹介したい

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Nature Diary Vol.13 (776): #07, 2019

ゴムのプランテーションを通り抜けると高床式の小屋が現れた。東南アジアではこのようなスタイルの家をよく見かける。やはり高温多湿な国では、高床式の住居は風通しよくて快適そうだ。機能的にもロジカルな構造といえるね。そういえば、虫林が子供の頃によく家の床下に潜り込んで遊んだものだが、今思えば、日本の家屋も低い高床式だったんだな。

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高床式の家 (タイ王国、2019年02月)



トレイルを歩いていたら、カニクイザルの群れが出てきた。サルたちを刺激しないようにそっと見ていたら、母サルが子ザルにグルーミングしていた。耳の後ろをなめられている子ザルの気落ちよさそうな顔が印象的だった。

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▶カニクイザルのグルーミング (タイ王国、2019年02月)



Khao Sok NPの蝶たち

東南アジアでは尾が長いシジミチョウが多い。そんな蝶たちを見るとタイの森にやってきたことが実感できる。下の写真は目の前の葉に静止したモリノオナガシジミを撮影していたら、風が長い尾を跳ね上げた。

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モリノオナガシジミ (タイ王国、2019年02月)


トレイルを歩いてみると、時折イナズマチヨウが素晴らしいスピードで横切り、陽だまりではジャミダス(ウラナミシジミ)の仲間が乱舞し、林の中をシマジャノメや大きなワモンチョウの仲間が飛ぶ。


撮影した蝶を組み写真にしてみた。

一列目:マレーヒメイナズマ Cynita godarii、オオイナズマ Lexias cyanipardus、ホサバネッタイヒョウホモン Cirrochroa emelea、2列目:トラフタテハ Parthenos sylla、リュウキュウムラサキ Hypolimnas bolina、ウラジロコウモリワモン Amathusia ochraceofusca、3列目:ムラサキルリワモン Thaumantis klugius、ヒメワモン Faunis canens、アオタテハモドキ Junonia orithya、4列目:カバシタビロードタテハ Terinos clarissa、タイリクシマジャノメ Ragadia crisilda、ウラキンフタオシジミ Pseudotajuria donatana、5列目:オナガシンジュシジミ Neomyrina nivea、サイトウフタオルリシジミ Hypolycaena othona、ナカジロムラサキシジミ Arthopala perimuta

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トレイルから戻り、アイスクリームを食べたとき、近くの木でフタオチョウの幼虫を見つけてくれた。初めて見たフタオチョウの幼虫は、大きくて、角がいかめしくて、格好良い。

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フタオチョウの幼虫 (タイ王国、2019年02月)



バナナの葉を円筒状に巻いたバナナセセリの幼虫。成虫は夕方に出現するということで、見ることができなかった。

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バナナセセリの幼虫 (タイ王国、2019年02月)


虫眼鏡ノート

今回ご一緒した方たちは、ナチュラリストで「むし道の達人」。各人が自分のスタイルで虫を探し、それぞれが個性的で工夫されたシステムで撮影している。

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虫林は小さなもの(蝶の卵など)から大きな虫まで幅広く撮影したいので(基本的に欲張り)、必然的に装備が大きく重くなってしまう。でも、今回のタイ王国撮影行では小型化を図り、カメラはパナソニックのLumix G9 proで、レンズはLeica DG Vario-Elmarit 50-200mm/F2.8-4.0 X1.4テレコンを用いた。

良いシステムは「撮る勇気を与えてくれる」ものだ

Written by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2019-03-12 17:23 | ● Thailand | Comments(2)

虫林は「花より団子」ではなく「花より虫」なので、「ラフレシアを見に行こうとよ」いわれた時も「フーン、ラフレシアね---」という感じでした。でも、この花について知れば知るほど、世界の珍花と呼ぶにふさわしい魅力を感じ、ナチュラリストの端くれとして是非とも見てみたいなと思うようになりました。

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Nature Diary Vol.13 (775): #06, 2019

南タイの カオソック (Khao sok) 国立公園 は、ラフレシアの花の自生地として有名で、入り口にも大きな看板?が飾ってあった。事務所で開花状況を尋ねてみると(タイ語を話せる同行者がいると大変ありがたい)、ちょうど開花後3日目の花があるとのことだった。聞くところによると、ラフレシアの花は蕾の期間がとても長く(約1年)、その一方で開花期はわずか5日間ほどらしい。ウーム、ラフレシアの自生地でも「きれいな花に出会うのは結構難しい」のだ。


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The entrance of Khao sok NP (タイ王国、2019年02月)



トレイルといっても直登の登山道のようなもので、あまりジグザグになっていない。歩き始めたときはすこし話す余裕もあったが、登りがきつくなると次第に無口になった。日頃の不摂生を憂いながら、汗だくになってレンジャーの後についてひたすら登った。1時間半ほど登るとやっとラフレシアの蕾をみることができた。ここからがラフレシアの自生地だ。

ラフレシアには葉、茎、根が無く、ジャングルの地面を這うブドウ科の植物に完全寄生している。蕾は宿主の樹皮を突き破って姿を現わし,まるで瘤のようだ。この蕾は開花するまでに約1年もかかる。


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Flower bud of Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)



この蕾は開花間近でキャベツくらいの大きさがあります。

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Flower bud of Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)




さらにしばらく登るとといとう念願のラフレシアの花を見ることができました。

ラフレシアの花は80センチほどもあり、肉厚で赤褐色の花びらには白っぽい斑点がたくさん付いています。一言でいえばぼってりとした印象でした。この花は開花後3日目ということでしたが、かなり良い状態でした。とにかく、ラフレシアは開花後わずか数日で腐り始め,最後にはどろどろした黒い塊になってしまいます。

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Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)



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Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)




5枚の花びらに囲まれた中央部分には大きな椀状の穴が空いていて、内部を覗くと多数の突起が見えた。噂となっているひどい匂いはあまり感じなかったが、ハチやハエが飛ぶ大きな羽音が聞こえた。ラフレシアには雄花と雌花がありこれらのハエやハチが受粉に一役買っているのだと思いますが、見たところ近くには開花している花が無い(我々の知らない場所で咲く花があるのかも)。

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Fly and Bee inside the flower (タイ王国、2019年02月)





虫眼鏡ノート

ラフレシアは31種類もある。今回のタイ南部(Khao sok NP)撮影行で目指したのはラフレシア・ケルリイ Rafflesia kerrii という種で、有名な アルノルディイ R. arnoldii(スマトラ・ボルネオに分布)についで2番目に大きな花だ。ちなみに、この学名の kerrii はアイルランド人の医師 Arthur Francis George Kerr の名にちなんでいる。彼は20世紀初頭にタイにわたり、医師としての活動よりも植物相の解明に没頭したようだ。現在では タイの植物相の父 "founding father" とよばれている。

今回、難行苦行の末にケルリイに出会うことができた。ラフレシア・ケルリイはびっくりするような大きさ、個性的な形、色など実に面白い花でした。それにしても、後で見返してみると、ラフレシアの写真を十分に撮影できていないことに気づきました。疲れていたとはいえ、もっとたくさん撮影しておくべきでした。

Written by 虫林花山



by tyu-rinkazan | 2019-03-06 09:01 | ● Thailand | Comments(1)